- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087747430
感想・レビュー・書評
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以前読んだ、中島さんの「院内カフェ」が、短編ながらすごく印象に残っていたので、図書館でこの本をみつけて、迷わず借りた。
やっぱり良かった。
中編くらいのお話なのだが、都会で一人で生きるアラサーの現実というのだろうか、簡単に誰かに頼ることができる年齢でもなく、一人で抱えるうちに体調が悪化していく主人公のみのり。
西洋医学的には悪いところはない、と言われてしまうが体の痛みは現実だ。
十代の頃にかかった漢方医を思い出し、訪れると懐かしい院内の香りに安心する。
西洋医学の対処療法ではなく、崩れたバランスを取り戻すために根本的な治療をするため調合される自分だけの漢方薬。
時間はかかったが、少しずつ体調が戻ってくると同時に気持ちも前向きになっていく。
著者の中島さんの体験をもとに書かれたそうだが、一人暮らしというのは、気楽なようで不安と隣り合わせ。
でも、日々それを気にする余裕もなく、気づけば体調不良に…というのは誰にでもありそうなこと。
私も小さいころから東洋医学にお世話になってきたので、共感するところが多かった。
2021.4.18詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
娘の蔵書より拝借。
東京の片隅にこんな女性が実在しそう。作者さんの体験なのかな?と思った。
病名がつくわけではないけど身体が不調ってあるある。そんなときに漢方に頼るって手段もありだな。弱っているところを補ってバランスとるって考えかたは何となく腑に落ちる。今は必要ないけど、覚えておこう。よい先生に出会えるといいんだけど。 -
謎の体調不良に悩まされる
31歳・映画脚本家の川波みのり。
西洋医学では「異常なし」と
言われ続けた彼女が、
最後にたどりついた5人目の医師は
東洋医学の医師でした。
漢方や東洋医学の知識に少しずつふれ、
仲間とのやりとりの中で
みのりは次第に
心身ともにバランスを取り戻していく…
というお話。
「何が起きているのかわからないという恐怖から解放されて、あらためて自分が今までけっこう気張っていたことに気づいた。」(23ページより引用)
西洋医学に慣れている私たちは
病院にかかって病名がつくと、
なぜか少しほっとします。
根拠は?原因は?と
つきつめる科学の世界では、
病名がつくことが普通だからです。
病名がつくと
「自分はふつうの患者だ」と
自信がもてるし、
堂々と通院もできます。
あなたは
「病院にかかってもいい病気」だからね、
と太鼓判をおされるといいますか…
でもそれが、変な話、
安心につながっています。
けれど
世の中にはまだまだ、
科学的に説明できないことが
山ほどあります。
頼りの科学的な西洋医学に
そっぽむかれたら?
不調があるのに、
西洋医学では「異常なし」と
太鼓判をおされてしまったら?
病院には堂々と出入りできないし、
病人にもなれません。
確かに不調なのに認められない感じがして、
自分自身さえも不確かな存在のように
感じてしまう…
ここにつけこまれると、
悪徳治療につかまってしまうのですが、
みのりは
腕の良い漢方医に出会えたのですから
幸運です。
東洋医学は
病名にはこだわりません。
人をまるっと全身全体的にみて、
整えていくからです。
西洋医学と東洋医学、
どちらが良い、
ということではありませんが、
人間を一部分だけみて
治そうとすることには限界があることは、
知っておいた方が良さそうです。
漢方についての記述は漢字がやや多く、
軽めに読んだところもありますが、
要所要所で気になる文章が出てきます。
読み終えたあと
書きとめたメモをみたら、
6箇所ありました。
著者の「院内カフェ」という小説の原石?!とも言える小説です。
「漢方小説」「院内カフェ」ともに
ぜひお楽しみください。
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2019/11/16
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やまさん、おはようございます☺️
晩秋のお日さまは、ほっこりしますね。こんな日には漢方小説オススメですやまさん、おはようございます☺️
晩秋のお日さまは、ほっこりしますね。こんな日には漢方小説オススメです2019/11/16 -
続き→からだも心もいたわりつつ、ゆっくりしあわせな1日を、お過ごしください~koyukiusagi続き→からだも心もいたわりつつ、ゆっくりしあわせな1日を、お過ごしください~koyukiusagi2019/11/16
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31歳女性の主人公が、UNIQLOのパンツがはみ出したお尻を玄関に向け倒れ、救急車で運ばれるという衝撃のシーンから始まる本作。
自分の病気は何?原因をはっきりさせて欲しい!と願うみのりさんが、病名ではなく自分の体と向き合っていくまでの過程が、読んでる私にも新たな健康観を発見させてくれた。
病気と対峙するのではなく、その病気の真ん中にドンと座って内側から己を見るという視点は、健康ではない自分も自分なのだ、と受け入れている気がする。 -
30代前半の独身女性の主人公が、元カレの結婚をきっかけに、原因不明の震えや体調不良になり、病院を転々としますが、西洋医学上では、何も異常がなく、精神的なものじゃないかと言われてしまいます。そこで、昔通ったことのある漢方診療所へ行き、東洋医学の視点から診察を受け、漢方薬を処方されます。彼女がだんだんとよくなっていく様子と共に、主治医とのやりとりや、彼女の周りの人達の悩み、日常を描いた物語です。
主人公が、病名を医師に尋ねた時、東洋医学の先生は、ない、と答えました。西洋医学では何かしら病名をつけるのに対し、「あなただけの病気」と表現していて、自然とその言葉は安心感を与えるものとなります。
陰陽五行説や、五臓六腑、気血水、など普段聞くことが少ない用語が出てきますが、とてもわかりやすく解説してあります。
私達日本人は、東洋人であると同時に西洋からの文化も日常に入っています。西洋医学からの視点の病気の実態、病院の実態の本は、沢山ありますが、漢方、東洋医学からの視点はとても新しく感じました。
私も、西洋医学の病院でたまたま漢方に詳しい先生に診ていただき、何個か漢方薬を服用しています。それまでは漢方とか東洋医学って怪しいというか、実際の自分の生活の中でなかったものなので、どうなのかなあと疑問を感じていた部分も多くあったのですが、この本を読んで、漢方、東洋医学の考え方についてはもちろん、漢方薬の元の成分について詳しく知りたくなりました。この本を読んでから病院に行くと、今までよくわからなかった詳しい説明にも興味が持て、理解できるようになりました。
この主人公の女性の年代ではありませんが、西洋医学だけでは根治できない方、また東洋医学に少しでも興味のある方に、とてもオススメの本です。 -
西洋医学でどこも悪くないと言われるのに体は不調を訴えている。これってある年齢以上の女性だったら絶対経験のあることじゃないかな。プライベートや仕事に行き詰まりを感じて、体まで不調を訴えてくる。病院の先生には冷たく異常なしと突き放される。そんな時に寄り添ってくれる中医学と漢方。情緒と臓器の組み合わせが繋がっているという七情という考え方は興味深かった。私も軽い漢方薬を常用しているけど、原因は分からないけど何となくの不調に何となく効いてるかなという程度。飲んでるという精神的な保険は確かにあるなと思いました。
この本自体が漢方薬のように優しく癒してくれるような本です。
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さらりと読めた。自分もなんとなく調子が悪い、という時が多々あるので、なるほど中医学か、と思った。興味深い。
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体調を崩したものの、どの医者にも「異常なし」と言われ、最後に頼ったのが漢方医。処方された漢方薬は確実に効き、さらに医師は若くて笑顔が素敵。俄然漢方に興味が湧く主人公。ストレスに晒されながら生きる主人公と友人たちと漢方の物語。
私もこのところ西洋薬より漢方薬に頼ることが多くなり、薬名と効能をメモしたりする程度の興味はあったので、この小説の漢方豆知識はなかなか勉強になった。
病気も自分の体の一部。こちらが上がればあちらが下がり、均衡を保つのは難しいけれど、調子が悪いからと無闇に悲しむことはない。悪い所を直接攻撃して排除しようとする西洋医学と違って、東洋医学は全体を見て上手にバランスが取れるよう調整していく。人間関係だって、東洋医学風にやっていけばストレスが少ないのだろう。
何より文章が面白い。救急車で病院に運び込まれる冒頭の描写からいきなり引き込まれてほぼ一気読み。話が楽しい友人のブログを読んでいるようなディテールの細かさとユーモア。著者と主人公の職業が同じなので、ある程度は実体験を元にしているのではないかと想像。