懲役病棟 (小学館文庫 か 46-3)

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  • 小学館
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072600

感想・レビュー・書評

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  • 女子刑務所が少ないことや、懲役年数も犯した罪の内容も異なる人達が同じ部屋に収容されることなど、えっ、そうなの?と驚きながら読んだ。自分でも、気になって調べてみると、どういうことを目的としているかや様々な配慮がされていることがたくさん出てきた。こういう知らない世界を身近なものに感じさせてくれるから小説は面白いと思う。

    犯罪を犯したといっても、ここに出てくる登場人物たちはどのひとも普通の感覚から逸脱しているわけではなくて、環境の悪さやそこに至るまでの経緯は理解できるし、もしかしたら、自分や周囲の人も何かのきっかけで間違いを犯すことがあるかもしれないと考えさせられた。

    フィクションだから、いい方向に向かって終わってはほしいけれど、そんなうまくいくかなぁとちょっと意地悪な目線で読んでしまった。。。

    最後に解決しなかった赤ちゃんが気になる。

  • 相手の心の声が聞こえる聴診器が登場する、病院を舞台にしたシリーズ。今回は女子刑務所が舞台だ。夫の裏切りによる離婚と、無知による貧困化。信じて結婚したはずの夫からの殺されると思うほどの暴力。毒親に育てられたヤングケアラーの末路。最愛の孫がいじめで自殺。受刑者たちの持つ背景はどれもこれも、もし自分がその立場なら犯罪者になっていたかもしれないと思えるほどにリアルで辛い。彼女たちが救われるのは、「そんなにうまくいくことばかりでないだろう」と思いつつも、この物語の中だけでもこうであって欲しいという結末に落ち着き良かったと思う。
    受刑者を取り巻く最悪な登場人物の中でも特に、美帆の義父(暴力亭主の父はやはり暴力亭主)があまりにも酷い人間でイライライライラが止まらなかった。孫息子を勝手に跡取り扱い、跡取りにならない孫娘は物扱い。地獄へ行けと思う。

  • 不思議な聴診器、患者の胸に当てると、患者の本音や心境などが聞こえてくる。今回は、女子刑務所の医務室。

  • 04月-14。3.5点。
    病棟シリーズ第三弾。今回は金髪医師が例の聴診器を引き継ぐ。女子刑務所の診療所へ半年間出張、例の中年看護師と一緒。

    シリーズで一番面白い。

  • 2024.03. Audible

    本当に加害者というよりは被害者。
    どうにかしたいね。

    Amazon 本の紹介
    舞台はなんと女子刑務所!
    「後悔病棟」「希望病棟」に続くシリーズ第三弾!
    神田川病院の“金髪女医”太田香織と看護師・松坂マリ江は、ひょんなことから女子刑務所に派遣される。当初は、受刑者との距離を感じていたが、同僚から授かった不思議な聴診器を胸に当てると――

    惣菜四三〇円の万引きで懲役二年を科せられていたり、夫からの執拗なDVに耐えきれず殺害に及んでいたり、はたまた悪い男にそそのかされ、クスリに手を出していたり、と彼女たちの切実な事情が見えてきた。
    二人は受刑者たちとは個人的に接してはならないという禁を破り、あっと驚く方法で解決に乗り出してゆくが……。
    【編集担当からのおすすめ情報】
    シリーズ第三弾となる本作も、垣谷節全開! 現実に根差した理不尽をうま~く料理しながら、時にピリッとしたスパイス(怒り)をもまぶした物語を、著者は私たちに、すっと差し出しだします。本作の最初の読者といってもいい、解説を務めた村木厚子さん(元厚生労働事務次官)の言葉を紹介します。
    〈読み始めてしばらくは、リアルさにとにかく圧倒されました。ここに書かれていることは本当のことばかりと思いながらページをどんどんめくっていったんですが、途中から「こんなにリアルだったら、どうやって話をまとめるんだろう?」と勝手にハラハラし始めたんです。そうしたら……エンターテインメントとしても見事な仕上がりになっていた〉
    極上のエンタメ作品をどうぞご賞味あれ!

  • 聴診器を通して心の声が聞こえる病棟シリーズの第3弾。
    第1弾の後悔病棟が良かったが、この懲役病棟はそれよりもずっと良かった。
    女子刑務所に出向?になった元暴走族の女医 太田香織と看護師の松坂マリ江。
    特に太田香織は囚人たちは犯罪者、同情の余地はないと豪語していたが、聴診器を通し万引き犯、殺人犯、覚醒剤犯、放火犯の心の声を聞き、元の病院の医師たちの力も借りつつ、生きる希望を与えていく。
    みんながみんな同情に値する事情のある人ばかりでは無いのだろうが、読後は少し考えさせられるところもあり、しみじみと感動した。

  • 受刑者と医師の関わり合いが面白い
    受刑者は極悪人なわけでもなく自分達にとっても身近な話だった。
    特に放火で捕まった人はこれから誰になったとしてもおかしくはない話
    柿谷美海の話は誰かが悪いと特定するわけでもなく、いろんな人の立場になって考えることを教えてくれる
    香織とマリエさんがなんだかんだ仲良くしていて途中から楽しくなった

  • 相手の考えていることが分かる不思議な聴診器。これを使って女子刑務所に服役中の受刑者の、罪を犯すまでの切実な事情を読み取り、彼女らの未来に希望を持たせるためにアレコレと策を考える女医(元暴走族のお嬢様)。設定や主人公の現実離れ感はあるものの、コミカルなお話を通して、現在の女子刑務所の問題、受刑者の事情などなかなか知り得ないことを知ることが出来た。

  • 読みやすかった。三部作 読んでみたいと思います。

  • 解説の人がすごい。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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