洞窟オジさん: 荒野の43年

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093875004

作品紹介・あらすじ

昭和35年、13歳の少年は「両親から逃げたくて」愛犬シロを連れて家出した。以来、彼はたったひとりで、足尾鉱山の洞窟、富士の樹海などの山野で暮らしヘビやネズミ、コウモリに野ウサギなどを食らい命をつないできた。発見されたとき、少年は57歳になっていた。実に43年にわたる驚愕のサバイバル生活。-これは現代のロビンソン・クルーソーの記録である。

感想・レビュー・書評

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  • いい人だ…

  • 両親のお仕置きが墓石に縄でくくりつけられ雪降る夜に放置されることも。父は便利屋。農家手伝い、植木手入れ、茅葺き屋根の修繕、大工、なんでもやる。母は機織り機の糸をつなぐ作業員。8人兄弟で貧しかった。家出し足尾銅山の洞窟に暮らし始めたのが、昭和21年に生まれて13歳のとき。貧しい暮らしからいじめにあい学校に通わず読み書きがままならない。親の折檻に耐えかねての家出でしたが、生き抜く方法は両親を見様見真似で身に付けていました。山菜きのこ、ヘビ、マムシ、かぶと虫の幼虫が食料、ミミズが解熱剤、藤のつるがロープ、ヒノキの寝床、鳥獣の解体、魚とり。山を降りて、釣り人としての得意技能を介し他者との交流と同時により良く生きたいという葛藤も始まるようでした。

  • 親の虐待から逃れるため、家出をし、43年間洞窟などで過ごした男の話 TV「週刊さんまとマツコ」の1時間スペシャルで取り上げられていたので、本を読んだ。ただ、TVで取り上げられている内容とほぼ同じであった。

  • 洞窟オジさんという衝撃的な題名、2022年新聞で紹介されていて知る。2004年出版、著者の加村一馬さんこそが、洞窟オジさん本人でした。
    40年超のサバイバル生活を経て、社会復帰、本出版、それを元にドラマ化もされ、今は何をされているか…と調べたら、障害者施設で働いているとの事。結婚は出来たのか、そこはわかりませんでした。
    サバイバルの本を連続で読んでいて、この本は2冊目。1冊目はビクトル古賀の少年時代、11歳の男の子が満州の大地をひとり1000km踏破し、日本へ帰国したお話しでした。
    1冊目の方が好きだったな…
    とにかくサバイバルは、実践ありきの自学自習も大切だけど、基本の知識は親やら周囲の人から学ぶものなんだなと改めて知った。
    私はサバイバル術は何も知らなかったので、とても勉強になった。

  • 東日本大地震やコロナがあり、自身で判断し、生き抜く力を身につけないとと思うようになった昨今ですが、その究極を見た気がします。

    途中親切にしてくれたご夫婦や再会したお兄さんのもとで生活を続けていたら、また違う人生があったかも等思うところもあり…。

    近年アウトドアブームが続いてますが、リアルなサバイバルは過酷ですね…。

  • シロ…涙が止まらない。
    シロが後から追い掛けてきて山で再会した時と、死んでしまう時が悲しすぎて…。
    おじさんが、現金を手にするきっかけとなる、蘭が咲き乱れる場所に辿り着けたのもシロのおかげやもんなぁ。

    少年期、ひもじさと虐待の辛さよりも、孤独な山籠り生活で野垂れ死にする方がマシって、よっぽどの心境ね。
    自ら望んで飛び込ん山籠り生活とはいえ、常人なら耐えられずに発狂すると思う。
    おじさんの、20代にして頭髪は薄く、白髪混じりになり、髭モジャで歯無し、物凄い体臭だったというその風貌は、想像するだけで強烈!

    山のサバイバル生活で重要なのは、季節の移ろいや草花の美しさなんかに目もくれず、とにかく何かを食って、その日を生き延びる事。
    腹の足しにならない、読み書きそろばんなんて、生きるために必要無かった。
    でも、現金を手にして、人々と接するようになってから、文字を読み書きできることの便利さ、時計が分かることの便利さを知る。
    やっぱり人は、文明に触れずに置き去りにされたままでは生きてゆけない。留置場で近代文明に触れたおじさんの行動は笑えた。

    ふと、「食って、生きる」だけの行為の繰り返しの中で、立ち止まったおじさん。
    「このまま、何かを成すことも無ければ良いこともなく、生きていても辛いことばかりかもしれない」と自殺を考えたが、樹海で多数の自殺体を目の当たりし、生きる希望よりも死ぬ絶望を知ったおじさん。

    いい時代の、優しい人達におじさんが救われる場面は心が温かくなった。
    戦争で息子を亡くしたおじさんおばさん
    臭い体で大金を持った得体の知れない山男を乗せてくれるトラック運転手
    事情も聞かず焼き肉弁当を食わせてくれたおまわりさん
    事情を分かってくれる漁業組合長
    袋叩きにされたけど病院まで連れて行ってくれたチンピラ三人組
    読み書きを教えてくれたホームレス先生の古矢さん
    そして56歳での初恋。
    人混みが怖くても、人とのコミュニケーションが苦手でも、釣りを通して仲間ができた。
    人の中で、人は育つ。むしろ、それ以外には無い。

    この本は「生きる」がたくさん詰まった教科書。
    子供にも必ず読ませよう。
    夏休みの読書感想文は「洞窟おじさん」で決まりだ。

    2020年11月08日 

  • 人間とは、社会とは何かを考えさせらる。

  • 加村さんが スゴい本です

  • サバイバルを生き抜いてきた人の話で、今まで会ったことのないタイプだったので、新鮮だった。今後使うことになるか分からないが、サバイバル術で蛇やウサギの食べ方や、洞窟での住居の作り方は具体的で参考になった。
    今の時代では考えられないような親の虐待や、一生家に戻らない家出を強いられるほどの虐待の辛さは想像できないほど強烈だった。自殺を試みる描写も書かれていたが、社会復帰をすることが出来て良かったと思った。
    家が無くて、一文無しの状況からでも生きていくことは出来るという人間力の強さを知ることが出来たとともに、教育や教養が無いと、社会で生きていくには難しい事と知らずに犯罪をしてう危険性があることを学べた。

  • 両親からの虐待がいやで小学校のときに家出してから十数年間山で暮らした男の実話。
    「孤独」がこんなにも身近に感じられるのは、実体験を伴っているからだと思う。
    本の文体は、口語に近い。
    きっと、本人にしゃべってもらったのを文字に興したのだろう。

    こんな人生を歩む人もいるのかぁ!
    ほんと、人間ってどこで人生の道が分かれるのかわからない。

    ご本人である一馬さんって、きっとあたたかい、いいひとなんだろうな。

    今だと、こういう人が、ひきこもりになっちゃってるのかな。


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