死神遊び エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

  • 集英社
3.81
  • (4)
  • (13)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 112
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087607222

作品紹介・あらすじ

復活祭のご馳走をテーブルに並べたまま、当時1歳のエッバを残して一家5人が失踪。35年後、エッバがその家に足を踏み入れた時、再び呪いの歯車は回り始め…。超人気ミステリ第8弾。(解説/三橋 暁)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • エリカ&パトリックのシリーズ、8作目。
    相変わらず切れ味鋭く、濃い内容で、平均してレベルが高いですね。

    ヴァール島で35年前に起きた失踪事件。
    寄宿学校の校長一家が、テーブルに並んだご馳走もそのままに、一歳の娘エッバだけを残して消え失せたのだ。
    この出来事の謎がそう簡単にわからず、興味を引っ張ります。

    生き残った娘・エッバが夫と故郷へ帰ってきました。
    途端に止まっていた過去の事件が動き出したかのように、放火が起き、そして‥?!

    エリカは前々作で妹アンナと共に事故に遭い、とくにアンナのほうが重い結果となり、夫婦仲にも影響して、今も苦しんでいます。
    かっては姉に反発していたアンナでしたが、何かと助けられてもいます。

    エリカは作家として、次の目標にヴァール島の事件を取り上げようと考えていたところに、意外な展開があったため、どんどんのめり込んで行くことに。
    夫で刑事のパトリックは、エリカの暴走を心配して止めつつ、エリカの才覚を認めざるをえない‥かも?

    ちょっと、アンナは気の毒すぎる気がしますが?
    な~るほど‥!と唸らされる展開☆

  • 安定した読み応え。
    過去と未来の謎が次第に絡み合っていく様が、いつもながらに考えさせられる。
    それにしても作者はアンナに試練を与えすぎじゃないですかねぇ?

  • エリカ&パトリックシリーズ8作目。待ってたよ、新作。前の交通事故が結構あっさり片付いているのはびっくりした。あまり重きを置かれていない。それよりも、また面白さが復活していた。ここ数作はじめっとしていて、中だるみな感じがあったけど、今作はぐいぐい読ませる。相変わらずエリカの無茶にはいらいらさせられるけど、パトリックたち本職刑事たちはそれぞれ成長している。今回は特にユスタ。だいぶ年だけど、シリーズが続いても退職しないでほしい。以下、あらすじのメモ。

    35年前、島の寄宿学校校長の一家が失踪した。ただ一人残された1才の娘は失意のうちに戻ってきた。すると家の床下からは大量の血液が見つかり、放火も起きる。 

  • 主要キャラがなにかとはなにつく事が多い以外は不満なし。
    プロットとかは相変わらず抜群のセンス。

  • スウェーデンの作家「カミラ・レックバリ」の長篇ミステリ作品『死神遊び―エリカ&パトリック事件簿(原題:Anglamakerskan、英語題:The Angel Maker's Wife)』を読みました。

    「カミラ・レックバリ」作品は、昨年6月に読んだ『霊の棲む島―エリカ&パトリック事件簿』以来… 北欧ミステリは昨年12月に読んだ「ジョー・ネスボ」の『ネメシス 復讐の女神』以来ですね。

    -----story-------------
    復活祭前日、寄宿学校校長の一家が失踪した。
    昼餐が整えられたテーブルに1歳の末娘「エッバ」だけを残して。
    事件は未解決のまま35年の歳月が流れた。
    他の土地で成長し、結婚して子供にも恵まれた「エッバ」だったが息子が突然死して、その不幸から立ち直るために故郷の家へ戻る。
    しかし彼女の帰りを待っていたように家は燃え、床下から大量の古い血が見つかる。
    スウェーデン発大人気シリーズ第8弾!
    -----------------------

    2011年に発表された「エリカ&パトリック事件簿」シリーズの第8作目… 本シリーズは、第7作目まで順番に読んでいるので、「エリカ」や「パトリック」を中心とした登場人物に出会うと懐かしいような、嬉しいような、そんな感情がこみ上げてきます、、、

    さて、本作は35年前に起きたヴァール島の寄宿学校で、当時1歳だった末娘「エッバ」を残して、校長一家5人全員が忽然と姿を消した未解決の事件と、成人して結婚した「エッバ」が幼い息子を事故で喪い、傷付いた心を癒そうと夫とともにヴァール島に戻ってきて空き家のままだった家をリフォームし始めるが、その直後に放火事件・発砲事件が発生し、捜査を進めるうちに、双方の事件の関係や真相が徐々に明らかになるという物語… 不幸な母と娘の物語をはさみつつ、35年前の事件と現在の事件を捜査する「パトリック」たちに感情移入しながら愉しく読めました。


    過去の事件の関係者が別な事件を起こしていたり、当時、失踪した5人は全員死んでいると思い込んでいたら、実は生存している人物がいて、物語の重要な役割を担っていたり… という、なかなか先の読めない展開と、、、

    35年前の事件だけでなく、「エッバ」の曾祖母にあたる「ダグマル」の人生や、約100年前に「ダグマル」の母親が犯した、預かっていた幼児を次々と手にかけた事件(“死の託児所経営者(エンジェル・メイカー)”)等、直接、現在の事件とは関係なさそうなエピソードが、現在の事件を解明するカギとなり、最後にはひとつの環としてつながっていく展開が愉しめましたね。

    そういう点でも、過去の「エリカ&パトリック事件簿」シリーズと同様に、次々に新しい事実や謎が提示され、視点を変えながら物語が進展する「カミラ・レックバリ」らしい作品でした… 特に真実が徐々に判明して、パズルのピースが埋まるような快感が味わえる終盤は、特に早く感じたなぁ、600ページもある大作でしたが、読み終わってみると早かったなぁ、、、

    本作品では、そんな展開に加え、第二次世界大戦におけるスウェーデンの立場や、ナチスドイツとの関係性等を批判的に描いているのも特徴的でしたね… でも、正直、知識が乏しいことから実感が沸きませんでしたけど、現地では未だに様々な意見があるんでしょうね。


    そして、本シリーズのお約束… 「エリカ」が個人的な興味から捜査に乗り出し、好奇心まる出しで自己中心的で不用意な行動に出ちゃいます、、、

    しかも、今回は妹の「アンナ」まで無鉄砲な行動を起こしてしまい、姉妹でやらかしちゃうという展開…  「エリカ」に甘やかされ、自立したい、男に干渉されるの嫌と言いながら、常に男にすがらないと生きていけない「アンナ」は、ある意味、「エリカ」よりも怖い感じがします。

    ご近所にはいて欲しくない二人ですねぇ… でも、これは本シリーズのお約束だから外せないんだろうなぁ、、、

    ヤキモキさせられるのも、作者の意図した展開なんでしょうね… 嫌味に描かれている姑が、意外とフォローしてくれているので、「エリカ」はもっと姑に感謝すべきと思いますが、実生活って、そんなもんなのかな。


    「エリカ&パトリック事件簿」シリーズの第9作目以降は翻訳されていないようです、、、

    本国では第10作まで発表されているのに… 早く翻訳して欲しいですね。



    以下、主な登場人物です。

    「エリカ・ファルク」
     作家

    「パトリック・ヘードストルム」
     エリカの夫、ターヌムスヘーデ警察署刑事
     
    「アンナ」
     エリカの妹

    「ダーン・カールソン」
     漁師、教師、エリカの昔のボーイフレンドで現在はアンナのパートナー

    「エッバ」
     アクセサリー職人

    「モッテン・スタルク」
     エッバの夫、元大工

    「レオン・クロイツ」
     元冒険家、ヴァール島寄宿学校の元生徒

    「イーア」
     レオンの妻

    「セバスチャン・モーンソン」
     事業家、ヴァール島寄宿学校の元生徒

    「ヨン・ホルム」
     政治団体幹部、ヴァール島寄宿学校の元生徒

    「リーヴ」
     ヨンの妻、政治団体幹部

    「パーシ・フォン・バーン」
     貴族、ヴァール島寄宿学校の元生徒

    「ピッタン」
     パーシの妻

    「ヨーセフ・マイヤー」
     事業家、ヴァール島寄宿学校の元生徒

    「レベッカ」
     ヨーセフの妻

    「オーヴェ・リンデル」
     ヴァール島寄宿学校の元教師

    「シェル・リングホルム」
     『ブーフスレーン県民新聞』記者

    「バッティル・メルバリ」
     ターヌムスヘーデ警察署署長
      
    「アンニカ・ヤンソン」
     ターヌムスヘーデ警察署事務官 

    「マーティン・モリーン」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事

    「ユスタ・フリューガレ」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事

    「パウラ・モラレス」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事

    「トールビョーン・リュード」
     ウッデヴァッラ市鑑識班班長

    「リータ」
     パウラの母、メルバリのパートナー、サルサの教師

    「ヨハンナ」
     パウラのパートナー(同性)

    「アーンスト」
     メルバリに懐いている犬、元ターヌムスヘーデ警察署刑事の名前から命名

     

  • 過去と現在の話しが並行して進んでいく。どこでどんな風にそれらが交差するのか全く見当もつかないま。もどかしい。
    そしていくつもの人間模様が展開される。推理もだけどそちらの方が興味深い。レックバリはアンナに厳しい?既に十分辛い目にあってきているのにまた今回も。下手すれば死んでたような状況に陥っている。アンナが今この瞬間を生きようと決めたことにすごく共感しただけに、あとの展開がショックだった。頑張って乗り越えて欲しい。
    とにかく最後の最後まで真相が全く掴めなかった。
    女性の立場についても色々考えてしまった。たくさんの男性にこの本を読んでもらいたい。でもレックバリの読者は女性が多そうですが。

  • エリカ&パトリックシリーズの第8弾。

    うーん、さすがに過去の過ちが暴かれる話が続いて、パターン化し過ぎ?
    過去が関わってくる話の展開は嫌いじゃないし、
    子どもが一人だけ残された食卓、とは興味をそそられる設定だけど。

    パトリックに内緒でユスタに内密捜査をもちかけるとは、
    いかに作家であってもエリカはやりすぎじゃないだろうか。
    パトリックはよく許したよ。

    基本的にお荷物と言うか、足をひっぱっているユスタにスポットライトがあたったのは良かったし、
    昔の事件の事と次第は予想を超えていたので良かった。

    問題はアンナの今後かな。

  • ヴァール島での殺人、40年前と現在

全9件中 1 - 9件を表示

カミラ・レックバリの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×