ここに消えない会話がある

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713053

感想・レビュー・書評

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  • 表題作と「ああ、懐かしの肌色クレヨン」の2篇収録。表題作はテレビのラテ欄を作る人々の会社生活を書いたもの。働きながら小説を書いてる女の子が出てくるけど、この子は作者の投影かなぁ?なんて思ったり。ところどころいい言葉があった。もう1篇については、肌色なるクレヨンがもうこの世に存在しないということにワタクシ軽くショック。確かに肌の色は千差万別だから統一できないにしても…。そして、装丁の写真が食パンだと感想を書きながら気づいたよ…。2012/057

  • 広田の恋も、鈴木の恋も、なにも実らないで終わったのがこのお話らしいなぁと思う。人生には、ドラマみたいな幸せも不幸せも、そうそう起きるものではないけれど、たとえば綺麗な夕焼け空とか、職場の人との他愛ない会話の中に、この生きづらい世界を生きていくために必要なものがいっぱい隠れている。生きるのにちょっと疲れたら、また読んでみたい作品。ナオコーラの日常の切り取り方がとても自然で、みずみずしい。

  • ナオコーラさんは、作者の分身のような女性が主人公でないと、
    だからどうしたという感じになってしまうのかもしれない。

  • 『ここに消えない会話がある』

    新聞のラテ欄を作る仕事をする若者たちの話。
    同じ職場なのに、雇い主が違ったりして色々と複雑。


    読み出してすぐに、「またラテ欄ですかナオコーラさん」とツッコミを入れてしまった。
    何気ない会話シーンを、日常の思想シーンのなかに格言めいたセンテンスが入ってくるのはいつもの調子。安心のナオコーラクオリティ。


    --------------------------------

    『ああ、懐かしの肌色クレヨン』

    工場で働く鈴木は先輩の山田さんが転職することを知り、
    彼をデートに誘う。
    鈴木は色が白い女で、山田さんは優しい男性。


    色が白いことの描写があんまり詳しくなかったけど、彼女はアルビノだったのかな。よくわからないけど、惹きこまれる話だった。


    アルビノについて
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%8E

  • ナオコーラさんの作品はタイトル見るだけで、はっとなって、あぁ、知ることができてよかったって毎回思う。

    人間関係の大部分は会話だし、それはいいものも悪いものも全部ひっくるめてひととの繋がりだよなぁ、と感じた。

    職場とか、世間話ができるかできないかでそれを楽しめるか否かで感じ方が違う気がする。

  • 「小説すばる 2009.4」

    やはり同年代の作家さんだけあって、共感するフレーズがあちらこちらに鏤められている作品であった。

    彼女の作品は、平凡な日常にある種のスパイスを与えてくれる。
    それはストーリーの中でもあり、私自身の生活の中でもある。

    【付箋メモ】
    生きるのが面倒なのは、不幸だからではなく、生半可な幸せと堪えられそうな不幸が交互に訪れるからではないだろうか。(p36)

    世間の規範から外れた幸せが欲しい。
    ひとりだけで、こっそり笑うような。(p38)

    誤解が起きたら、言いわけはしないことだ。面倒だからだ。人の噂話はしない。自分の噂は放っとく。否定するのもばかばかしいことだ。
    なんでもかんでも得するように努力することが人生の近道ということはない。得するように考えることは、神経を擦り減らすことになる。(p46)

    二人で黙るのは楽しい。喋ると「伝え合う」ような気分になってしまうけれど、黙ると「共有」のような気持ちになる。(p68)

    痛みというものは消えることがないが、薄らぐという性質を持っている。(p69)

    先に続く仕事や、実りのある恋だけが、人間を成熟に向かわせるものではない。ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。(p69)

  • 正直、すぐに読めたというだけだった。なんとなく言いたいことはわかるけれど、ばらばらしてて印象に残らない。ところどころ共感するところや確かになぁ…と思うところはあるけれど、で?だから?と思うところの方が多かった。この本の魅力はきっと日常的な雰囲気なんだろうけれど、中途半端にキャラクターが出てきたがら可もなく不可もなく、って感じだったなぁ。入り込めなかった。


    合わない合わない思いつつもこの作者の作品を手に取っているということがなんとなく悔しい。

  • 台本調で会話がたんたんとあって、
    伝えたいことをスタイルでも見せてて
    すごいなと思った。

    ここに消えない会話がある。
    先に続く仕事や、実りのある恋だけが、
    人間を成熟へと向かわせるわけではない。
    ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。


    で、その会話がくだらないのに哲学的でおもしろい。
    くだらないってのは、面白おかしいんじゃなく、
    どうでもいいのにってこと。

  • すごく好き。
    まずタイトルが好き。
    消えない会話ってなんだろう?
    何が消えないんだろう?
    とても気になってワクワクした。

    淡い日常の中で交わされるたくさんの言葉は、それを口にした人とそれを耳にした人の中に少しずつ蓄積されていく。
    例えば毎朝お決まりのように発する「おはようございます」でさえ、それを言った自分と言わなかった自分を決定的に隔てる重要な何かになるのではないか。
    この本を読み終えてぼんやりとそんなことを考えている。

    小説の中で交わされる言葉は、輪郭が曖昧で、温度は温めで、色はパステルカラーのように淡い。
    シャボン玉みたいにふんわり生まれて、ふわふわ漂って、いつの間にかパチンと消えている。

    でも消えたと思っていたその一言は、消えたのではなくて本当は吸収されたんですよ。
    あなたの中に沁み込んでいったんです。
    ふんわりと生まれた一言が、意識しないまま消えた一言が、あなたの目線や心の向きをちょっとだけ変えているんです。
    その積み重ねが今のあなたです。

    消えない会話ってそういうことかな?
    そんな気がする。
    山崎ナオコーラさんが書きたかったこととは違うかもしれないけれど。

  • 淡々とした文章を
    淡々と読み終えてしまった。

    全体的にふわ〜っとした印象。
    読後は内容、メッセージうんぬんより
    ふわふわした感覚だけ残る感じ。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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