あくむ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087485073

感想・レビュー・書評

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  • ホラーはホラーかもしれないけど、サスペンスだね。
    現実と非現実の境目が分からなくなる恐怖三昧。
    気持ちの悪〜い怖さだった…。

    4つの色でタイトル付けられた作品と、
    インビジブルな作品からなる、5つのホラーストーリー。
    描写も会話も、夢人氏の手にかかると妙にリアル。
    映像がはっきり浮かんでしまうので、面白さが増します。


    「ホワイトノイズ」
    主役は盗聴器。
    盗聴に病み付きになる男性の目線で描かれている。
    盗聴によって出会った(?)女性が恐喝をされる。
    彼は事件を阻止し、犯人を捕らえようとする、話。
    きっと彼だけなのだ…と、読めはするが。
    脳の神秘をも感じた。

    「ブラックライト」
    交通事故の被害者の目線で繰り広げられる、
    ハラハラ&ドキドキの誘拐劇。
    かと思いきや…。
    死の宣告と同義なのね。
    彼の身に、現実に起きている事件だ、と思ってあげたい。

    「ブルーブラッド」
    高校教師は世を忍ぶ仮の姿。彼は吸血鬼。
    怖い。(?)
    夢や妄想と現実の区別がつかなくなると、人はどうなるんだろう。
    それにしても…血の描写が、たまらなく気持ち悪い。

    「ゴールデンケージ」
    一番のお気に入り。
    対極に生きる兄弟の、生き方を綴った物語。
    優等生の兄・賢介と、劣等生の弟・優介。
    二人は二歳違い。 財閥の御曹司だ。
    読み進むうちに兄弟其々に惹きつけられて、
    結末には、空しくもなり唸ってしまった。
    兄の状態は読めてしまったが、結末までは…。
    ふと、読み返したくなる物語。

    「インビジブル ドリーム」
    駱駝座という劇団のカップルの物語。
    彼女が見た夢が、彼の身に現実に起こるのだ。
    予知夢? 正夢? 
    夢と現実に微妙なズレがあるので…
    何とも言えない、こじ付けのような共通性なので。
    展開を予測できなかった。でもまさかナマコとは。
    彼が、可哀相だった。


    あっという間に読めるが、
    全編を通して話も読めてしまうが、面白い。
    ホラーの怖さはあまり無いが…
    深夜に読むと、ちょっとは怖いかも(笑)。

  • ホラーストーリーなんて書いてあったので、わりと楽しみにしていたのだが…。
    なんだか古い感じのホラーだったような…。

  • 日常の彼方へいざなう5つのこわいお話。
    カラーにまつわるタイトルで盗聴にはまってしまった男があるヒミツの電話を
    盗聴してしまい・・「ホワイトノイズ」
    交通事故にあった男が目覚めると・・「ブラックライト」吸血鬼の家系「ブルーブラッド」体に見つけた一本の白い筋が・・「ゴールデンケージ」彼女の見る夢が現実になっていく「インビジブルドリーム」の5つ。かなり古い本です。当時の私なら読んだらはまったと思う。でもどれもオチが読めちゃっていささか興ざめでした。
    個人的には「ゴールデンケージ」が1番
    面白かったかな。最新刊を読んでみたいです☆

  • 「ゴールデンケージ」でゾッとしました。虫は無理orz<br>
    「ホワイトノイズ」が一番好きです。

  • ホラー短編集。ゾクゾクする感じがたまらない。これだけ呼んでも、井上さんの凄さが十二分に伝わる。おススメは『ゴールデンケージ』

  • 短編集だけどこれが井上夢人の原点でしょ。最後に、こう落とす!ってとこがw

  • 盗聴、その秘密の趣味にのめりこんだ時から、僕の生活は変わった。(「ホワイトノイズ」)ここは病院らしい。両眼を包帯で巻かれた私に誰かが近づいてくる。(「ブラックライト」)高校生のころ私は、人々と自分が違う「種」であることを知った。(「ブルーブラッド」)夢なのか、現実なのか、すべてがあいまいなまま“恐怖”という感覚に集約されてゆく。覚めやらぬ“あくむ”そのままの5つのホラーストーリー。

  • 色をタイトルに入れた短編5作。
    読みやすいが、なんとなく結末が予想されるというか、どこかで読んだような…

  • 盗聴、その秘密の趣味にのめりこんだ時から僕の生活は変わった。(ホワイトノイズ)ここは病院らしい。両目を包帯で巻かれた私に誰かが近づいてくる。(ブラックライト)高校生のころ私は、人々と違う「種」であることを知った。(ブルーブラッド)夢なのか、現実なのか、すべてがあいまいなまま”恐怖”という感覚に集約されていく。覚めやらぬ”あくむ”そのままの5つのホラーストーリー。―――――といわけで短篇です。一つ一つのお話は面白いのですが最後が…。まあ『あくむ』というタイトル有っての終わり方なのだろうけど自分的には放置されたような、そんな読後感でした。覚めた後が気になるのにな〜

  • 何気無い日常のひとコマから、ふとした拍子で違う世界に入り込んでしまう、そういう感じ。歯車が急にガタンと大きく外れるのではなく、じわじわと少しずつ狂っていく感じです。そのふとした拍子とは己の願望であったり、夢であったり、思い込みであったり、はたまた周りの人間の強い思いだったり…常に自分の近くにあるものなんですよね。怖い。まさに「あくむ」です。それもいつまでも覚めることのない「あくむ」。

    どの物語も夢と現の狭間のような世界。どちらが夢で、どちらが現実なのか。その危うい均衡を見事に描き切っていると思います。

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著者プロフィール

昭和25年生まれ。昭和57年に徳山諄一との岡嶋二人名義で第28回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。平成4年に『ダレカガナカニイル……』(新潮社)で再デビューした。代表作に『ラバー・ソウル』(講談社)など。

「2020年 『平成ストライク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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