- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715477
作品紹介・あらすじ
白血病で療養する父の持物の中にみつけた、小さな青い蝶がとめられた標本箱。それは昭和20年8月に突然断ち切られた、淡く切ない恋物語を記憶する品だった。圧倒的な筆力が賞賛された感動のデビュー作。第26回小説すばる新人賞受賞作
感想・レビュー・書評
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感想
誰も知らない歴史。戦禍が広がっていても人々は仕事をして恋をして日常を送っていた。生活があった。教科書だけでは学べない。戦争の中の日々。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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確かに小説を読んでいるのだが、映像が目の前に浮かび上がるかのよう。鮮烈であり、美しくもあるが残酷で、私たちが決して忘れてはいけないこと。
死にゆく被曝体験のある老人、当時の状況が同時に進行していく。
当時少年の亮輔は、離れに住む軍人の父親の妾である、まだ少女のような希恵に淡い恋心をいだく。
新米教師と被爆者である亮輔との口論。被爆者における被曝体験の事など、テーマは多く触れられている。
ものすごい小説です。多くの人に読んでいただきたい一冊ですね。 -
なんか、良かった。青い蝶が目に浮かぶ。この時期に読めてよかった。この作家さん、爺さんかと思ったら案外若くしかも女性!
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第26回小説すばる新人賞受賞作。広島に落とされた原爆で引き裂かれた、幼い恋の物語。声高に「反戦、反核」を訴えるお話ではないのですが、日本人はヒロシマ、ナガサキを忘れてはいけないと改めて思いました。
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2014.2.10発行。第26回小説すばる新人賞受賞作品、「八月の青い蝶」、周防柳(すおう やなぎ)、女性作家さんの悲しい物語です。<昭和20年8月6日、広島で被爆した中学生の少年が、65年後死期が迫った病床で、悲しい初恋の記憶をふりかえる・・・「蝶」にまつわる物語です>紹介いただいた読友さんに感謝します!周防柳さんの次の著作、楽しみです!
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第26回すばる新人賞受賞作。
新人の作品とはとても思えぬ筆致。
1945年8月6日を生き抜いた人それぞれに歴史がある。
被爆した亮輔と、娘きみ子の担任と
のやり取りがこの作品の肝ではないか。
語り尽くせぬ歴史が各人にある。
胸に秘めて静かに生涯を終えようとしている亮輔の初恋、決意。
これは、できれば8月の広島で読みたかった。
映像化されたら正視できない描写もありますが、でも、あの日の広島は地獄のようだったのでしょう。
作者は広島出身なのかと思わせるくらい、広島の言葉が自然に織り込まれていました。
やねこい、えっと、さでこむ…