さよなら、田中さん

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1718
感想 : 274
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864848

感想・レビュー・書評

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  •  いやあ、ただただびっくり!これ、本当に中学生が書いたの?読み始めは色眼鏡をかけて(中学生が書いたものだから多少大目に的な感じで)読んでいたのだが、すぐにそれは間違いだったと思い知らされた。
     最初からそんな先入観がなくても十分面白く、そしてすぐに引き込まれてしまった。とにかく面白い!そしてホロリとさせられたり、時には清々しい気持ちにさせられたり。

     物語としては、貧しい母子家庭の小学生の女の子、田中花実の目線で語られ、毎日の出来事だったり貧乏でも逞しく生きるってことがメインとなり、まあ、そこまで大きな事件があったりするわけではないのだが、それでも面白い。お母さんは貧乏でも逞しく、毎日を笑って過ごすことのできる人。そしてそんなお母さんに育てられた花ちゃんは賢くて可愛い子。
     普通、こんな境遇だと心が病んだり、反抗したりするだろうなと思っても、花ちゃんは素直で良い子に育っている。本当に逞しい。

     途中途中、著者である鈴木るりかちゃんの顔を確認するのだが、本当にこの子が書いたのかと思わずにはいられなかった。
     今後、どんなスゴイ作家さんになるのか期待大。ただ、結局お父さんはどうしていなかったのかな?

    • chie0305さん
      ひとしさん、ご無沙汰しています。
      最近は月に2度、鹿児島に帰省していて。父は自宅介護はもう難しく、有料を探しているのだけれど、なかなかなく...
      ひとしさん、ご無沙汰しています。
      最近は月に2度、鹿児島に帰省していて。父は自宅介護はもう難しく、有料を探しているのだけれど、なかなかなくて。もうすぐ退院しないといけないのに。
      「雪の鉄樹」は、読んだ時期も悪かったのかしばらく引きずって大変でした。
      ひとしさんはどう読むかな?
      そうだ、なんか元気の出る本があったら教えて下さいな。では!
      2018/04/16
  • すごい。
    純粋に面白くて心を動かされたという感動と、若き天才の最初の作品に立ち会えて嬉しいという感動。

    若い人の文章ということで、読む前に「 独特な自分の世界という感じかな」とか「尖っててアグレッシブな感じなのかな」とか、無意識に予想してしまっていたのですが大いに裏切られました。完璧にエンターテイメントでした。
    話もいいしキャラも立ってるし、なんというバランス感覚…
    ハラハラすることやゾッとすることもありつつ、気になるところは全て回収されてモヤっとすることもありません。

    ものすごく文章がうまいけれど「大人が代わりに書いてるんじゃないか?」とも全く思わない不思議な作品です。主人公の心の動きがすごく等身大で自然な気がするからでしょうか…

    これを小学生が書いたということは本当に驚きでそこにどうしても注目しがちですが、たとえこの作品を前情報なしで読んだとしても私の評価が変わることはないと思います。
    この本とどのような出会い方をしていたとしても、最後の1ページを読んでいる時私は涙を流していると思います。
    老若男女におすすめしたい、出会えて良かった大切な一冊になりました。

  • お母さんのホームレス考察、優香ちゃんとお父さんの面会に付き添った花実の心の動き、虐待された子供を想い心を痛めるお母さん、アパートのおばさんの化粧、けんとが花実に諭した話、酸っぱいぶどうの原理、けんとがくれた高級ケーキを食べる際のお母さんと花実が交わすやりとり、けんとと花実が桃の種を植えるシーン、ココロに残したいと思ったシーンは枚挙にいとまがない。 
    最終話だけ花実目線じゃないセンスもにくい。

    「悲しいとき、腹が減っていると、余計に悲しくなる。辛くなる。そんな時はメシを食え。もし死にたい位悲しいことがあったら、とりあえずメシを食え。そして一食食ったら、その一食分だけ生きてみろ。それでまた腹が減ったら一食食べて、その一食分生きるんだ。そうやって何とかしのいで、命をつないでいくんだ」
    惚れてまう!

    しかしコレが14歳から生まれた小説だなんて。
    どんな分野にも天才っているんだな。

    西原さん、このタイトル画、きっと嬉々として描いただろうな。お母さんと西原さん、同じ種族の匂いがするもん。

  • とても良かった。
    貧乏な人は強い。この親子は見栄を張らずに生きているのが清々しい。
    子供の残酷さ。その中だから花実の優しさが際立つ。
    自分が小さい頃にもこんな優しい子がいた。
    救っているつもりは無くても、救われている人がいるって素敵だな。

    14歳。こんなに親の気持ちも悟っているなんてスゴい。花実のお母さんの言葉などは本当に胸を打つ。
    尊敬しかない。

  • 著者の鈴木るりかさんが中学生の時に書いたという本。すごい中学生だなぁ。感受性豊かな人だなと思う。貧乏でもとにかく明るい花ちゃんと働き者で豪快なお母さんはマイペースに生きながらも他の人たちの心を救っている。最後のほうに出てくる三上くんは花ちゃん親子が近くにいて本当に良かった。

  • 「私を月に連れてって」で著者を知って、早速、第1作を読んでみた。

  • るりかさんの年齢と語彙力、ストーリーの面白さ  素晴らしすぎて信じられない!

  • 素敵な母と娘のおはなし。親子以外の登場人物も皆魅力的。田中さんて誰ー?から読み始め、徐々に明らかになっていく楽しさ。最後の章は語り手が入れ替わり、タイトルへと繋がっていく。最後の章は悲しくて苦しすぎて読むのも辛かったけど、田中さん親子が希望を持たせてあげて、救われたかな。泣けました。
    小学生が主人公の小説なんて、児童書以外では読んだことなかったかも?
    小学生の時に書いた短編をもとに、連作短編に仕上げてるなんて、すごい!!まさにスーパー小学生!

  • これは面白かった。
    中学生作家、鈴木るりかさんの他の作品も読んでみたくなった。
    田中さんのママのような大きな人間、親として
    我が子たちとも向き合っていけたらなと思うことができた。
    正直、三上くんママのような親には絶対にならないようにしたい。
    何があっても子どもを悲しませるようなことをしてはいけないと思う。

  • 花実(はなみ)は小学校6年生。男の人に混じって作業現場で働くお母さんと二人暮らし。お父さんは生まれた時からいなかった。どんな人だったか聞いてもお母さんは教えてくれず、触れてはならない空気になっていた。

    花実の家もどことなく訳ありだけど、お友達や出会う人の中にも訳ありのご家庭があって、それぞれ『食器棚の中の骸骨』を抱えている事を知る。

    まるで昭和のホームドラマ出て来そうな世話焼きの大家さん、元々優秀だったのにニートになっちゃった大家さんの息子、さり気なくおまけをしてくれる激安スーパーの社長、本当は思いやりがあるのに誤解されやすい担任の先生、除きの濡れ衣を着せられてエロ神と言われた同級生の三上くん、面白いキャラがたくさん登場する。

    その中でも極めつけはお母さん。過去の事はあまり話したがらないが、いろいろ苦労したんだろうと伺わされる。子どもの頃何になりたかったか問われ、お供えを食べられる人になりたかっ、とか。尊敬する人を聞かれ、20年もホームレスしているおじいさんとか…言う事が桁外れで行動もカッ飛んでいる。花実はお母さんが大好きだ。

    花実の一人称で語る短編集だが、最後の『さよなら田中さん』だけが花実を密かに思う同級生の三上くんが語り手になってる。この三上くんも訳ありで、橋の上に佇んでいる所を花実親子に救われる。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    花実もお母さん貧乏だけど、そんな事気にしないで明るく毎日を生きている。だから周りの人達も自然と二人を好きになる。

    三上くんや大家さんの息子の賢人、ちょっと落ちこぼれている人達の寂しさ哀しさが、じわっと滲み出ている。面白い話だけど最後の三上くんの話だけは泣けてしまった。

    小学生の子どもがいたら、是非買ってあげたい。

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著者プロフィール

鈴木 るりか(すずき るりか)
2003年東京都生まれ。史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。あさのあつこさん石田衣良さん、西原理恵子さんらが、その才能を手放しで絶賛した「スーパー中学生」。2017年、14歳の誕生日に大賞受賞作を含めた連作短編集『さよなら、田中さん』発表。近年では珍しいローティーンの文壇デビューで、各メディアの注目を集めベストセラーに。

鈴木るりかの作品

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