吉祥寺ドリーミン: てくてく散歩・おずおずコロナ

著者 :
  • 小学館
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093965538

作品紹介・あらすじ

山田詠美がコロナ禍を綴る最新傑作エッセイ 山田詠美さんは本書について「あとがきに代えて」でこう綴っています。≪この本では、新型コロナの感染が拡大する中でのあれこれを綴りました。と、同時に、日々の取るに足りない、けれども、私にとっての大事なトピックスも取り上げています。そこから生まれる喜怒哀楽は、大きなものでも些細なものでも、確実に私の一部を形作っている。大切な大切な欠片たち。≫「言葉の小姑」を自認する著者の「怒り」は、想像力の欠片もない、安易に使われる言葉に向かいます。コロナ禍において跋扈した「東京アラート」や「特別な夏」「おうち」、さらには「コロナ禍」も俎上に載せ、「その言い回し、許さん!」と筆を揮うエッセイには胸がすくこと請け合いです。 もちろん美味しい食べものやお酒、夫婦での散歩など、不要不急の愉しい日常についてもたっぷりと! 女性セブンの大人気連載「日々甘露苦露」から、傑作エッセイ100編を厳選。前作『吉祥寺デイズ うまうま食べもの・うしうしゴシップ』(小学館文庫)に続いて、「親愛なる読者の皆さんへ(あとがきに代えて)」は謹製原稿用紙に綴った直筆です。そちらもぜひお楽しみに! 【編集担当からのおすすめ情報】 前作『吉祥寺デイズ』は、朝日新聞の人気連載「折々のことば」(鷲田清一さん)に《だいたい、私、若気の過ちを通過していない人間を信用しない性質なんで》という一節が取り上げられるなど、大反響を呼びました。本作でも、山田詠美さんだからこその胸のすくアフォリズムが満載。濁流のような時代の変化の中で溺れる思いをしている人にこそ読んでほしいと思っています。生きていくうえで心に留めておきたい大切な言葉がたくさん詰まった一冊です。 装丁は前作と同じくジュン・キドコロ・デザインの城所潤さん。装画は100%ORANGEさんです。カバーを開いた表紙や本文中の絵もぜひお楽しみください。

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】武田砂鉄氏、山田詠美氏エッセイ集の「番長」視点にうっとりする|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20220106_1718219.html?DETAIL

    吉祥寺ドリーミン | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09396553

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      山田詠美さんエッセー集「吉祥寺ドリーミン」 前作に続きコロナ禍の日常など100編 - 吉祥寺経済新聞
      https://kichijoji.k...
      山田詠美さんエッセー集「吉祥寺ドリーミン」 前作に続きコロナ禍の日常など100編 - 吉祥寺経済新聞
      https://kichijoji.keizai.biz/headline/3134/
      2022/01/18
  • 女性セブン2018年8月~2021年6月連載されたエッセイ。
    後ろ半分コロナになります。

    詠美さんのご主人10歳年下ですが、二か月だけ11歳違いになるときがあり、夫40代妻60代に。
    でもとても楽しそう。
    この前にだいたひかるさんのエッセイを読んだばかりで
    年下と二度目の結婚っていいのかもと思いました。

    また、詠美さん自身、言葉尻番長と言っていて、
    言葉の使い方についての意見がとても面白く勉強になりました。

    しかし、この本で何より良かったのは、思いがけず
    私が最も影響を受けた作家さんについて書かれていたのを読めたこと。
    名前は載っていませんが、もちろんすぐわかりました。

    私は14年前から本の感想を記録し始めたのですが、
    彼女の本に嵌ったのはそれ以前で
    その後いろいろな本を読んできた中に
    彼女について誰かが書いたものを
    見たことはありませんでした。

    初めて彼女の本を読んだとき「こんな素敵な生活をしている人がいるのか」と衝撃を受け調べたところ、もう何年も前に亡くなっているのがわかり、非常にショックを受けました。
    元気なころ、すごいブームだったそうです。
    なんと山田詠美さんが当時のことを思い出して描いてくださいました。

    彼女が倒れて亡くなり、インフルエンサーとしての彼女の存在も無くなってしまったようでした。
    でも私は今でも影響を受け続けているのです。
    最近さらにレベルアップしたほど。

    『吉祥寺ドリーミン』には他にも、名前は伏せられているけど
    知っている人にはわかるんだろうなーと思われるものが多々あるようです。
    面白かったです。続きが読みたい。

  • 今年初めて読んだエッセイ。面白くてあっという間に読了。
    コロナ前後の時期に雑誌に連載したものを纏めた本で、山田さんの日常が等身大で書かれている。「あのー、●●なんですけど」という口調で世の中の色々なものにツッコミを入れているのが、爽快だった。言葉遣いについての話も多かったが、同意することが多く、さすが言葉を使う仕事をしている方だなと思った。散歩の話もあったが、山田さんが住んでいる吉祥寺辺りは周辺に楽しい散歩コースがありそうで良いなぁなどと思いながら、楽しく読めた。

  • <評>
     山田詠美などと云う作家の本は普段は読まないのだけど今回は『吉祥寺』というキーワードに釣られて手に取ってしまった。その結果はまあ以下じっくりと書いてゆくが,まずは言わずと知れた 群ようこさん 作品との比較から。

      僕はシーナ兄い小説/エッセイ作品の熱狂的ファンなので,その一派かも知れない 群ようこさんの作品はかなりの数を読破している。そして大概読後の感想文に書く内容は「群ようこは他人の悪口を書いて本を出してお金を稼いでいる」という誠に無礼な内容である。何冊か読んでもそれはそのまま事実として明白に続くので表現に工夫をしながらいまだにそういう感想文を書いている。

     しかし,よもやその類似作家がこの世に居ようとは。そうですこの山田詠美こそは他人の悪口で糊口をしのいでいるもう一人の作家なのです(何故か女性が多いのはそりゃぁーそうでしょ,集まって人の悪口言をうのは女性達・・・あ,もとい。前言撤回 といいながら,消さないけどw)。 どうやら山田本人は,揶揄するのは「人」ではなく「言葉」だと云いたい様子だが,その言葉を言った人が必ず,しかも下手したら週に一回は居るんだから何というか実に・・・こりゃ儲かりますなぁw

     で群vs山田はどっちがどうか。そりゃぁー諸説色々あるでしょうけど,かたや群さんは書き下しでの時々新刊発行状態。対して山田は週刊連載です。言い換えりゃ「習慣」ともいえる。悪口言うのが習慣でっせ。そりゃもう絶対に山田の方が悪口女性作家のランクは上。原稿料で言えば〇円と¥〇くらいの違いになるでしょう。(額は知らないので具体的には書けない。すまぬ)

     そして思った通り、題名偽看板疑惑的に僕の好みのキーワード「吉祥寺」の事は本書にはほとんど書かれてはいない。P42に吉祥寺西友で1回。その後P126には吉祥寺駅前のタクシー乗り場へ目の不自由な人を誘導する為の点字案内のお話から続けて3話に吉祥寺登場。その後も吉祥寺という言葉だけは登場するも,主たる話題にはなってはいない。まあ著者の現在の住まいはどうやら本当に吉祥寺みたいなのでそれだけでプチ良しとするか。

     まだまだ云う事はいっぱいある。コロナ禍(コロナ「か」)という言葉が嫌いだ!とほとんど本書後半全編に渡って叫び続けているが実は僕はこの言葉を目にし時から禍を「か」と読んだ事は一度も無い。「まが」と読むのですよ。それでこそ文学者でしょ。勢いあまってかなりの人が当時自分で書いた場合に「禍」ではなくて「渦」を書いていたことを今更思い出します。どうしてコロナ「うず」なんだよ! と激しく思った。意味は「まが」なのです。まああんたも人が作った言葉を揶揄してばかりでなくて卑小とも作家なのだから自分で言葉を創ってみなはれ。

     で,じつは同級生なのでここで切なるお願いが一つ。普通に「ビ」と書けばわかる片仮名英語を「ヴィ」と書くのは辞めて欲しい。実は僕も一時はこの「ヴィ」なるやつに嵌って遣っていたが実に素人っぽいっ て事に気づいてやめた。なのに今更それをプロの作家 あまんづく同級生で同い年のあんたが遣っているとは やれ恥ずかしいのです。あ,すまぬ。

    でも最後に書いときます。
     色々書きましたが,つまりは本書はこんなに沢山の悪口返し/揶揄?を書ける程面白いのです。もしかしたら僕はこの先も山田詠美の新作を読んでいるかも知れない。彼女は僕と同じ1959年早生まれの誕生日も僕と同じ2月。つまり正真正銘同学年で同い年なのだ。おい りょうけん君 と呼ばれそう。僕からは 山田先生! と呼ぶしかないな。笑ったし,いや色々と書いて済まなかった。でも消さないw。すまぬすまぬ。

  • 「吉祥寺デイズ」に続いて、週刊誌に連載した身辺雑記をまとめたもの。パートナーの「ヒロちゃん」(以前読んだ本でこう呼んでた。いろいろ衝撃的だったから覚えてるのだ)とは変わらず仲睦まじく、ほのぼのとした生活の様子が伝わってくる。うーん、「ほのぼの」…エイミーにこんな形容をする日が来るとは!「ベッドタイムアイズ」は遠くなりにけり。

    とは言え、エイミーの姐御ぶりは健在で、納得いかないことにむける舌鋒は鋭い。政治や世の中のあり方について、自分が経験したり目にしたりした具体的なことを取り上げて怒っている。繰り返し使われるのが「想像力がない」という言葉。自分とは違う境遇にいる人がどう感じるか、考えようともしない姿勢に著者は憤る。小説というものの役割の大事な一つが、その想像力を喚起することだという揺るぎない信念を感じる。

    また、世に氾濫するヘンな言葉について再三怒っていて、ここにはすごーく共感した。著者は「間違っている」と指摘するのではなく「その言葉は嫌いだ」と言う。そう!そうなんだよねー。「大丈夫」とか「○○(しばしば「感謝」)しかない」とか、背中がむずむずする。あと、「他人に話すときに自分の親を『お父さんお母さん』と呼ぶヤツは大人とは認めん」というのにも大賛成。

    うんうんと読んだ箇所をいくつか。

    ・「古き良き時代」という言い方は大嫌いだとある。「アメリカではある種の白人がよく使いますよね」「しかしね、その頃、黒人は奴隷だったんです。そして、日本では、ある種の女たちが、しいたげられていた。マッチョきわまりないワードだと思っています」ほんと、その通り。これも想像力の欠如だな。

    ・ちょっとテレビをつけると誰かが必ず言っていて辟易する「させていただく」。ここまで使われるには理由があるという、辞書編集者の指摘が紹介されている。敬語の基礎は動詞の尊敬形と謙譲形を使い分けることだけど、謙譲形がない動詞が大量にあり、そこで「させていただく」が大活躍することになるんだと。なるほどね~。それでも、「感動させていただいた」とかはやっぱりないわ。著者は「芸能人の『おつきあいさせていただいてます』は許さんよ」と言っているが、あれって最初に使ったのはダルビッシュだと思う(私調べ)。あんまり気持ち悪かったので忘れられないのだった。ちなみにお相手は紗栄子さん。

    ・世はコロナ。「ウイルスも恐ろしいけど、私は、そこから生まれる差別も同じように恐ろしいんです」とあって、ほんとにねと思う。著者は、エイズが世間に知られるようになった頃、差別された経験があると言う。「ベッドタイムアイズ」をもじって「ベッドタイムエイズ」と揶揄した知識人もいたそうな(誰だ?)。「人間は愚かで、それ故にいとおしいという意見もありますが、愚かさにも許せるものとそうでないものがあるのです」おっしゃるとおり。

    ・本書一番の啖呵は、ステイホームを呼びかけるため当時の安倍首相が優雅にご自宅でくつろぐ動画をアップしたことについてふれたくだり。
    「泣く泣く店じまいを告げる紙をドアに張っている人たちの気持ちを想像出来ない国のトップって……私、あの動画を上げるのを提案した人の顔と名前を知りたいです。あと、緊急経済対策として『お肉券』や『お魚券』の交付というアイディアを出した人、誰なんだか教えて~~!!顔見せろや、こら」

  • 詠美さんのエッセイ読んでるとスカッとする。気楽に読めて、さらには吉祥寺が地元なわたしにはわかるわかるが多く楽しく読ませていただきました。荻窪のカレー屋逆に気になっちゃったよ‼︎笑

  • さっぱりしてておもろい

  • そうだよねえ!と思うことたくさん。
    しかし色々強いなぁ

    コロナで緊急事態宣言のときの話は、、、私もニュースやワイドショーのギャーギャーや家族全員お籠りで参っていたので、、、リアルタイムで読みたかったな。余計滅入ったかな笑


  • 久しぶりの著者のエッセイ。
    コロナ禍下(正しくはね)旦那さんと吉祥寺界隈を仲良く散歩したり、ランチしてるそーな。
    でも、相変わらず間違った言葉使いにはひと言物申す姿勢は作家故かいや、著者の美意識の高さ故だろう。
    いい年した大人が”お父さん””お母さん”、自分の仕事をお仕事、おうち、お魚、”させて頂く”の違和感。まさに我が意を得たり。
    それにしても、著者も還暦を過ぎたとは…。
    でもかっこよさは健在。
    超似てると本人も書いてた”浅川マキ”ググってみたらそくっりで笑った。
    どんな辛い状況下でも、やはり人間は”言葉”に救われるのね。(自筆の可愛い字!のあとがきを読んでしみじみ思ったよ)

  • p198手書きの文字は気恥ずかしいです。でも、その恥を知ることが出来るからこそ、抑制が効く。書きたいことより書きたくないことの方が多い私という小説家を理解してくれる若手編集者が、ひとりでもいてくれる内はこのまま書き続けたいです。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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