- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712728
感想・レビュー・書評
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これまで読んだ三浦さんの作品にはないカラーの作品。
津波によって家族や故郷を亡くした3人・信之・美花・輔。
絶対的な力を前に、人はなすすべもないのか、大事なものを守るために躊躇なく罪を犯してしまう歪んだ愛情。かなり重いテーマで、すくいがない。そんな中、家族との平穏な生活に戻っていくラストは共感はできないけど、どんなことがあっても人は生きて前へ進んでほしいという三浦さんの想いなのかなぁと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読後感、重い…。暗い…。救われない…。
好き嫌いの別れる作品だけど、私は再読はしないかな。
三浦しをんはマニアックな方面に力を注いで書いた作品の方が好き。 -
暴力、歪み、そういうものについて、桜庭一樹「私の男」よりずっとうまく書き込まれていると感じた。しをんはやっぱりそれなりに実力を持った直木賞作家で、でもやっぱり直木賞作家で。いやでもうまい。しをんのような大衆小説の上手さと純文学の真髄とをうまく語り得る言葉を探してしまう。人間の歪みはどこからくるのか、わたしたちが生きていくうえでふたをする閉塞感とか、もうどこにも逃げられないかもしれないとか、目に見えるわかりやすい暴力ではないけれど確かに暴力だったりするものとか、そういう日常を生きるうえでちょっとずつ見える影を、わかりやすく劇的にして、エンタメにして、世の中の多くのひとはこういうものをたのしく読んで、またがんばってふつうに生きてゆく。きちんと、それなりに。
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暗い気持ちになる本だ。結局、生活も人生も理不尽と暴力を眠らせたまま続くわけで。。この本が東日本大震災の前に描かれた話だってことだけが救い。
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読み進めるのが、辛くなった。三浦しをんは何にチャレンジしたのだろう?
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三浦しをんさんなので読んでみた作品
「強く風が吹いている」のイメージで爽やかに読めると期待して読んだ為
とにかく最初は嫌悪感しか無かった
でも読み進めていくと怖いもの見たさ、と言うか
ゾクゾクするのに読む事を止められない不思議な感覚になりました
結局、一番怖いのは人間なんだろうけど
私の周りの人達はここに登場するような人物でない事を祈りたい(苦)
読後は作者の力量にただただ感心しっぱなしでした -
三浦しをんの作品なのだが、彼女の作品のなか直木賞を取ったりして売れてきた『まほろ駅前多田便利軒』や『風が強く吹いている』など軽やかなタッチの作品集とは一線を画している作品。
主人公たちの心の闇は、彼たちが育った島を襲ったチリ沖地震による津波による島の崩壊がもたらしたものだった。津波がお話のきっかけであった故か2007ー2008年の作品なのだが文庫化もおくれている。
したがって話題に上らなかった作品なのだが、三浦しをんの力を示す代表作の一つに入るのではと思わざるを得ない。暗い話ではあるが三浦しをんファンは是非読んでほしいと思います。 -
なかなか、結局輔は最後まで不幸だな、と思ったけど、でも、輔は最後に、彼の望んだ信之の冷たい目が見れてよかったのかもしれない。ぞくっとした。2,3日ひきずるくらいにはすごい話だった。
しかしこの人の文体はきれいだなぁ。 -
内容を見て思わず出版年月日を調べてしまった。
心に闇を宿しながら普通の生活を作り出していく主人公。美麗な外見と内面にどす黒いものを抱えた女。主人公に執着しつづける幼馴染。過去に壊滅した郷里を同じとするこの3人と主人公の妻子を中心に、昔の因縁に翻弄されながら物語が進んでいく。