- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087480467
作品紹介・あらすじ
市助には8人の子がいた。その子らが夜ごと寝間を抜け出して、朝まで箪笥の上に坐っている。そのうちに市助を除く家族全員が夜な夜な箪笥に上がるようになって-。(「箪笥」)。能登を舞台に玄妙な語り口で綴る9つの不思議な物語。独特の画風で人気の村上豊の挿画27点とともに贈る恐怖と戦慄の半村フォークロア。
感想・レビュー・書評
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能登を舞台にした怖い…というか、シュールというか、不思議というか…そんな内容の短い話が能登弁の一人語りで書かれています。能登の方言がそのまま文章になっているので、最初はちょっとつっかえますが、脳内変換出来るようになればスムーズに入ってくるようになりました。そうすると臨場感が出てきてさらに楽しめた気がします。石川県民の強み(笑
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半村良といえばSF作家のイメージだが、他にも夜の世界に生きる大人たちの人情を描いた『雨やどり』や本作の様なちょっとゾッとするフォークロアなどその守備範囲の広さに驚く。そしてとにかく読ませるのが上手い。
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確かオビに記載の「その先が気になるホラー特集」なる集英社文庫フェアで発見し購入したはず。去年のフェアかな?
全編能登弁で語られている、これは怪談‘風’小説?
まさか実際に北陸にはこういった伝承が伝わっているのだろうか。
怪談らしくすっきりまとまった9編は意外とバラエティ豊か。「箪笥」は怖さより不思議さが強い感じ、「縺れ糸」はやるせない余韻が残る。はたまた「蟹婆」は会話で進行していき最後にちょっとしたドンデン返しがあり、「夢たまご」「終の岩屋」はSFっぽい。
「先が気になる」とは少し違う気がするけどページ数以上に満足感高い一冊。
2刷
2020.12.27 -
2019/8/6 読了
薄い本ながらも読み応えがあった。 -
夏に気楽に読むにはうってつけの能登を題材にした怪談。
方言で語られているが非常に読みやすく、挿絵が恐怖を
煽って効果的だった。 -
全編能登の方言で書かれている。挿絵も味がある。怖い話が中心。
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能登を舞台とした民話調怪談。
能登弁で書かれていて、慣れていないとちょっと読みにくいが、それがまた地方の怪異を醸し出し、ジリジリと怖さが滲み寄ってくる気がする。村上豊さんの絵も昔話を彷彿とさせるのだが、話はバサリと突き放される冷たさがある。
「箪笥」の理由のわからない怖さが良い。情景を思い浮かべてみるとホント怖い。
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箪笥
蛞蝓
縺れ糸
雀谷
蟹婆
仁助と甚八
夫婦喧嘩
夢たまご
終の岩屋 -
イラストがいちいち話の落ちを先取りして、ネタばらしをしている。もう2ページ後ろに置けばいいだけなのに、これが最大の怪異だ。
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能登の言葉?
最初、とっつきが悪かったんですが、すぐに気にならなくなって。
短編集って沢山読むと、「あれ?この話、どんなのだっけ?」
ということがよくありますが(え?私だけ?)これは忘れられない
話のオンパレードです・・・とここまで書いて、ふと思った。
翻訳ものを読むことが多いのですが、原題と邦題が違うものが
かなりあります。ひょっとすると、その邦題が今ひとつなのかも。
登場人物たち自身は淡々と生きているだけで怖い思いを
していない話って、こちらの怖さは倍増しますねー。
■箪笥
なんで箪笥の上にいるのかわかんないのが怖いっ
しかもね・・・
■蛞蝓
ナメクジと言えば塩。でもこの、蔵での女房の描写はやりすぎ・・・
■縺れ糸
神の恩賜で暮らす老夫婦にいらぬおせっかいを・・・
芥川でありそうな掌編。
■雀谷
象塚ってありますよね。雀も・・・っていうのは大枠で。
更に外枠が・・・
■蟹婆
目のない蟹ってだけでもう・・・
こういう村って実は本当にあったのでは・・・
どこかにまだあるのでは・・・うきゃ。
■仁助と甚八
これはかなり技巧的な作り。
読んでて、どちらがどちらか、だんだん惑わされます。
■夫婦喧嘩
犬も食わないってやつですね。
される方は溜まりませんが、話としてはこれだけが微笑ましい・・・
■夢たまご
「邯鄲の夢」ですか。輪廻転生って案外こういう仕掛けかも。
■終の岩屋
ある意味、モーロワの「タナトス・パレス・ホテル」。
あれより、死なないのが更に深い。