- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094021714
作品紹介・あらすじ
「花はかならずしも優しく、美しく、はかないといったものだけが、すべてではない。実に執拗で頑丈で、怪奇に満ちているものである。」草月流を抱えつつ、新しい創作活動を目指した勅使河原蒼風、そして、自らは一本の花も生けずに、池坊の発展に命を賭けた山本忠男、流派を飛び出し、自由な花の世界を作った中川幸夫と半田唄子、さらに、家元群の美しき後継者たち…。敗戦の焼け跡から蘇った華道界で生き残りを賭けた人々のドラマ、華麗な世界の舞台裏を通して日本文化のカタチを浮き彫りにする。新田次郎賞受賞。
感想・レビュー・書評
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素晴らしく面白い!
放送作家早坂暁が一時「生け花新聞」の編集長であり生け花評論を書いていたとはまったく知らなかった。しかし放送作家として売れっ子になったからこそ華道界についてここまで書けたのであろう。前述の海野氏、三頭谷(みずたに)氏では営業的にとても書けない世界だ。
本書は草月流、小原流、安達挿花、池坊について、終戦直後から跡継ぎ騒動までをきっちりと書く。草月流の脱税摘発から霞の出奔と妻子ある男性との結婚、池坊のお家騒動、安達瞳子の家出、実に面白い現代史だ。われらより5-10年上の世代の女性にとってこんなに面白い読み物はないのではないか。
小学館文庫(760円)でまだ入手可能である。ぜひご一読をお勧めする。 -
585夜
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勅使河原一族をはじめとする華道界の人々を描いた
小説仕立てのノンフィクション。
とりわけ、家元制度に背を向けて、どこまでも花と対峙し
アヴァンギャルドな地平を切り開き続ける
中川幸夫の壮絶な姿には、鳥肌が立つ。
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戦後のいけばな「業界」をスリリングに活写していて、習い事したことのない私にも面白い。
中川幸夫の花に対する思い入れの熱さには感動。 -
この本を読んだおかげで、現代いけばなの世界を知ったつもりになる事が出来た。前衛いけばなにも興味がわいた。いけばなにめぐる人々の姿がドラマチックに描かれている。
☆補足・2017年12月に早坂暁さん死去☆ -
華道界の生き残りを賭けた戦いぶりが興味をかきたてます。各々の流派の違いもよく判って面白いですよ。