相場師一代(小学館文庫) (小学館文庫 R こ- 3-1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094034714

作品紹介・あらすじ

勝機を読み波乱の95年を生きた「最後の勝負師」唯一の自伝。

「本当に儲けようと思うなら、自分で経済の動きに注意すること。」(本文より)個人としては破格の数百億円の株取引に成功し、「最後の相場師」と称せられた"是銀"が93歳で記した唯一の自伝。若干16歳で単身満州に渡って商売を始め、朝鮮半島で成功失敗を繰り返す。そして株・。波瀾の生涯と地道な独学の日々から導き出される故人の珠玉の言葉の数々は、バブルが崩壊したいまも、勝負を決する名言である。

感想・レビュー・書評

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  • 「最後の相場師」の異名をとった是川銀蔵氏の自叙伝です。今読んでもまったく内容に古さは感じません。壮絶な人生をたどっています。

    もし誰かに
    「あなたの座右の書はなんですか?」
    と聞かれたら、迷わずこの本を挙げるだろう。簡単に説明すると、著者は貧しい魚屋に生まれ、尋常小学校を出た後すぐに庄屋に奉公に出され、数々の事業を起こしては潰し、34歳のときに大阪の図書館に三年通い詰めて経済を独学で勉強し、ついには「最後の相場師」と異名をとった男が亡くなる一年前に著したものである。

    このテの本を手にする人はたいてい投資に興味のある人間だろうが彼はこう説いている。
    「なにかの仕事の片手間に株で儲けようということはどだい無理なことだよ」
    と。そして、仮に儲けたとしても今度は儲けたら儲けた分だけ税金で持っていかれる。どうやら日本の税制度はそういうものらしい。とも。世の中には株や投資で儲けようという本や雑誌はごまんとあるが、ことの本質を書いた本はまず読まれない。

    私が彼を好きな理由は儲けた金のほとんどを市の福祉関係や交通遺児のために奨学金として使ったことである。金を儲けることには全身全霊を注いだが、カネに執着がなかったのだ、と思う。大阪市にある「是川奨学財団」は彼に由来している。そんな彼が人に乞われて色紙によく書いた言葉が
    「誠と愛」
    だそうである。彼の人柄をしのばせるエピソードです。

  • 最後の相場師と称される是川銀蔵の自叙伝。

    新宿のブックオフで105円で売っていたので迷わず購入。

    是銀といえば、“住友金属鉱山株でわずか半年の間に200億円もの資産を作って長者番付日本一になった”それぐらいの知識しかなかった。

    読了後の感想。

    もっと早く読んでおけばよかった。

    やっぱ、この爺さん、只者じゃないわ。

    とにかく波乱万丈、壮絶な人生である。

    思い立ったら即行動。

    金儲けに対する凄まじい執着。

    そこから、世の中を解明しようとする情熱。

    無一文になっても、何度でも這い上がろうとする根性。

    どれをとっても常軌を逸している。

    その投資法もダイナミックそのもの。

    もちろん、大失敗もしている。

    晩年、同和鉱業株で儲け損ねて、もう株は一生やらないと誓ってみたり、かなり痛い目にあったりしている。

    それでも懲りず、「もう一度株をやらさせてくれ」と妻に頼みこむところに共感を覚えた(笑)。

    例の住友金属鉱山株で大儲けしたのが84歳のときというのだから、驚きだ。

    その際も決してスムーズに当たったのではなく、一度株価が暴落し、追証という大ピンチに立たされている。

    是銀は、手持ちの住友金属鉱山株のうちの半分を住友金属鉱山に引き取ってくれとに持ちかけ、なんとか危機を脱っするのだ。

    本書『相場師一代』を著したのが93歳(!)で、前書きには自戒を込めてこう記されている。


    「これまでいくつもの出版社から、自伝の出版を依頼されたが、どのような申し出に対しても断ってきた。しかし、世間の人達は、私があたかも株の売買で成功し、巨万の富を得たと思っているであろう。株で成功することは不可能に近い。私は実際、今でもすっからかん。財産も何も残っていない。このことを、著書で警告したいのである」


    ワタシはこの箇所を読んで、「株では決して儲けられない、ワタシの人生は失敗だった」という遺書を残してピストル自殺した稀代の相場師リバモアを思い出した。

    実際に平成4年に95歳で亡くなったとき約24億円の借金があり、遺族は相続放棄を行ったそうだ。

    しかし生前、彼が設立した是川奨学財団は、交通遺児等に奨学金を支給する慈善事業を行っている。

    最期は財産を残せなかったが、社会に還元できた、それだけで墓の下の是銀は満足していることだろう。

    ※なぜ住友金属鉱山を「別子(べっし)」と言うのかずっと疑問に思っていたのだが、本書を読んでその謎が解けたw

  • 昭和を駆け抜けた男、「最後の相場師」と呼ばれた著者の自伝。
    ただの金儲けでなく、自分なりのポリシーを持って投資をしている。
    株・投資云々を抜きにしても、読み物として面白い。


    「カメ三則」(196頁)
    ①銘柄は水面下にある優良なものを選んでじっと待つこと
    ②経済、相場の動きからは常に目を離さず自分で勉強する
    ③過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する

    投資五か条(304頁)
    ①銘柄は人が奨めるものでなく、自分で勉強して選ぶ
    ②二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
    ③株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物
    ④株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
    ⑤不測の事態などリスクはつきものと心得る

  • 努力の人。オシント(オープン・ソース・インテリジェンス)の達人ですね。自分の頭で考えるというのは、こういうことだという良い例。相場に興味ない人にも読んでほしい本です。

  • 210706竹井先生オススメ

  • 面白い!でも仕手戦ってなんだかわからなかった。昔はのんびりしてたねという感想。立派

  • 私が読んだのは正しくは『自伝 波乱を生きる 相場にかけた六十年』素晴らしい本だ!

  • 最後の相場師壮絶な生涯を綴った作品。徹底的な下調べに基づく相場観による信念は、人生を賭けて挑んでいるから揺るがないし、他人からの横槍にも動じない。
    日々の世界情勢・経済動向に常に触れることは、サラリーマンとしても今後生きていく世界を見通すために必要だな。さすがに是川氏のようには心血注ぐことはできないとしても、そういった意識を持って過ごすのは大切だな。自戒です。

  • "日本にかつてこんな人物がいたんだ~。
    この人は、天性の才能を持っていたんだと思う。
    世の中の本質を見極めること。
    人並ならぬ行動力。
    時代が大きく動いているときの天性の臭覚もあって、今取り組むべきビジネスは何かを見極めている。発想も金儲けというものではなく、社会貢献・今の日本に必要なものは何かを考え続けている中で生まれるというもの。
    こうした視座は勉強になる。
    また自分が決めたビジネスについては、真摯なまでに謙虚で勉強を続けるところがすごい。また、思考の時間軸が長期的なのだと思う。
    自分が感じた疑問を見極めるために図書館に年単位で通い続けるなんてことは、自分では考えもしないし、実行もできない気がした。
    大局を見極めることを意識することの大切さを学んだ。"

  • 凄い人がいるもんだ。凄いと思う人は個人の利益ばかりを追求するしない点が共通しているなぁ。

  • "投資五カ条
    1.銘柄は人が奨めるものでなく、自分で勉強して選ぶ
    2.2年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
    3.株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物。
    4.株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する。
    5.不測の事態などリスクはつきものと心得る。

    自分の持てる資金の範囲内で投資すること
    新聞や雑誌で大見出しにされる材料に飛びつくな


    もうは、まだなり。
    まだは、もうなり。

    売りは迅速、買いは悠然
    腹八分目の手仕舞い

    "

  • 是川氏のお金を稼ぐことに対する執念が凄まじい。
    自分は、ここまでお金を稼ぐことに執念を燃やせるだろうか…。

    若い頃からの破天荒なエピソードが満載。

    無収入状態で、ひたすら図書館に通って経済を勉強し続けるという行動もすごいが、それを信じて支え続けた家族(奥さん、子供)もまたすごい。

    「もうはまだなり、まだはもうなり」
    「人の行く裏に道あり花の山」

  • 「人間はおカネがなかったら、人間並みに扱ってくれんのや」

    バイタリティがすごい。
    小さい頃からすごい。

    相場師として株価を上下させるほどの影響力を持っていた。
    投資するには自分で調べる必要がある。

  • 「行動力、情熱が大事。勉強してないは甘え。」という感想。分からないならゲームに参加してはいけない。

  • やや本人によって美化されている気もするが、ダイナミックに時代を生き抜いた相場師として尊敬できる人物。今でも通用する部分と通用しない部分があるので要注意。

  • 金本位も。
    蔵書、電子書籍

  • 波乱万丈な人生。

    人間の欲の部分が赤裸々に綴ってあり
    心を揺さぶる部分があった。

    ぜひ、もう一度読んでみたい作品。

  • 保有状況:&購入日:&購入金額:

  • 31 他の投資家がパニック状態、戦々恐々としている時こそ何年に一度という最大の買い場
    36 こういった銘柄が見つかるのは10年に一度とか5年に一度(鉄鋼株)
    60 一厘銭をインゴットにして売ってぼろもうけ

    89 アルコールと梅毒
    109 経済には永遠の繁栄もなければ、永遠の衰退もない
    131 九〇を過ぎても毎日記録を取る。ダウ、金属、為替
    188 コメの二期作に挑む
    194 株再デビューは63歳
    196 亀3則
    ・水面下にある優良株を買いじっと待つ
    ・経済、相場の動きからは目を離さず勉強する
    ・過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する
    221 野も山も、皆いちめんに弱気ならあほうになってコメを買うべし(三猿金泉秘録)
    242 同和鉱業株で野村に恩義
    264 踏み出し大切なり。踏み出し悪しき時は決まって手違いになるなり
    289 「勘」とは経験の集積から湧き出る真実的総合判断なのである

    同和鉱業株、売りに失敗して野村に
    ケツ吹いてもらったんだ

    あと戦時中に朝鮮で製鉄所やってたことが
    結局強みになってる
    図書館に3年通って勉強した、ってのもあるだろうけど

    合法的に徴兵検査で不合格になるくだりが面白い
    本格的に株の世界に戻ってきたのは63歳の時
    アルコールと梅毒にならなければ、長寿OK

    ちょっと話盛ってるところがあるような気も...

  • 実話なんだけど、まんま冒険小説です。

  • 最後の相場師と称された是銀が九十三歳で記した唯一の自伝。「自伝波乱を生きる」を改題。

    うーん面白い。著者は兵庫県に生まれ高等小学校卒業後、貿易商に奉公する。奉公先の倒産を機に中国に渡り軍の御用商人として起業する。無一文で帰国後、鉄鋼業を起こし関東大震災で儲けるものの大恐慌で倒産する。その後の困窮時代に図書館に通い独学で経済を勉強し株の世界へ。元手を作り朝鮮に渡り鉱山開発と製鉄所を設立する。
    戦後、財産を没収され帰国し農業を研究。その後、株式市場にカムバックして相場師として名を馳せる。このような波乱万丈、七転び八起きの人生がおもしろくない訳がない。

    自伝を読むと、ものすごいエネルギーの塊であることがわかる。しかも物凄い勉強家である。本書を読むと知識の裏付けがあって投資している事がわかる。

    著者は言う。株は自分の持てる資金の範囲内で投資(信用取引は絶対しない)し新聞や雑誌の大見出しに飛び付くなと。素人トレイダー必見の一冊と言える。

  • これはすごい本だった。とにかく波瀾万丈で、浮き沈みが激しい。歳をとっても衰えることなく相場に走る。ものすごい

  • 多少自己弁護がうっとうしいが、それでも凄いヒトだ。面白かった。

  •  まえがきの引用。

    “ これまでいくつもの出版社から、自伝の出版を依頼されたが、どのような申し出に対しても断ってきた。(略)ところが、あるライターが止めるのも聞かず、私の投資一代記なるものを出版してしまった。すべて真実のまま書いてあればいいが、非常に真実とかけ離れたことも書かれている。(略)
     そこで私は自らの人生を自らの手で綴ることにより、株で成功することは不可能に近いという事実を伝える使命があると思い、筆をとることにした。”

     これで、もう十分ですね。波乱万丈の人生を送ってきた相場師が、自ら「大風呂敷を広げますよ!」と高らかに宣言しているのだから。しかも「株は儲かりませんよ」と言っているのだから。
     一度はこの大風呂敷に包まれてみるのも悪くないと思いました。いや、真似なんてできないけどね。

  • 昔読んだが時々読み返している。日本ではそれなりの運用資金を持つ個人投資家が書いた本はないといっていいが、これは本当の個人投資家が書いた本である。人間のスケールの大きさにも惹かれる。本人は相場師とは思っていなかったと思う。本を売るために勝手につけた書名と思われる。

  • 株やFXに興味のある人は読んだらいいと思う。そう簡単に儲かるものではないことを思い知ることができるだろう。それだけでも読む価値は十分。
    おまけに、というか本来はこの本の主題だけど、是川銀蔵のものすごくアグレッシブな生き方には刺激を受けた。特に第一次大戦が目前という時代にわずかなお金をもって16歳で単身大連に乗り込んで商売を始めるところなんかゾクゾクもの。

  • 株は死ぬ気で調べたりしないと儲からないな。私はかんたんなインデックス投資でいいやと思った。

    ただ、年を取っても学び続けて新しいことにチャレンジしていく姿勢は見事。見習わないと。やるからには必死で学ばないとやはりいけないんだな。

  • 「相場師」=「バクチ打ち」というイメージがあるが、
    とんでもないと知った。
    絶えざる研究・勉強、先を読む視点、タイミング、
    全てが揃わないと「圧倒的な勝利」はない。

    「人間には、一生のうち二度や三度のチャンスはある。
    それを生かすか殺すかの決断のために、日常の努力と精進、
    そしてまじめといった理論と実践とを通じて
    日夜思考の訓練を重ねることが成功への確率を増進する。
    そのために数多くの真剣勝負を経験し、勝負勘を養うことだ」

  • 最後の相場師「是川銀蔵」の自伝。
    破天荒で痛快な面と、雌伏してひたすら勉学などに励む姿、どちらにも圧倒させられる。

  • 22/2/10 95 こういう人がいたってことが面白い
    亀三則
    1、銘柄は水面下にある優良なものをえらんでじっと待つこと
    2、経済、相場の動きからは常に目を離さず自分で勉強する
    3、過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する

    人の何倍も大儲けしようと思ったら、やはり、金儲けには思想が必要だろう

    1、銘柄は人が奨めるものでなく、自分で勉強して選ぶ
    2、二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
    3、株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物
    4、株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
    5、不測の事態などリスクはつきものと心得る

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