僕に踏まれた町と僕が踏まれた町 (集英社文庫)

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  • 集英社
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本棚登録 : 1988
感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087486391

感想・レビュー・書評

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  • 超有名進学校「灘校」に八番で入学。ギターを弾いたり、漫画を描いたり、学業以外に打ち込みすぎて成績は面白いくらいに下降線を辿っていく。超受験校のすみっこで底抜けの明るさと底無しの泥沼の間をさまよった「落ちこぼれ」の日々。60年代後半から70年の時代のフレイバーと神戸の街が交錯して中島らもの青春がモラトリアムの闇に浮かぶ。おかしくも哀しく、忌まわしくも愛しい至福のエッセイ。

  • 単純なレトリックだが、なかなかきれいなタイトル。らも先生にはめずらしい、普段のギャグ混じりよりは少しシュールな本品。特に友達の死について書かれた一編に、秋風が妙になまめかしく、人生の真ん中を感じた。

  • 楽観的な賛美とチクチク切ない賛美と。

    何しようが人間生きていけんだなあ。と思える本。

  • 一章「丸坊主軍団、まいる」では、灘高時代のいきいきとした日々を中心に書かれている。しかし様々なものに興味を覚え勉学が疎かになり次第に落ちこぼれてゆく。その中で、酒を飲んで遊びまわりながら「妙に不安な浮遊感」を覚えていた。

    後半は次第に暗くなってゆき、二章「タナトス号に乗って」・四章「モラトリアムの闇」は、世界と自分への呪詛、全てぶっつぶれてしまえばいいという破滅的妄想、躁鬱病であること、積年の飲酒がたたり死の淵を垣間見たことなどが綴られる。

    暗いがその中に明るさがある本。
    らもさんが生きた時代風景も読みやすく書かれている。

  • 神戸住みとしては知ってる地名がでてきて嬉しい本だった。
    歌い慣れたおじさんの静かなライブで少し酔っ払う。そして、お客さんがうしろのほうでパラパラと笑う。そんなような雰囲気でした。
    心地よいなと。

  • らもさんの青春時代。
    良い青春だったんじゃないでしょうか。
    私の送った青春とは全く違いましたが、そう思いました。

    私は住めば都というか、なんでもよく見えてきてしまうので、
    青春期のこういう怒りというものをほとんど感じないで来ました。
    それも残念やなあと思います。

    でもま、それは人の性格ですネ。

  • 「薄汚れたこの世界に住み暮らして、年々薄汚れていく身としては
    先に死んでしまった人間から嘲笑されているような気になることもある」

    「世界は腐っている、とも思った。
    その腐臭は明らかに自分の胸元からも匂っていた」

    時代の香りだけでない「どうしようもなさ」に溢れた一冊。

  • 退屈に生きないための人生のバイブルです。

  • エッセイってのはまずリアルタイムの方が面白いのは間違いない。今は亡き著者のこのエッセイもこのエッセイが書かれた20年前に読むのがイチバンであったはずだ。しかし、当時の空気感を伝える文献としては面白く読めた。例えば、「ベルボトムのGパン」をはいた長髪の男を見かけて「変テコ」と書いてある。今では別に見かけてもおかしくないが当時は流行はずれで奇異だった。
    著者をはじめいろんな人に憧れていた当時の私。今、当時の著者の年齢をゆうに超えて当時の憧れの人のエッセイを読んで受け取り方の変化を知るのもなかなかいい経験だったかな。

  • らもの幼少期。
    とにかくおもしろい。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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