原稿零枚日記

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 988
感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713602

感想・レビュー・書評

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  • 結構読むのが辛い文章だったけれど、生と死をテーマとした妙に面白い小説で不思議な感覚でした。

  • 苔やはらかに。
    伊藤香織

  • 小川ワールド全開の不思議な作品。現実と虚構の境目が曖昧で一歩間違うとこちらの世界に戻ってこれなくなりそうな世界観。『人質の朗読会』を先に読んでいたので思いがけずB談話室が登場した時にはテンションがあがってしまった。小川さんの日常もこんな風に過ぎ去っていくのかなーなんて思った。2011/446

  • 川上弘美さんの『東京日記』が、「少なくとも5分の4くらいは本当」なのに対して、小川洋子さんの方はというと、「5ぶんの1」くらいの事実が限りなく逸脱してゆくというスタイルである。しかも、前者は簡潔で俳諧風な趣きだが、こちらは幻想文学の一歩手前に踏みとどまることで、かろうじて日記となっているのである。まことに、この作家らしいスタイルだ。ただ、「母のよそ行きの靴を買う」が、はからずも語っているように、その背後には「消毒液のにおいが染み込んだ靴」という辛く、できることなら直視したくない現実がそこに横たわっている。

  • 日記形式ということもあり、終始一貫して不思議なお話。
    よくわからない不気味さが常に漂っていたが、それが読まずにはいられない魅力でもあった気がする。

  • あらすじの得意な、おそらく、気の弱いでも、頑固だろうと思われる独身女性の日記形式。
    私が特に気に入ったのは、Z先生の7作のあらすじのところ。

    あとは、盆栽フェステイバルの桂チャボのところも、いいと思いました。

    小川洋子さんの作品て、どことなくほんわかしていて、とがっていないような、優しさがあって、ゆるゆるしたくなる感じですよね。
    不思議な空気が漂います

  • 彼女の冷静な狂気には、いつも恍惚とさせられる。

    二度と広い世界には出てこないドウケツエビ、
    赤ん坊に吸われて死人のような紫色に変色した指、
    母親の爪を燃やしている様子。

    図鑑の文章を「無欲で平易、とてつもない事実をさりげなく提示する」といった表現は小川洋子らしい、彼女の作品にしばしば出てくるテーマだと思う。

  • 不思議な本だった。とても不気味に感じられて少し、怖い。

  • 「あらすじ係」。
    小説はなかなか書けないけれど、「あらすじ」は書くことができる。本物よりも長い「あらすじ」を作れるし、また、実在しない小説のあらすじも書ける。

    時々、運動会に紛れ込み、その場になじむ(「運動会荒らし」)。
    しかし、「パーティ荒らし」を発見する。お互いの共通点を理解。
    「本来いられるべきでない場所に紛れ込んでいる」

    とても不思議な小説。日記形式。「あらすじ係」。「苔料理」。「チャボ」。「泣き相撲」、「チョウチンアンコウ」…。どの「日記」にも、小川洋子さん独特の世界観がある。

    読み返したい。

  • 作家である私の、原稿零枚の日々の日記。

    取材先の宿泊施設で食べた苔、子供時代の思い出
    病気の母、小学校の運動会に潜入したり、生活改善課のRさん。
    盆栽フェスティバルに、あらすじ係と健康スパランド。
    パーティー荒らし、子泣き相撲、暗唱クラブに、現代アートの祭典。

    毎日なにかしらの出来事が起きていると同時に人との営みが垣間見る。

    不思議な感覚の日常かな~。どこか見知らぬ世界へ迷い込んでしまったかのような気持ち。

    あらすじ係を公民館のB談話室でやるて、人質の朗読会にもB談話室出てきた!!w

    現代アートの祭典ツアーはミステリーぽくてちょっとホラーちっく(笑)
    子泣き相撲で赤ちゃんが、「両足でピコピコ宙を蹴るさまは自由で力強く~」って表現が可愛らしくてニヤニヤした)^o^(

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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