きいろいゾウ (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082517

感想・レビュー・書評

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  • 大事な人を大事にしようと思えるほっこりできる作品

  • 幸せな現状の水面下で見て見ぬ振りをしている不安の種がいつ芽吹くのか心配になってハラハラする感覚。その感覚が中盤以降ずっと漂っていて不安になりました。
    そんな引き込まれる文章を書けるのって本当に凄いなあと悉く感心します。

  • 大地くんがよい

  • あまりこうグイグイ読みすすめる感じではなかったかな

  • とても変わった夫婦の小さな小さな生活とちっぽけな幸せに読者は引き込まれます。

    東京で知り合って直に地方の海岸に近い田舎へ引っ越してきたムコとツマのささやかなちっぽけな夫婦の毎日の日常を綴る物語。

    作家で介護施設アルバイトの夫”ムコ”は亡くなった祖父の空家(日本の西側と思われる地方へ引越し)へ専業主婦である妻”ツマ”と生活を開始する。甘えん坊で頑固なツマが愛おしくお風呂に蟹が浮いていようが、蚊になやまされて寝れない日があっても、中古の軽自動車が何度エンストしようとも淡々と自分のスタイルを貫きつつもツマの存在をしっかり見つめながら一歩一歩暮らすささやかな毎日。

    ツマは毎朝山や畑で採れた野菜を使い朝食をつくりムコとの二人の生活を満喫しのんびりした主婦生活を送る毎日だが、ムコとの付き合った期間が少なかった為にムコの過去や小説家である事に興味なくある日現れる近所の小学男子に擬似恋愛をしてしまう。

    そんな中で東京からムコの元彼女から手紙が送られてムコは散々悩んだ挙句に東京行きを決心する。

    ムコの背中に彫られた色鮮やかな刺青と元彼女との真相、ツマは虫や動物、森等人間以外の声が聞こえるという奇妙な能力を有す純真な心の持ち主、この二人を中心として隣の老夫婦や野良犬、ゴールデンレトリバー、雄のチャボ等皆におかしなあだ名を付けてちっぽけだけど愉快な毎日に読者も思わず引き込まれます。

    題名である”きいろいゾウ”は見えない糸が二人を結びつける運命的役割を果たしている。

  • ちょっと幸せすぎました。幸せすぎて途中物思いにふけりたくなって、読むのに時間がかかります。
    不思議な雰囲気を持った小説でした。たまに不思議すぎて分かるのに時間がかかったり分からなかったりしたけど、それでいいんだなあと思いました。その不思議さがとてもとても心地がよかったです。
    お話しのすじじゃなくて、文章ひとつひとつが魅力的な小説でした。わたしはそういう小説が大好きです。ことばの力をふんだんに使っている!
    めちゃくちゃすきとてもすき。(2018/10/10)

  • 離れてこそわかることがある。。
    離れないとわからないことでもある。。
    チャック全開アレチさん。。

    口元が微かに緩むあいつからの手紙及びムコが田舎から東京へ行く感情に胸が締め付けられた。。

  • 読み進めている間、ずっと頭に浮かんだ人を大切にしようと、思いました。
    ただ、後半はもう何が何だかわからなく(何が本当にあるもので何が幻なのか)なってしまい、星、3つです。
    ププっと笑えるところや、情景が浮かぶようなところがたくさんあり、想像力がかきたてられました。

  • この小説の影響で日記を付け始めた。ツマ側とムコさん側の視点の対比がおもしろい。
    田舎の風景描写とツマとムコさんの独特な会話に数ページで引き込まれた。オノマトペが特徴的だけど、的確。ネーミングセンスが抜群。読み終わりたくなかったから、ゆっくりゆっくり読みました。ツマとムコさんはパズルのピースがぴったり合った出会いだったんだなぁ。
    私の大好きな世界観でした。

  •  かつて15年ほど前に某雑誌で紹介されているところを見てから気になっている西加奈子さん。独特の言葉遣いをされる方です。

     内容は田舎に越してきた夫婦のお話しです。自然や霊などの周囲の声が聞こえてしまうツマとそれを温かく見守るムコ。お互いに過去を抱えており、その過去が壊れそうになりますが。。。という話です。ツマがいわゆる”見えてしまう”人であり、ホラーに足を突っ込むかと思うような展開もあり。また夫婦の男女の仲が崩れかける展開は島尾敏雄・ミホ夫妻の『死の棘』『海辺の生と死』を思わせる展開。ぞっとします。で結末はというと。。。ご自身でお確かめください笑。私は楽しく読ませて頂きました(ただ欲を言えば、最後の終わり方がちょっと単純だったかなあ)。

     作者の西加奈子さんにはとても特徴があり、ひらがな・カタカナの多用や同一語の繰り返しが多く、小説でありながら詩を読んでいるような感覚を感じさせる作者だと思いました。ムコ、ツマ、アレチさん、コソク、カンユさんなど登場キャラの多くはカタカナです(所謂あだ名で通しているのでカタカナ表現なのかもしれませんが)。

     次に関西弁の多用に特色があります。他の作品もそうですが、登場人物の発言を関西弁で進行させます。この作品の場合はムコさんの発言は関西弁。私は大阪と兵庫に二年ずつ住んだことがありますが、音が忠実に文字になっているなと感じました笑。

     あと、ちょくちょくギャグっぽい内容が出てくるのですが、年代が合う方はヒットするかと。例えばキン肉マン。屁のツッパリって覚えていますか。1970年代生まれ前後の方はくすっ笑える内容が散見されます。

     全体的には内容もさることながらその文体のユニークさや言葉の繊細さを味わう作品なのかなと感じました。ただ、この作風が合わない方には拒否反応が出そうです。私は結構好きなタイプですが笑。

  • 田舎に来た小説家夫婦
    もうちょっと読むと面白いかもしれないが読む気がしない!

  • 知り合いに勧められて読みました。
    最初は設定がいまいちわからず、読み進めるのに苦労したのですが(好みの問題だと思います)、最終的にはとてもほっこりする内容でした。
    これだけ相手のことを思いやれる人を人生の伴侶に選ぶことができたら素敵だろうなと。

  • この本に引き込まれるように読んでしまった。
    先に映画を観ていたので、内容はあまり覚えてなかったけれど、読んでいる最中はメインキャスト2人の声を聞いていた。

    くっきりと影をつくる夏から輪郭をぼんやりとさせる冬になるにつれて変化するツマとムコさんの関係、自然の声や周りに生きるものたち。苦しいときを乗り越えて春を迎える終盤。

    帰ろう。僕はそれがそこにあることを、知っているから。
    ムコさんに光が差したとき、同時にわたしにも降ってきたように思う。

    きいろいゾウに出会えてよかった、ありがとうと言いたいです。

  • 西加奈子さんの文章は読みやすい。一文一文が簡潔でさらっとしていて、伏線も効いている。
    「ツマ」と「ムコ」の気持ちが交互に描かれている構成も、目線が変わって初めて分かる事実等あっておもしろい。
    このお話はちょっと独特で、自分には理解し難い世界観があって、よく分からないような分かるような、でも嫌いではない、という感想。

  • 【始】お風呂に入ろうと思って服を脱いだら、浴槽に茹で上がった蟹が浮いていた。

    【終】それはきっといつも、そこにあるのだから。
    必要なもの ぼくのつま



    かなり癖のある文章でとっつきにくかっけど、慣れてきたら心地よくなってきてたかも。
    でもやっぱりクドい。ストーリーも含めて。
    登場人物も癖しかない人しかいなかったけど、ごちゃごちゃしててそれぞれ何がしたいのかよくわからなかった。

  • 2021年1月29日読了。読むのに随分と時間を要してしまった。なんでかな~
    実はこれも再び手に取った本。昔主人公の一人であるムコさんの日記の書き方を真似していた事がある。特にその日食べた献立をその通りに書くという方法の部分をね。

    最後ツマが万物に別れと感謝の言葉を捲し立てる場面があるのだけれども、その描写に萎えた。今思い返せばそれは、"円卓"で言う所の教室からばら撒かれた言葉の紙吹雪であり、"サラバ!"で言う所の「この物語は私の話であるかもしれないし、そうでないかもしれない」(みたいな事が書いてあった)の文。つまりこれ見よがしな物語のフィナーレ。それがどうもくどい。西加奈子さん、もう少し終わりをさらりと書いて欲しいと思う。それともそれが彼女の味なのか。わからない。もう少し他の作品も読まねばね。

  • 最後の、必要なものにツマが書かれているのはよかった

  • 大好きな西さんの本で1番すきな本。友達におすすめの本聞かれたらまず「きいろいゾウ」すすめてる。この本に出てくる全員すき。もっと言ったら西さんの本に出てくる人みんなすきかも。

  • 数年前に映画化した時に見たいなーと思ったまま見逃していて、コンテンツとして映画よりも小説の方が好きなので原作を、と思い読みました。

    (勝手に主演は蒼井優ちゃんだったと勘違いしていたのですが、宮崎あおいちゃんでしたわ。読んでる最中は完全に蒼井優ちゃん映像で想像してたのに!)

    ツマという名前の女性と、ムコさんという名前の男性の夫婦が田舎でものんびり、優しく楽しく、そしてちょっと切なく暮らしている日常物語で、結構長い小説なのですが、柔らかくて暖かい文体であまり緊張せずに読めたかなと。でも読むのは意外と時間がかかったなあ……。

    嫌いじゃないけど、うーん、結末は合わなかったかなあ……でもすごく爽やかで優しくて温かい話だったです

  • 夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった―。

  • まだ自分には読解力が足りないのか、表現が難しく感じることが多々ありました。世界観と言えばいいのかな?筆者の壮大な思考力は素晴らしいと思いました。

  • 今までミステリー小説を主に読んでいましたが、たまには変わったものも読みたいと思い読みました。
    最初は「ん?」と思う所もありました。
    ちょっと読みづらいなーって思うこともあり、全体的にゆったりしたテンポで進んでいきます。
    ミステリーみたいに犯人探しなど明確な目的はありませんが、これはこれで雰囲気は好きです。
    私は主人公に感情移入できませんでした。

  • キン肉マンのドンジャラ懐かしい

  • この人の書く物語は、終盤に情緒不安定な人が登場するのがテッパンなの?せっかくのクライマックスなのに、わけわからん精神状態の女性が出てきて、そこまでのゆるふわ夫婦のいい感じの生活描写や夫婦の心の機微が完全に殺されてる。ただでさえ、ツマがちょっと不思議ちゃんなんだから、そんなに何人も変な人が出て来たら疲れる。
    .
    この夫婦に何らかの試練というか障害が必要なのはわかるんだけど、ムコの元カノがこんなメンヘラである必要性が全く分からなかったし、無理矢理用意された試練を無理矢理乗り越えて、力技で辻褄合わせた感じがして後半辛かったな、、、、
    .
    .
    白いしるしもそうだったけど、平和な日常を描き出すのはもの凄く巧い。だから、大きな出来事なんて要らないのでは?初期だから?
    .
    前半良かっただけに、なんだか消化不良。後半は、支離滅裂な村上春樹みたいな感じがしたから、深く考えずに雰囲気でグイグイ進んじゃえばよかったのかもしれない。
    .
    ムコの元カノに気を取られすぎて、読後特に何も感じなかった。無念。

  • 色んな人にオススメできる本。
    メガデスには笑った。

  • んー…

  • あまり面白くなかった。

  • 大切な人に感謝の言葉を一刻も早く伝えたくなる、暖かくて優しくて切なくて一生懸命な、素敵なお話だなあ、と

  • 夏の夫婦の日常描写が好き。ありありと情景が浮かぶよう。ラストは、様々な夫婦の葛藤と愛情がみえて感動した。

  • ほっこり小説のはずが、読むと疲れてしんどくて、、、

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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