懲役病棟 (小学館文庫 か 46-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072600

感想・レビュー・書評

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  • 犯罪の裏には、その人が抱える様々な事情がある。その背景にある社会問題に目を向け、向き合うことの大切さを教えてもらった。

    私は教員をしていますが、生徒にも同じようなことが言えると思った。問題行動の裏にある生徒を取り巻く様々な環境、心の内に抱える感情を観察することの大切さを改めて感じた。表面に捉われず、見えない心を大切にして人と接するべきだなと思う。笑ってるけど心は泣いているということはよくあること。ルールを守らせたり、問題行動を罰することが大切なのではなく、生徒の内面に迫ることを心がけたい。

  • 柿谷美雨さんは面白おかしく物語を進めながら、現代社会の問題を明るみに出していく。そうだよね!母子像の批判には私も本当にそうだそうだ!と思いました。出所した人たちを福祉が繋いで社会復帰することが考えられ始めているけど、まだまだだなぁと感じました。

  • いつも通りの垣谷さん。よみやすくてスラスラ読める。
    たしかに再犯率の高さとか出所後のサポートとか、いろいろ考えさせられるところではあるんだけれど、ワタシは恵まれた人だからなのか、やっぱり、でもなぁ・・・と思ってしまう。

    惣菜を万引きしただけというが、常習だし。
    女性の服役者はすべて環境や周りの人のせいで仕方なく罪を犯している・・・とは。やっぱり思えない。
    あといつも垣谷さん作品に出てくる男性みんな、女性蔑視などワンパターンすぎて、はいはいってなる。まあお決まりなので読んでいて安心感はあるけれど。

  •  導入の部分でSFかと思った。SFがあまり得意でない為、「よし、(SF)読むぞ」と身構えないと読めないのだが、あっさり読めてしまった。というのも、導入にSF要素が少々あるだけであとはノンフィクション風味のフィクションだったからである。
     女子刑務所、無縁なものとして生きてきたがそんなことはないのだと思わされる物語だった。今日の日本社会にも即しているため、学生(特に中高生)には一読したらきっと印象に残るであろう本だと思う。読んでよかった。

  • 惜しむらくはこれがシリーズものだと読み終わってから知ったことだ。
    聴診器を借りる時点でなんの含みかと思っていたらシリーズを読んでいないとわからないということだ。くそー、第一巻を読むか。
    内容的にはどうにも人物設定が稚拙すぎて評価1にしたいくらいだったけれど、物語全体の雰囲気は悪くないし割りと好きかも。人情もののオチになるんだけれどやっぱり人物設定が...
    ありがちな短編ものなので読みやすさは一級品!

  • 女囚は、加害者だけでなく被害者でもある。

  • 連作短編5篇
    半年だけ女子刑務所の勤務医となった金髪の女医香織先生と看護師のマリ江が患者の本心が聴こえる不思議な聴診器で囚人たちの真実を知って彼女たちのために奮闘する物語。刑務所の実情が分かり、再犯が多いのにも納得。
    香織先生とマリ江の食事を巡っての攻防が面白かった。

  • 不思議な聴診器シリーズ(?)三作目。
    今回は、太田香織医師(39)と松坂マリ江看護師(52)が女子刑務所に派遣される。窃盗、覚せい剤、殺人、放火とさまざまな罪状の受刑者を診察し、聴診器の力でその来し方を知ったうえで、出所後の行く末を見据えた対処をする。
    やり方は無茶苦茶で強引だし、巻きこまれる周囲は迷惑この上なくはあるのだが、結果的に彼女たちのためになっているのが好ましい。
    香織の自然体の振舞いに好感が持てる。

  • 香織先生とマリ江さん素敵でした。

    病棟シリーズの3作目。後悔病棟、希望病棟の後に読むと楽しさ倍増します。

  • 連作短編集で読みやすかった。
    シリーズものの途中からいきなり読んでしまったみたいだが、特に問題はなかった。
    前シリーズも気になるが。

    著者の作品は、主に女性のリアルな「生活」を描いてらっしゃるイメージ。
    刑務所に勤めることとなった医師と看護師がちょっと不思議な聴診器の力を使って、受刑者たちの人生に関わるお話。

    香織先生ほどではないけれど、受刑者に対する偏見は少なからずあった。
    頭では、みんなが凶悪犯なわけではないし、いつ自分が足を踏み入れてしまうかも分からないと思うし、更生してそれからの生活をどうするのかを考える場所が刑務所と思うのだけれど、被害者としても加害者としても自分ごととしては捉えられていないのだな、と自分の中の偏見にも気づく。
    受刑者の中にも、ほぼ被害者みたいな人が多くいる。側から見たら、何かやりようがあったのではと思ってしまうが、それはエゴなんだろう。

    知識をもつこと、適切に助けを求められる環境、それがあるだけで随分変わる。
    犯罪は一生ついて回る。自分だけではなく周りにも。
    渦中にいると視野が狭くなり、分からなくなってしまう。身を護る術を教えておきたい。

    解説で村木厚子さんの言葉
    刑務官は、再犯して戻ってこられるのが1番辛いとの事
    出所後の住まいや仕事、お金の問題を考える。
    一口に受刑者と言っても、半ば被害者のような理由での犯罪から、悪意を持った犯罪まで多様で
    そのパターンに応じた納得いく対応は難しい。
    第三者的にみたら事情があっても、被害者がいる場合もある。
    考えるほどに難しい問題…。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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