イノセント

著者 :
  • 集英社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716566

感想・レビュー・書評

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  • ナラタージュから10年、大人になった島本理生がまた心に残る作品を書いてくれた。
    最初は正直、主人公の比紗也にも真田にも共感を覚えず、ただひたすら如月神父の苦悩に思いを寄せて読んでいた。
    脳内から聞こえてくる、そそのかすような「あいつ」の声。疎ましく思っていたその声は、結局もう一人の自分の声だった。如月の葛藤。神父としての自尊心。そして、真の献身とは。
    本当に大事な人を失くした心の穴がふさがることはないと気づいたとき、当初共感を覚えなかった主人公の心情にも寄り添うことができ、物語は希望のラストを迎える。
    「人間に対する希望を失くすことが、一番の絶望でしょう」藤野シスターが比紗也にかけた言葉を、自分にかけられた言葉のようにずっと反芻している。

  • 愛されたいにゃ。

  • 後半どんどん面白くなった

  • P215
    期待なんて裏切られるんだ。当たり前だ、皆、そうやって生きてる。おまえだけじゃない。それでも必死にやったら蟻一匹くらいは報われるかもしれない。徒労だし理不尽だろう。だけど、救いっていうのは、そういうもんだ。蟻一匹の為に永遠の命をつかってこいよ。

    そんなかっこよくあり一匹と潔く言われたことに、ガツンときた。徒労に終わるかもしれない事でも、自分に少しの期待が見えているなら、もともとない事だと思ってやってみた方がいいな、と思えた。

    P220
    「気持ちを察して下さい。自分を傷つけた相手と向き合ってしゃべるなんて、凄く勇気のいる事です。」

    なんてかっこいい。両方の人を大事に想っていなければ、言い放てない一言にアッパレ!!

    さて、
    気になって読み進めて、読み終わってみたが、何とも言えないモヤモヤしたものが心に残る。読んでいて、なんでこのタイトルなのか、ずっとわからない。
    →「イノセント」とは、無垢・潔白・無害のことを意味する英語表現である。
    と、調べてみてもピンとこない。
    無垢なところあった?
    純白ってどこだ?
    無害?
    もう紡ぐ君や紗雪(だっけ?)ちゃんのことしか、イコールにならない。

    んでもって
    修道院ってそんな感じで受け入れてくれるの?
    主人公のお父さんをそうやって面倒見れるの?
    と気になってしまって、なんだかなぁ。

    時々出てくる、宗教を絡めたストーリー。島本さんは、なんで絡めるのかな?ほかの作品をもっと読めばわかるかな?
    「よだかの片思い」のイメージがまだ残る。体力ある時にまた違う作品読んでみようかな。

  • だれかを信じたい縋りたい愛してほしい
    けど、過去に傷ついてばっかりだったから、怖い。
    すごく共感した。
    幸せをあきらめなかったら、きっといいことがある。

  • なんだか掴みどころのない話だった…。

  • この方のセックス描写好きだな。
    いささか少女マンガ的だが読ませる。函館行きたい。
    ただ、キリスト教は題材としてちょっと荷が重かったんじゃないか?と感じた。なんかうすっぺらいというか。ただ修道院に逃げ込んだだけにすればよかったのにとちょっと思った。

  • 比沙弥と真田の関係性のもどかしさが切ない。お互い言葉足らずで、思い合っているのにすれ違いばかり。
    でも終盤で真田が自分の気持ちを素直に伝えるようになっていく様子は素敵だった。本の中にもあったが、素直になることや弱みを見せることは負けではない。でも無意識にそう振舞ってしまうからこそすれ違う。素直に自分を見せることは2人にとってとてもハードルの高いことだったからこそ、その囲いが取れたのは読んでいて本当に嬉しくなった。

    比沙弥の男の欲望が怖いと話したときのやりとりが好きだった。納得はできないけど真田の飾りのない表現がよかった。

    如月の比沙弥の守り方?も現実離れしているけれど、比沙弥が話しているように、肉体関係なしであそこまで人のために尽くせるのはすごい。


    最後の2人の結ばれ方が素敵。

  • 2021.08.28

  • 現実に近くに主人公みたいな人が居たら、理想では店長みたいな関わり方をしたいと思いながら、実際は距離を置くだろうなと思った。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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