さよならバースディ

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747713

感想・レビュー・書評

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  • バースディの言動は可愛らしく、藤本由紀の自殺を契機にぎくしゃくしていく中でバースディの普段と変わらぬ振る舞いはほっとさせてくれました。
    また、恋人の死の真相を追い求め、思わぬところから新たな事実が判明する展開は面白く感じました。
    が、全体的になんとなくこじんまりとしていて、田中真の狭い世界で演じられている物語という感じがしました。
    また、ちょろちょろと出てくる人物(記者や刑事)がいまいちキャラが掴み切れず、なんとなく不完全燃焼な感じがしました。
    満足度は★★★☆☆。
    全ては最後のシーンが書きたかった為の物語なんだろうなと思いました。

  • 霊長類研究センターで研究生が亡くなった。類人猿の言語習得実験を行う施設で、バースディと名付けられた猿との会話を目指している若き研究者が謎に挑む。バースディが可愛い分、余計に切なさが増す。人間のエゴの中で翻弄される動物。バースディが感じる友情や愛情が最後の最後まで切なく響く。

  • 「れずん」がなんともかわいくてたまらなかった。

  • 奥多摩にある霊長類研究センターが舞台。チンパンジーに似たボノボによる言語習得能力の実験。そこに各種問題が起こる。ラストはボノボによる予想外の展開。実際の研究者達からすれば迷惑な作品だろうが、多方面で面白かった。
    犬山の京大霊長研を連想させるが、それは別に存在することになっている。実験システムや実験動物の飼育管理等、よく書き込まれていて、多分、かなり取材しているのだろう。

  • 2017.3.12 読了


    確か 最近 直木賞受賞されましたよね。
    そんなコーナーに置いてあったので、
    一冊 読んでみるか、と手に取りました。

    ボノボ(サル)の 言語習得研究の
    研究助手 真(マコト)、由紀たち。
    ボノボ(バースディ)との交流。

    一年前に この研究のリーダーであった
    教授が 研究所内で 自殺したという事実。


    若干 読み始めたときは、
    興味のないテーマなので
    失敗か?と 思いました。

    けど、話が動き出したら グイグイ読めました。

    ちょっと 切ない話でした。

  • すごく面白い設定なんだけど既視感が半端無い。どっかで読んだような…と疑問符が。猿の惑星に近く、アルジャーノンにも近い。肝心のストーリーも大してミステリー感が強いわけでもなく、大学の研究室には付き物の題材。突如死んでしまった登場人物がそれに関わっているのでは?と行き着くのも自明の理であって。最後の怒涛のようなバースデイの真実なんだけど、一番大切なところのはずなのに、なぜか物語に入り込めない。文体が問題なのか、そもそも感情移入できない。おそらく、この小説全体的に説明くさいんだよな。押し付けがましいというか。ヒロインも感情移入する前に死んでしまったので、主人公が一人で哀しんでいる状況です。物語の中でも、対読者にしても。

  • 知能指数が高い類人猿ボノボ「バースディ」を対象にした言語能力習得の研究チーム。主人公である研究員の真は恋人の由紀にプロポーズをするが、その夜由紀は研究室から飛び降り自殺を図る。
    真が真相を調べていくにつれ、一年前に自殺した研究チームの代表だった安達助教授と由紀の関係や、真が知らなかった研究資金の行方が明らかになっていく。
    由紀は真を愛しているなら死ぬことはなかったのに。
    ラストシーンがとにかく切ない。
    バースディがどうなったのかは描かれていないが、幸せになったと思いたい。

  • 大学の研究室でただただ熱心に研究する人と、出世や私欲のために補助金を横領する人々。どこの大学でもある事なのかと思ってしまう。
    田中氏のこれからを案じてしまう。そしてバースディが森に帰っていける事を。

  • 訓練の結果、人間との文字を通じたコミュニケーションができるようになってきた類人猿のボノボ、バースディ。主人公・真はバースディの実験仲間であり、彼女でもある由紀を、プロポーズの翌日に失ってしまう。彼女の死の真相を知っているのは、バースディのみ。必死でバースディから、真相を引き出そうとする真…。
    ストーリー自体もとても面白く、プロポーズをして有頂天な真、翌日にどん底を突き落とされる真、心情にとても共感してしまった。
    最後、バースディを通じて、由紀と会話をするところは、涙、涙でした。

  • 荻原浩作品第2作目。
    『明日の記憶』がよかったので、マイミクNAZORAにオススメを聞いて。

    バースディとは被験動物のボノボ(ピグミーチンパンジー)の名前だとわかった時点で、ヒューマンストーリー(人間と動物のコミュニケーションとか)だと思い込んでたら、サイエンスと恋愛が混ざったミステリーでした。


    “サルだけが知っている愛する人の真実。彼女はなぜ死んだのか?目撃者は人と会話をするサル、バースディだけ。若き研究者が謎を追う長編ミステリー。”


    タイトルと前半の内容から『アルジャーノンに花束を』を連想し、ラストがちょっと予想できましたが、後半2/3は読むのを止められずほぼ一気読み。
    プログラムを通して真と由紀が会話する場面、特に『めがね ちっぷ まこ れずん』はやっぱり切ない。バースディに託された由紀の想いが…。
    『め みず め みず』ですね。

    読んでて何度もレーズンバターを食べたくなりました。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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