著者 :
  • 集英社
3.30
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本棚登録 : 1854
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712728

感想・レビュー・書評

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  •  これまで読んだ三浦さんの作品にはないカラーの作品。
     津波によって家族や故郷を亡くした3人・信之・美花・輔。 
     絶対的な力を前に、人はなすすべもないのか、大事なものを守るために躊躇なく罪を犯してしまう歪んだ愛情。かなり重いテーマで、すくいがない。そんな中、家族との平穏な生活に戻っていくラストは共感はできないけど、どんなことがあっても人は生きて前へ進んでほしいという三浦さんの想いなのかなぁと思った。

  • 読後感、重い…。暗い…。救われない…。
    好き嫌いの別れる作品だけど、私は再読はしないかな。
    三浦しをんはマニアックな方面に力を注いで書いた作品の方が好き。

  • 暴力、歪み、そういうものについて、桜庭一樹「私の男」よりずっとうまく書き込まれていると感じた。しをんはやっぱりそれなりに実力を持った直木賞作家で、でもやっぱり直木賞作家で。いやでもうまい。しをんのような大衆小説の上手さと純文学の真髄とをうまく語り得る言葉を探してしまう。人間の歪みはどこからくるのか、わたしたちが生きていくうえでふたをする閉塞感とか、もうどこにも逃げられないかもしれないとか、目に見えるわかりやすい暴力ではないけれど確かに暴力だったりするものとか、そういう日常を生きるうえでちょっとずつ見える影を、わかりやすく劇的にして、エンタメにして、世の中の多くのひとはこういうものをたのしく読んで、またがんばってふつうに生きてゆく。きちんと、それなりに。

  • 暗い気持ちになる本だ。結局、生活も人生も理不尽と暴力を眠らせたまま続くわけで。。この本が東日本大震災の前に描かれた話だってことだけが救い。

  • 読み進めるのが、辛くなった。三浦しをんは何にチャレンジしたのだろう?

  • 三浦しをんさんなので読んでみた作品

    「強く風が吹いている」のイメージで爽やかに読めると期待して読んだ為
    とにかく最初は嫌悪感しか無かった

    でも読み進めていくと怖いもの見たさ、と言うか
    ゾクゾクするのに読む事を止められない不思議な感覚になりました

    結局、一番怖いのは人間なんだろうけど
    私の周りの人達はここに登場するような人物でない事を祈りたい(苦)

    読後は作者の力量にただただ感心しっぱなしでした

  • 津波に飲み込まれた島。生き残ったのは6人だけ。
    中学生の信之は美花を守ろうと生き残った釣り人を殺し、父親に虐待されていた輔は父親が生き残ったことを悔やんだ。
    それぞれが影を抱えて島を出る。

    数十年後、就職と結婚を経て、子どももいる信之。

    執拗なまでに信之に執着し、信之の妻、南海子と不倫している輔。
    信之の影に気付きだす、南海子。

    島での殺人について信之を脅しだす輔。
    かつて自分を虐待していた父親に金を要求され、女優となっていた美花まで脅し始める輔。

    美花に助けを求められた信之。
    信之の影が目覚め、美花のための殺人のために彼は動き出す。

    ----------------------------------------

    あの地震と津波のおかげでイメージしやすかったせいか、津波のシーンがつらかった。

    暴力で傷つけられたものは、暴力によってしか恢復しないと確信する信之。愛情を知らない輔。輔を虐待し続けた洋一。
    彼らの影は重い。

    彼らはそれを日常では隠していた。でも光が当たれば影を隠すことはできない。

    信之の光は美花であり、彼女の為に彼の影は殺人を犯す。


    と、いう意味のタイトルなのかなと思った。
    なんにせよ重い重い内容だった。

  • 三浦しをんの作品なのだが、彼女の作品のなか直木賞を取ったりして売れてきた『まほろ駅前多田便利軒』や『風が強く吹いている』など軽やかなタッチの作品集とは一線を画している作品。
    主人公たちの心の闇は、彼たちが育った島を襲ったチリ沖地震による津波による島の崩壊がもたらしたものだった。津波がお話のきっかけであった故か2007ー2008年の作品なのだが文庫化もおくれている。
    したがって話題に上らなかった作品なのだが、三浦しをんの力を示す代表作の一つに入るのではと思わざるを得ない。暗い話ではあるが三浦しをんファンは是非読んでほしいと思います。

  • なかなか、結局輔は最後まで不幸だな、と思ったけど、でも、輔は最後に、彼の望んだ信之の冷たい目が見れてよかったのかもしれない。ぞくっとした。2,3日ひきずるくらいにはすごい話だった。
    しかしこの人の文体はきれいだなぁ。

  • 内容を見て思わず出版年月日を調べてしまった。

    心に闇を宿しながら普通の生活を作り出していく主人公。美麗な外見と内面にどす黒いものを抱えた女。主人公に執着しつづける幼馴染。過去に壊滅した郷里を同じとするこの3人と主人公の妻子を中心に、昔の因縁に翻弄されながら物語が進んでいく。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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