- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087716559
感想・レビュー・書評
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瀧本哲史氏の著書で読んだのは、これが3冊目。タイトルが気になって買った本。読んでよかった。比較対象であげられている本の片方しか読んだことがないパターンが多かった。今まで、あるテーマの知識を増やすために複数の本を読むことはあったが、本同士を戦わせて読むという考えはなかった。
自分も将来こんな本が書きたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たしかに体力はいります
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書物や引用物を読む際には、データや文脈や時代背景を確認することが重要であることを説いた本。「自分の頭で考えて読書しましょう。」というメッセージ。また瀧本先生は、文学作品の抽象化に長けていること、インプットされている知識量が膨大であることを再認識した。
興味を惹いたのは、「正義」について。そもそも格差是正が是であるという前提などを疑っている。
・正義について
正義論(ロールズ)
組織を作る際、ヒトは自分の地位が有利になるよう仕組みを作るものである。しかし、「無知のベール(自分がどの立場になるか不明な状況)」の下では、「最悪のシナリオになった際に、最大の利潤を得られる仕組み(最悪の展開でも、まあ悪くないかと思える状況)」を選択する傾向にある。(ゲーム理論における「マキシミン原理」)
かくして、利己的な判断が全体で見ると利他的な組織(相手の気持ちを慮るという感情論でなく、自分の利潤を確保する勘定論なのに良い組織)が完成するはずであるという架空の設定における話。
→批判としては、前提としてなぜ国家を作る前提にあるのか。無知のベールおよびマキシミン原理が発動することに蓋然性があるのか。
アナーキー・国家・ユートピア(ノージック)
国家を成立させるにあたり、自己の利潤を最大化させる「万人の万人に対する闘争」状態ではないことを前提に、ヒト同士が自分の身を保証するための保証協会を作り始めるという仮説。これは「維持費は加入者数に比例しない上に、多くの人が入っている方が信頼度が増す」という規模のビジネスとなるため、大手が中小を食う&ユーザーが大手に乗り換えるため、いずれは1つの協会に統一される。そして、この協会によって守られていること以外は個人の自由であるというユートピアが完成するという話。アナーキーは無政府国家、ユートピアは桃源郷の意。
→個人の理性を信頼し、国家から取り返した正義を個人に託した型。前者の正義論は、仕組みを構成員の一致で決める方式なのに対し、後者は構成員に保証協会の選択権が生じるため、現実的であるという意見がある。 -
読書とは、単に受動的に読む行為ではなく、「本当にそうなのか」と著者の考えを反証し、自分の考えを作っていくという知的プロセスである。
同じテーマについて異なるアプローチから書かれている2冊の本を軸に「格闘」していくという視点は、他の書評(本)にはあまり見られないものであり、参考になる。
各章末にもブックガイドがあり、読書の幅を広げてくれる。
本を読んで、「ただ読んだだけ」で終わらせないこともまた重要。 -
別にどんな読み方をしたって構わないけど、読書って楽しい。もし意見と意見がぶつかりあうのなら、そしてそれを観戦し、自分の思考を推し進めることができるなら、もっと楽しい。
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<目次>
はじめに
第1章 心をつかむ
第2章 組織論
第3章 グローバリゼーション
第4章 時間管理術
第5章 どこに住むか
第6章 才能
第7章 大勢の考えを変える(マーケティング)
第8章 未来
第9章 正義
第10章 教養小説~大人になるということ
第11章 国語教育の文学
第12章 児童文学
<内容>
毎回2冊の本を対比させながらその本の魅力を語る。各章の最後にその分野のブックガイドが付く。なかなか面白い企画でした。多くの本を読んでいないと書けない本でしょう。『1984年』はかつて読みましたが、何が何だかわからなかったのですが、著者の読み方を読むと、再読したくなりました。 -
連載中から追いかけてたけど、1番このシリーズが未知なことの割合が高く興味深かったように思う。いつもの冒頭のこのままではもうダメです煽りもなく、手っ取り早く本題に入ってたし。これどうなの、格闘する価値もないやつでは、と思うものもなくもないけど、とりあえずいくつか読んで見るつもりでおる。
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ある分野の理解を深めたいときには、その分野で“権威”とされている本を何度も読めば足りるのではなく、その分野の両極の考え方を知る必要があるというのを最近思っていたが、本書を読んでその認識を強化した。
この人は『タッチ』を論じさせても面白い。
しかし読みやすい文章を書くよなー。
個々の本の紹介も参考になった。 -
ブキケツ超え
本の読み方の視点がnewでした。手間かけて作ってるなと思いました。