静かにしなさい、でないと

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 242
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713206

感想・レビュー・書評

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  • どうしようもない歪みを抱えて生きる登場人物たちの短編集。
    たまに妄想と現実の境界線が曖昧になる。
    おかしいのは主人公なのか、社会なのかわからなくなる。

    読んでてまったく楽しくはない。
    でもわざと傷口を開いてみるような暗い喜びを感じてしまう。
    心の不健全な部分を刺激する小説。

    帯に書かれた「身の丈にぶち当たった人たち」という表現が非常に的を射ていると思った。
    朝倉さんの小説全般がそう。
    人はいつか身の丈にあった自分に納まる必要性を理解するけど、
    自分が妥協して納まろうとする身の丈すら、
    本当の自分の器より大きくて立派なものなのだろう。
    自分自身の価値なんて思っているよりずっとずっと小さくて、
    能力はさほど高くなくて、できることは限られている。
    誰もが程なくして気づき、でも傷ついたそぶりを見せずそっと消化してきたものを引きずり出して突きつけてくるような。
    忘れた振りをしている虚無感を拾い上げて針で刺すような物語。

    本当にこの人の小説は、とくにこの本はまったくもって健全ではない。
    夢も希望もないし前を向いて生きていくパワーを一滴もくれない。
    でももがくことなく沈没していく人を見るのも悪くない。
    世の中には頑張れがあふれているから、
    頑張ったって意味ないよ、という囁きがたまに欲しくなる、そんな感じ。

  • 代表作とされている『タイム屋文庫』が好みではなかったためなんとなく距離を置いていたものの、昨年読んだ『感応連鎖』がとても良かった(そして既存著作がたくさんあり、図書館に行くと大抵何か借りられる)ので、最近よく読んでいます。本作は "そこに在り得る狂気" を納得させられるのが怖い。

  • ちょっと道を踏み外した、イタくて勘違い気味な女たち。
    でも、「怖いもの読みたさ」的に引き込まれてしまった。
    好みは分かれるかもしれないけど、私は嫌いじゃないな~。
    思い込みの激しさがどこか滑稽で、微かに哀しくて。
    「朝倉節」が効いてます。

  • 容姿に恵まれず、そのせいで他者との関係構築がうまくできない女性ばかり登場する短編集。読んでてイタくなるほどです。さすが朝倉かすみ。でも読後感はよくないですw

  • よく分からなかったのと、文体が好みじゃないのと。
    いつかもう一度読みたいな。

  • 新刊が出たら自動的に読む作家さんなので。

    一癖も二癖もありそうな女が主人公の短編集。
    ねっとりべたべたっとした内容で、どれも読み心地が悪い。
    角田光代さんに読後感が嫌な感じの小説があるけど
    それと似ているような。でもそこまででもないような。
    角田さんの小説は怖いものみたさで、一度読んでからも
    再読したくなる話が多いが、これは再読したくもならない。

    やっこさんの題名の話なんか川上弘美さんのように
    穏やかな気持ちで読めそうな感じでいて、終わり方はねっとり。
    (中年男女が遠くの街へ引越してきて、わけありごっこを
    楽しむような感じがにていたんだけど)
    読み返したくもならないし、読んで心持がよくなるわけでもない。
    題名のとおり、尻切れトンボのような物語ばかりだった。
    これを読んで共感する人は少ないだろうな。他人の人生を
    ちょっぴり垣間見るような感じかな。

  • こわい。でもわらう。

    さくさくと、読んだ。

  • 短編集。どの主人公も自分について語る、語る。
    短いページ数の中で、誰もがはっとするほど強い個性を残していく。

  • 女性が主役の小説って、あまり読んだことがないけど、これはオモロイね。ちょっと、怖い、イタいところが、また最高!

  • 思いもよらない方向へと登場人物の思考が流れていく。
    なんていうか普通じゃない。だから、面白い。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-522.html

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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