- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087880144
作品紹介・あらすじ
ネパールのカトマンズ。メキシコのマヤ、アステカ。タイのバンコク。
各地をめぐり、死生観を辿りながら掘り下げる「生と死」、そして「性」。
NHK-BSで放映され大反響の番組の書籍化。写真も多数掲載。
感想・レビュー・書評
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借りたもの。
NHKの番組を文章化したもの。
アジア・南米で、宗教の原風景が残っている……血と死と神々が生者に寄り添う世界を垣間見る。また、メキシコの性的マイノリティを肯定するキリスト教など、厳格化・戒律化・様式化していない宗教の懐の深さに、一種の情景を感じ得ない。
死を隠さず、エロスを否定せず、戒律に反しているから、マイノリティだからと排除しないのが、本来の神の姿ではないか…?
死後の世界も幸福を願う思いも苦しみを受けてもらうものも全て神(の国)という存在に繋がっている。
己と周りの人々も含め幸福を願い、自然(神)に生かされていることを感謝し、喜ぶ……
死という超えられない運命(時に痛み、苦しみ、それゆえの恐怖を伴うものもあるだろうが)と喪失の悲しみも、その先に幸福があると信じる人間らしさ……
エロティシズムを匂わせる壇蜜さんが、遺体衛生保全士(エンバーマー)の資格を有していると初めて知った。壇蜜さんの死生観……大切な人の死から関心を持つようになったという。
死(タナトス)とエロス…それは生への慟哭への喚起/歓喜に連なるものと私は考えている。
壇蜜さん、死とエロスの旅に相応しい旅人……もっと好きになってしまった。
巻末の壇蜜さん手書き旅ノートが素敵。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
壇蜜さんが、ネパール、メキシコ、タイを訪れる。
どれも「学校授業の世界史」からははずれた場所。
ああ、でも、こんなに重くて深いんだなあ。
壇蜜さんは遺体衛生保全士の資格を取得。
その後解剖の仕事にも携わる。
たぶん…、だから、いろいろなことに淡々と接する人になったのかな。
壇蜜さんは20代前半に大切な人を亡くしました。
その影響がとても大きいのだと思いました。
行ってみたいとは思いませんでしたが
とても面白い旅の記録でした。 -
壇蜜さんを通して世界の信仰に触れるような内容で、非常に面白く読み終えました。
時に血生臭い現場、死を感じる場面にもフラットに向き合う感性が読んでいて心地よく
信仰は何のためにあるんだろう?ということが無性に気になっていた時期に読み、その一端を垣間見ることができた気がしました。読んで良かった本です。 -
檀蜜さんでエロスと書いてあると電車で読んでいて少し気恥ずかしかったのだけど。
読み応えありでした。
生きるってなんだろう。
死は今の私にとって見えないもの(見ないふりをしているもの)だけれど、必ずやってくる。
毎年、年が明けて、季節がめぐるのは当たり前ではないのだ。 -
壇蜜さんはある時期一世を風靡し、その後彼女自身望んだのか最近はそこまでテレビには出られていない。
彼女の20代の色々な折り合いがつかない思い、大切な人の死。死に対する興味と考察。
彼女自身、人の何倍も死について考えていて遺体衛生保全士なる仕事もしていたようだ。何と変わった人なのか。
そういったものが彼女の醸し出すエロスに結びついているのだろうか。
ネパール・・日本は執着する対象が多過ぎる。ネパール人は死に対し寛容で死ぬ事が側にある。
メキシコ・・土葬なので骸骨が死者の象徴。
タイ・・輪廻転生、徳をつむ(施し返す)
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死というものから離れてしまっているなぁ、と認識。それは幸せなことかもしれないが、いつか目の前に現れるものであることには間違い。その準備を少しずつでもしなければいけないと認識。 壇蜜さんのあとがきが、よく出来てて、凄く納得できました。
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神に生け贄を捧げる・・・、鶏や山羊、なんとも言えない気がします。鶏や山羊でなく、人間が神の生け贄だったことも。今の日本では考えられないことです。壇蜜さんがネパール、メキシコ、タイと数年の歳月をかけ、生と死が隣り合わせの国を訪れ、体験し、レポートしました。「死とエロスの旅」(2019.6)とありますが、「死と生の旅」という印象です。動物の血にまみれた地に足を踏み入れた取材、スタッフが躊躇するも、壇蜜さん「真冬の水着の撮影に比べれば大したことないです」と。