- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094086188
作品紹介・あらすじ
栗原一止は信州にある「二四時間、三六五日対応」の病院で働く、悲しむことが苦手な二十九歳の内科医である。職場は常に医師不足、四十時間連続勤務だって珍しくない。ぐるぐるぐるぐる回る毎日に、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば最先端の医療を学ぶことができる。だが大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医者でありたい…。悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。二〇一〇年本屋大賞第二位、日本中を温かい涙に包み込んだベストセラー、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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最先端の医療を学んで、今まで助からんかった患者を助けるのも大切。
最先端ではなくても、安心して最後を向かえるようにする終末期医療も大切。
今でも、大学病院などの最先端からは、見放されてる人は多いのではないんかな…
そういう人たちに寄り添っていく、お医者さんもいないと!でも、このハードワークで、ずっと患者さんの事を考える…
並大抵の事では出来ん事。
主人公は、皮肉屋っぽくて、誤解されやすそうやけど、ええ人なんや〜
しかし、地方都市と言えど、もう少し、お医者さん増やすとか出来んのかなぁ…
そんな働いたら、いずれ事故起こすよ…
どんなに患者さんに真摯に向かい合っても…いずれ、改善することを期待しながら、それまで頑張って!患者さんのために!
信州って、ええ雰囲気やな。
うちの辺とか、ごちゃごちゃしてて、アカンわ〜
でも、ずっと信州みたいなとこは、私にはムリかも(^◇^;) -
家族が昔読んでずっと家にあったけれど、映画観ちゃったしなぁ、とずっと読まずにいた本。
面白い本は映画観てからでも面白いですね!
まず、読み始めて誰もが主人公の一止(いちと)のおかしな話し言葉にとまどうと思います。「これは敬愛する漱石先生の影響である。」もう、ここから既に私の心は掴まれてしまいます!私も若き日に『漱石先生』と心の中で呼んでいましたから。私は心の中だけにとどめておいたので、一止のように変人扱いはされてませんけど(多分)。
そして、一止の住む御嶽荘の住人たちがまた個性的で面白い。一止に負けず劣らずのキャラで一止の話し方が浮かない会話が繰り広げられる。御嶽荘での出来事はまるで『漱石先生』のいた明治のことのようで、久しぶりに『漱石先生』の本を読みたくなってしまいました。
一止の医師としての苦悩、御嶽荘の住人たちの思い、それぞれに涙する場面があるけれど、全体的にとても温かな作品で、良い時間を過ごせました。
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夏川草介さんの医療小説。初読みとなります。
舞台は信州にある民間の大病院。ネットで見て知りましたが、夏川さんは信州大学ご出身で実際に長野の病院に勤務されている現役の内科医なのですね。(現時点はどうなのかわかりませんが)
本作を書かれたのは既に十数年前ですが、地方医療に関する人手不足の問題や地域の人々の高齢化といった様々な課題が背景となっています。これらの課題は現時点では解決するどころかむしろ大きくなっている。別に地方に限った問題ではなく、今や日本全体がこの大きな課題に立ち向かっていると言えるでしょう。
夏川さんはこの作品の中で、地方医療機関に勤める一人の医師が、この大きな課題に対してどのように対応していくのか、どのように戦っていくのか?について描いています。厳しい環境にある医療現場の中で戦っている人々とそれを取り巻く人々を心温まるストーリーで展開していました。
読み始めるとすぐに分かるのですが、主人公の語り口が「漱石」風になっている。決して古風で堅い感じがするものではありません。これがまた気持ちの良いテンポを生み出しています。身の回りの人々の描写についても軽妙な「あだ名」をつけてその性格や特徴を的確にユーモラスに表現している。まさしく漱石風ですね。(「草枕」というよりも「坊ちゃん」に近いような気がします)
登場する人物は皆さん良い人たちで、信州の雄大な大自然の鮮やかな風景と相まって、思わずストーリーの中に溶け込んでしまいました。ストーリー自体は素直でシンプル。そして暖かい。
医療関係を主題とした作品は色々と読んできました。作品によっては手術や診療の過程などに「生々しさ」を感じてしまうこともありますが、この作品に限っては「思わず目を背けたくなる」様なことはありませんでした。専門的な表現や名称が出てくるのは当然でしょう。でも、生々しく感じることはなかった。柔らかく暖かい。そのあたりの作風が夏川さんらしいのだと思います。
そして、延命治療・終末期医療について考えさせられる内容でした。先端技術を用いて自力で呼吸できず、意識が無くなっても心臓だけを動かし続けるのか?果たして機械に繋がれて心臓だけが動いている状態が「生きている」ということになるのか?
現代の医療現場では様々な最終判断が医師に委ねられています。その最終判断を下すにあたって医師自身も様々な選択肢を前に葛藤している。
葛藤しながらその判断を下している主人公と患者、それを取り巻く人々の描写に思わず涙腺が緩んでしまいました。
「神様のカルテ」は既にシリーズ化しているので、第二作にも早々に手を出してみます。新たな本との良い出会いができました。-
Bmakiさん
Bmakiさん、コメントいただきありがとうございました。コメントいただいた通りですね。登場人物たちの話し方も人間性も魅力的...Bmakiさん
Bmakiさん、コメントいただきありがとうございました。コメントいただいた通りですね。登場人物たちの話し方も人間性も魅力的です。シンプルに真剣で真面目、そしてユーモアがある。その辺りが夏川さんの漱石口調でうまい具合に表現されていますね。
信州の大自然も大好きなんです。学生時代、ゼミの仲間たち数名で10日間ほど泊まりがけで合宿生活の様なことを2年連続でやり、澄んだ空気の中で星を満喫しました。低倍率の双眼鏡でアンドロメダも見ましたよ。
しかし、医療小説ではあるものの、暖かい読後印象を持ってしまうのは夏川さんの作風なのでしょう。
シリーズの制覇を目指します。
ありがとうございました。2024/01/10 -
信州はどちらに宿泊されたんですか?
アンドロメダ、見たことはありませんが、素敵ですね!星も綺麗に見えるんでしょうね(^^)
私の夫が...信州はどちらに宿泊されたんですか?
アンドロメダ、見たことはありませんが、素敵ですね!星も綺麗に見えるんでしょうね(^^)
私の夫が長野が大好きで、よく行くんです。
上高地も、安曇野も、松本も、飯田も、長野市も、どこに行っても落ち着くんですよね(*^ω^*)
そんなこともあって、神様のカルテは大好きな作品です。
機会があれば再読したいです(^^)2024/01/11 -
bmakiさん(前のコメントでは「B」になっていました。失礼しました。)
信州は、「木曽町」というところに宿泊しました。ゼミ仲間の小学校時...bmakiさん(前のコメントでは「B」になっていました。失礼しました。)
信州は、「木曽町」というところに宿泊しました。ゼミ仲間の小学校時代の担任の先生が、その先生仲間5人で購入・維持していた山の中の質素な別荘。中央道を中津川で降り、松本の方を目指して国道を北上し、木曽山脈の山の中にある所。車3台・7人で行きました。
別荘の周りは自然があるのみ。近くでは天然の山葵も取れましたね。山の中を散策するのも新鮮でしたが、夜は星の雨が降るようで大きく感動。天の川を認識したのもこの時だったと思います。
日帰りで上高地、妻籠、乗鞍岳、白骨温泉といったところに車で繰り出して行ってました。とにかく空気が凛と澄んでいてクリアでしたね。
bmakiさんのコメントのおかげで、いろいろなことを思い出すことができました。ありがというございます。2024/01/12
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信州にある激務な病院で働く医師の物語。
主人公である栗原一止の話し方が、漱石の影響で古風な感じがたまらなくいい。
また、その周りを固める、優しい細君と表現されるハルさん、横柄な態度だが実はおもいやりのある次郎、正反対で異なる二人の上司、同居人ではないかと思われる男爵と学士殿、あげればキリがないが、どのキャラクターもいい。
人の生死が描かれているのに、読後感はとても心地よいものでした。とても温かい物語です。 -
今まで医療ものは正直避けてきたんです。
私自身の問題というか、物語の中でまで関わりたくないというか……
でも、主人公の医師である一止の患者さんや病院とのやり取りを読んで、何だかあったかい気持ちになれました。
現役のお医者さんが書かれた話なので、きっとご本人も一止のような葛藤がおありなんだろうと思うと、人の生死に関わる方たちの凄さを改めて感じることができました。
外で読むと泣くのを堪えるのに必死で大変でしたね……
一止のようなお医者さんに出会えたら本当に幸せだと思います。 -
とても有名な作品ではあったが、装丁が幼稚?な印象から、敬遠していた作品。
評価は高いが、世のベストセラーは、軽いものが多いからなぁ・・・と懐疑的に見ていた。
隣の家に住む親せきの叔母がこの作品が良いと紹介してくれており、たまたまブックオフで見つけた為購入。
栗原一止(いちと)は信州にある「24時間、365日対応」の病院で働く、29歳の内科医である。
ここでは常に医師が不足している。
専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を3日取れないことも日常茶飯事だ。
妻・ハルに献身的に支えられ、経験豊富な看護師と、変わり者だが優秀な外科医の友人と助け合いながら、日々の診療をなんとかこなしている。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。悩む一止の背中を押してくれたのは、死を目前に控えた高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。
思っていたお涙頂戴ものとは全然違っていた。
こんなに素敵な文章だったのか!!!
何でこれまで読まなかったのかと後悔してしまうほど。
文章もイイ!キャラクターもイイ!ストーリーもイイ!
あぁ、こんなにも素敵な物語だったのか!
気が付けば、半日ほどで一気読み!
取りつかれるように読了。
間違いない。良書!!大満足(*´▽`*) -
最先端医療を行う大学病院ではなく、24時間365日体制で市井の生き死に付き合う田舎の総合病院で、只管患者に寄り添う医者、栗原一止(いちと)の物語。
第二話『門出の桜』がよい。
男爵が、故郷出雲へ帰る学士殿へ叫ぶ台詞、
『こいつは敗北ではない、門出だぞ、学士殿!』
『この一歩は前への一歩だ。前進なんだ。そのための花道だ。絶対忘れるな!』
安曇さんの夫が泥棒少年を見逃すだけでなく、米一俵を持たせた後の話が泣ける。情けは人の為ならず、という言葉を思い出す。
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スピノザの診察室を読み凄くよかったので早速こちらの本も気になって読みました。
ドラマ化されてるのは知っていたのでかなり期待していました。
スピノザの主人公とは同じ医療系とはいえ全然違ってどちらかというとかっこいいより変態?笑
喋り方も夏目漱石の草枕に影響されまくっていて古風。
登場するキャラクターも個性豊かでみんないい人。
ほのぼのしました。
でもスピノザの方が僕は好きだったかな。 -
穏やかになる一冊。
舞台は長野の病院。
医者として患者さんに向き合う姿、成すべきことが優しく伝わってくる作品。
時には言葉よりもずっと伝わることがあること、言葉以上に伝わる想いがあることを栗原先生と患者の安曇さんとの時間から教えてもらった気がする。
そして「命の形」は決して一つではないということも…。
こんな優しさ溢れる最期だったら…きっと後悔や怖さよりも感謝の想いや満足感で満たされるはず。
涙で文字が霞むシーン、愛溢れるシーン、周りの人々との交流のシーン、読むほど心も優しく穏やかになる。 -
久々に再読。やっぱりいいなぁ…。
身近に医師として働いている人ができて、改めてリアルな現場の話を聞いた上で読んだ今回。以前とは感慨というが、感じ方の強さが違いました。
いつか、向こうに逝く日が来たら、安曇さんのように心配りのできる人になっていけたら…と思いました。
ちゃたと申します。
このシリーズとてもすきで全部読んでます。ですので思わずコメントしました。信州...
ちゃたと申します。
このシリーズとてもすきで全部読んでます。ですので思わずコメントしました。信州松本の美しい自然が魅力的で、いつかいってみたいと思うことしきりです。また、救急医療の現場がここまでハードとはかなりビビりました。もう医療関係者の方には頭が下がる思いしかないです。でも、そんな現場だから栗原と同僚や患者さんとのドラマに毎回感動しています。
はじめまして!コメントありがとうございます!
医療現場には驚きますよね!
お医者さんが、病気になりそうです!これで、頑張れるの...
はじめまして!コメントありがとうございます!
医療現場には驚きますよね!
お医者さんが、病気になりそうです!これで、頑張れるのは、患者さんを想う気持ちなんですかね。お医者さんに限らず、命を守って下さる方には、感謝です!
その激しさを癒してくれそうな信州って、ええ感じで行ってみたいです。
何かええ感じの小説なんで、既にパート3までは手元にあります(^^;;
楽しみに読んでいきたいと思います。