蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747706

感想・レビュー・書評

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  • 常野一族について何も知らない視点から読む事ができるので物語がわかりやすかった

  • 常野物語シリーズなので常野の人がメインの話かと思いきや、主人公は普通の女の子で常野の人たちも以外と活躍がなかったです。

    主人公の回想で物語が綴られ、少女時代を振り返ります。
    身体が弱いけれど聡明で優しい聡子さまと過ごした日々や、春田一家との不思議な出会い、淡い恋心など。
    前半はまったり過ぎるので何かを期待して読むとやきもきします。

    私的には、廣隆さまとねこのその後が知りたかった!聡子さまと永慶さまが幸せになれなかったのも残念。

    常野のドキドキを期待して読むとあまり楽しめないと思う。はじめから違う作品だと思って、腰を据えて浸って読むと世界に入り込める。
    いつかもう一回はじめから読んでみたい。

  • 私は、世界はもっと劇的なものだと考えておりました。ひとつの激しい流れのようなものがあって、そこに投げ出されたり、飛び込んだりするというような。
    けれど、実際のところはそうではないのです。いつのまにか、ひとは目に見えない流れの中にいて、自分も一緒に流れているので流れの速さを感じることができないのです。
    そして、世界はひとつではなく、沢山の川が異なる速さや色で流れているのでした。見たこともない川、流れているのが分からないほどゆったりした大河、またはちょろちょろと茂みの陰を流れる支流や、ひっそりと暗渠を流れる伏流水、



    廣隆さまとねこがくっつて欲しかったなあ。
    (峰子だから「ねこ」!かわいすぎる!)
    最後が悲しい終わり方で残念でした。

  • 主人公であり語り手である峰子と、病弱だが聡明で美しいお嬢様聡子。
    もう長くは生きられないという聡子のもとへ遊び相手として出向くうちに、聡子の家の人々、客人、お手伝いさんなど、たくさんの人と触れ合うようになる。そして、突然やってきた春田一家は、常野の一族だった――。

    最終章「運命」ではくるくると回転するラストシーンに胸が痛くなった。
    聡子の村を守ろうとする強い思い、光比古が聡子の葬儀の時に「しまって」いた聡子の思い出を見せる場面など、感動的だった。

    常野の話だと思って読んだら主人公は常野ではなかったけど、良かったと思う。

  • 常野シリーズ第二弾
    蒲公英草紙では廣隆さま!

  • 幸福な少女時代を描いた物語。
    常野と呼ばれる不思議な能力を持った一族が話の鍵を握っています。
    そして、聡子お嬢様を初めとした屋敷の人達との邂逅、廣隆との初恋などを軸にきらきらと輝くような季節が描かれています。
    ラストは涙なしには読めませんでした。
    ★四つにしたのは、幸福な時代が過ぎ去ってからのラストがあまりに悲しかったからです。

  • 日清戦争後の東北地方が舞台。
    村のそばを流れる川の流れ、道の途中に現れる雑木林、風に揺れる青々とした稲田。
    村の中心には、槙村家という古くからの郷士の一家がいて、代々村のために貢献し、人々の尊敬を集めていた。
    槙村の末娘聡子は生まれつき病弱で、家の中からほとんど出ることがない。
    その聡子の話し相手として、近所の医者の娘峰子が屋敷に通うことになった。
    そして、ある夏、「常野(とこの)」と呼ばれる不思議な一族が村を訪れる――というお話。

    物語は峰子の回想という形で語られていき、近代国家として産声をあげたばかりの時代の空気を織り交ぜながら、槙村の家の人々や村の風景、常野一族の周囲で起こる出来事が、わかりやすく描かれています。

    「遠野物語」のような雰囲気が印象的。
    加速していく時代の流れに押し流される寸前の日本の一瞬、をとらえてもいます。
    人が生きていくこととは何か、という問いかけが骨組みにあって、さらりと読み流せないもの、がきちんと潜んでいます。
    そう、潜んでいる、ということが大事。
    前面に出てしまうとしらけてしまうので。

    文章、文体には、特に「うーん、スゴイ」とうならせるようなものはないのですが、ストーリーテラーとしての面白みは感じる作家。
    構成とか展開とかのうまさ、ですね。
    この小説が一人称で語られていたせいもあって、
    作家の「私は物語の語り部でありたい」という思いを感じました。

    そうそう、ちょっと泣きそうになるところがあるんですよ。
    やばい、と電車の中であせってしまいました。

  • 常野物語は、光の帝国とエンド•ゲームを読み、これが最後になった。
    古き良き日本の里山風景のなかで進むかわいい物語。子供だった少女が少し大人になる思い出の一夏。
    なのに最後はやはりしっとり哀しく、少しヒヤリとさせる、ほのぼのだけで終わらせない恩田陸ワールドって感じ。面白かった。

  • 基本、個人的に恩田陸の作品は当たりとハズレに別れてしまうのだけど、
    これは大当たり~!!
    不思議な世界で、不思議な設定に惹かれていくのだけど、
    さいごは、人が人を守る力強さにうるうるしてました(笑)
    いっき読み。初めて図書館の閲覧席で本読んだ。
    (今までは勉強でしか使ったことなかった)まじ幸せな時間だったよ。

  • 常世物語シリーズ2作目。
    『光の帝国』が短編集ながら面白くて、読もうと思いながら読めなかった本の1冊。

    たまたまブックオフにて購入。
    久々に一気読みしました。

    時代が昭和なので、古き良き田園の風景と後の戦争
    そんなノスタルジックな感じが印象的でした。

    ここで出てきたのは春田一家。
    『光の帝国』でも確か出てきていた人たちです(子孫ですけど)。
    このシリーズは面白いです。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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