- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713602
感想・レビュー・書評
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結構読むのが辛い文章だったけれど、生と死をテーマとした妙に面白い小説で不思議な感覚でした。
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苔やはらかに。
伊藤香織 -
小川ワールド全開の不思議な作品。現実と虚構の境目が曖昧で一歩間違うとこちらの世界に戻ってこれなくなりそうな世界観。『人質の朗読会』を先に読んでいたので思いがけずB談話室が登場した時にはテンションがあがってしまった。小川さんの日常もこんな風に過ぎ去っていくのかなーなんて思った。2011/446
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川上弘美さんの『東京日記』が、「少なくとも5分の4くらいは本当」なのに対して、小川洋子さんの方はというと、「5ぶんの1」くらいの事実が限りなく逸脱してゆくというスタイルである。しかも、前者は簡潔で俳諧風な趣きだが、こちらは幻想文学の一歩手前に踏みとどまることで、かろうじて日記となっているのである。まことに、この作家らしいスタイルだ。ただ、「母のよそ行きの靴を買う」が、はからずも語っているように、その背後には「消毒液のにおいが染み込んだ靴」という辛く、できることなら直視したくない現実がそこに横たわっている。
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日記形式ということもあり、終始一貫して不思議なお話。
よくわからない不気味さが常に漂っていたが、それが読まずにはいられない魅力でもあった気がする。 -
あらすじの得意な、おそらく、気の弱いでも、頑固だろうと思われる独身女性の日記形式。
私が特に気に入ったのは、Z先生の7作のあらすじのところ。
あとは、盆栽フェステイバルの桂チャボのところも、いいと思いました。
小川洋子さんの作品て、どことなくほんわかしていて、とがっていないような、優しさがあって、ゆるゆるしたくなる感じですよね。
不思議な空気が漂います -
彼女の冷静な狂気には、いつも恍惚とさせられる。
二度と広い世界には出てこないドウケツエビ、
赤ん坊に吸われて死人のような紫色に変色した指、
母親の爪を燃やしている様子。
図鑑の文章を「無欲で平易、とてつもない事実をさりげなく提示する」といった表現は小川洋子らしい、彼女の作品にしばしば出てくるテーマだと思う。 -
不思議な本だった。とても不気味に感じられて少し、怖い。
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「あらすじ係」。
小説はなかなか書けないけれど、「あらすじ」は書くことができる。本物よりも長い「あらすじ」を作れるし、また、実在しない小説のあらすじも書ける。
時々、運動会に紛れ込み、その場になじむ(「運動会荒らし」)。
しかし、「パーティ荒らし」を発見する。お互いの共通点を理解。
「本来いられるべきでない場所に紛れ込んでいる」
とても不思議な小説。日記形式。「あらすじ係」。「苔料理」。「チャボ」。「泣き相撲」、「チョウチンアンコウ」…。どの「日記」にも、小川洋子さん独特の世界観がある。
読み返したい。