船に乗れ! 2 独奏 (小学館文庫)

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著者 : 藤谷治
  • 小学館 (2016年6月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063011

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船に乗れ! 2 独奏 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • まだ3巻を読んでいないので、最終的にはどうなるのかは分かりませんが、南さんは結局、音楽家ではなかったのではないでしょうか。
    音楽を愛することと、音楽家であることは似て異なることで、彼女は後者ではないのでは?という印象を強く受けました。主人公も、然り。今の所、後者にあてはまりそうな高校生といえば、伊藤くんくらいか……。

    1巻の、メンデルスゾーンのリハーサルのときから感じていた、南さんに対する不信感。それが最悪の形で実現されたというか。やっぱりな、という残酷な納得が強かったです。彼女の軽薄なミス(本人は真面目なのでしょうけど)のせいで起こる、二次災害の方がよほど被害が甚大であったように思います。

    ドイツでのレッスンでの感情は、半分理解できました。たぶん、音楽家を目指しているなら、一度ならず何度も何度も経験する感覚だろうな、と思います。そして、その感覚の描写はさすが、チェロ経験者と思いましたが、でも、たったあれだけで折れてしまうことが、主人公が音楽家でない所以なのでは?と思ってしまいます。

    ただの青春小説の苦悩として読めば、もっと共感できるのだと思うのですが、いかんせん、クラシック音楽に向き合う身としては、歯がゆいというか。君には、その資格はないんじゃないのか?と話しかけたい気持ちに、何度もなりました。

    最終巻で、みんながどういった決断をするのかは気になるので読み進めますが、この巻だけを取り出せば、好きにはなれない一冊でした。

  • 読み始め…16.7.14
    読み終わり…16.7.15

    高校二年の夏。同級生たちが優秀な新入生たちに焦りを覚えるなか、サトルは音楽家である祖父からの薦めでドイツで学ぶ機会を得ますが――

    中だるみの高ニ。誰でにも、どこにでもあるものですね。。男子にも女子にも。

    ドイツでの学びにはドイツ語もわからないまま自分をどう表現し、先生にはどんなふうに思われているのかをわからずにいるもどかしさと恥ずかしさに落ち込む様子が痛いほど伝わってきます。著者さんご自身の体験されたことを元にしたストーリーであることが伺えるいくつかの場面のなかの一つのようで心情がリアルでした。
    場面は違っても、似たような経験のある読み手にもできれば思い出したくない澱んだ空気のなかに呼び戻されて苦い匂いを嗅がされているようで....。

    だけどあの子はいけないよ、サトル。Ⅰの出会いのときからだめだめ...とどうしても賛成してあげられない自分がいました。親目線だからなのでしょうか....。

  • 読了時、前半のプチ留学のことなんかスッカリ忘れてしまうくらい、後半のインパクトに唖然となりました。

    サトルの留学の話以降、南との関係がギクシャクして不在時にどんなことが起こるか、いくつかの予想がありました。結果としてその中の一つが当たっていたわけですが、予想できていたとはいえ南にはガッカリ。

    渡独前のやりとりや手紙の内容はなんだったの?と言いたくなるような結果に、一巻や前半の好印象がそのまま嫌悪感に。

    人によっては、そんな寂しい思いをさせたサトルを責めるかもしれないけど、昨今のゲスでファンキーな人たちの騒がれぶりを見ていると、それは正しくないように思うのです。

    もしかしたら相手の男が女をたぶらかすことに長けたヤツで、南のプライドの高さを上手く突いた結果かもしれないけど、そんなのは二巻読了段階では憶測でしかないし、そんな男が簡単に妊娠させるようなことはしないと思うわけです。

    そんな南にだけでなく、唯一サトルを救ってくれた金窪先生を追いやる原因を作ったサトル本人にもイラッとしました。そして、「おじいさま」に取り入ろうとそんなサトルにまんまと乗せられた久遠とかいうアホババァも、いなくなればいいのにと腹が立ちます。

    一巻でのめり込んでいた分、この後味の悪さはかなり応えました。三巻でなんとかしてもらえなかったら、しばらくこの作者の本は読みたくない気分です。

  • さまざまな要素を含む第二部だから、感想を綴るのはとても難しい。
    我が世の春を歌う恋人たちが希望に満ちた未来を夢見る冒頭から、二人がそれぞれ償いきれない罪を犯して魂の地獄へと落ちていく、その落差はあまりに大きい。

    津島サトルは、南枝里子が行くからという理由で、高校受験の折には一度は不合格となった芸大を再び目指すことになる。
    去年と同じく、オーケストラの練習も始まり、伊藤と文化祭で合奏することになり、更に北島先生には生演奏の仕事を持ちかけられるなど、サトルは多忙であった。

    更に、祖父の勧めで、ドイツに二カ月の留学に行くことになる。
    チェロを学ぶためだ。
    彼はそこで…気取った書き方をすれば、
    『世界の大きさと自分の小ささ』を知ることになる。
    そして、メッツナー先生の最後のレッスンで、音楽に対する認識も変わることとなった。
    大きな成長だった。

    しかし、その裏で進行する、不気味な旋律。

    これまでいろいろな作品を読んで来たが、主人公の相手役というものは、とことん、彼を苦悩させるために存在するものだと思い知った。
    彼を苦しめれば苦しめるほど、彼女は大きな存在になる。
    そして、その点で南は素晴らしくいい仕事をした。

    思えば、彼女はそういう性格だった。
    彼女の不幸は身から出た錆である。
    そして、自分が不幸になる事によって、サトルをも同じ淵に引きずりこむ。
    彼女の行動は陳腐で、ありきたりな転落である。
    なのに、どうしてこの小説は、こんなにも格調高いのだろうか。

    金窪先生の「最後の授業」も印象的。

    そして、佐伯先生を語る時だけは必ず敬語で通しているのも、何か、気になる。

  • 2016.10.18 読了

    藤谷治の青春音楽小説3部作。文庫3巻から成る本作の第2部を読了。本巻の副題は『独奏』。第1部では芸大付属高に落ち、三流音楽高校である新生学園付属高に入学し失意にいたサトルが”いい音楽をちゃんと演奏できる仲間”と出逢い、合奏と協奏に向け奮闘した。しかし、第2部では一転、ドイツへの短期留学が引き金となり歯車が狂い始める。”チェロを弾くこと”の先にある”演奏”は見えず、南との関係はサトルにはどうしようもなく修復不可能に。南を失い、サトルは取り返しのつかない過ちを犯す。起・承・転まできた。結末はどうなる。

  • チェリストをめざす津島サトルは
    バイオリニストをめざす南枝里子と二人で芸大を目標とするようになる

    夏の合宿で枝里子との距離が縮まったのも束の間
    ドイツへの短期留学から戻ると枝里子のようすがおかしくなっている

    漱石や大宰にも通じる濃密な独白体による青春音楽小説三部作の第二巻
    音楽や哲学を縦横に語りながら展開する物語には強い吸引力がある

    発表当時「本屋大賞」7位になった単行本の2度目の文庫化
    「一気読み必至」まる一日つぶす覚悟で

  • 一巻の最後では南と付き合うことになり、芸大に行ってデュオを組もうと約束する。順風満帆だったはずの二人に暗雲が立ち込める。
    高二の夏、サトルに持ち上がった二か月間のドイツ留学の話に、あなたは私より才能がないくせにお金持ちだから行けるのだ、と著しく不安定になる南。サトルは留学先から手紙を送り続けるが、帰国後、南の様子があきらかにおかしくなっていく。そして突き付けられた真実。その後主人公がとった卑劣な行為。
    心臓が鷲掴みにされる、苦しい。
    ただの青春小説と侮るなかれ。

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船に乗れ! 2 独奏 (小学館文庫)の作品紹介

衝撃の展開に目が離せない、急展開の第二部

音大附属高校の二年生に進学した津島サトルは、ヴァイオリンの練習に励む南枝里子の姿に触発され、チェロで芸大を目指す決意をする。同級生たちが優秀な新一年生たちに焦りを覚えるなか、サトルは祖父から、ドイツ・ハイデルベルグで二か月間チェロを学んでくるという機会を与えられる。
ショックを隠し切れない南だったが、出発前には「ドイツで楽譜を買ってきて」と笑顔で送り出されたサトル。しかし意気揚々と帰国した彼は、思わぬ事態に巻き込まれていく――。
若さゆえの自我の暴走が、オペラやオーケストラの名曲と共に切なく描かれる。一気読み必至の第二巻!

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