- Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094515633
作品紹介・あらすじ
「剣と魔法の大冒険」は遠く昔になりにけり
かつて、偉大な始祖文明が大地に栄えていた。
だが滅びた。
かつて、剣と冒険と神秘の時代があった。
だが廃れた。
現在、『新大陸』はとても平和である。
未踏の地を夢見て、若者たちが冒険の旅に出たのも、今は昔。冒険なんて、時代遅れもいいところ。今の若者の夢は、無事に就職すること。
主人公・チタンは一生安泰の宮廷務めを目指し就職活動中。しかし、なかなか採用されず苦戦続きでやさぐれていた。
そんなチタンの前に現れ、冒険という悪の道に誘う中年男・ケントマ。しかし、今時、冒険者など流行らない。食べていけない。
冒険者の才能がある、としつこく誘うケントマから逃げ回るチタンだったが……。
さえない大男、あまり美しくないエルフ、そして一匹の白い犬が織りなす「ファンタジー世界」の青春とは?
感想・レビュー・書評
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主人公は、今日も今日とて就職活動に精をだす。
日本とファンタジーが混合したような生活の中
必死に就職活動をするけれど…な状態。
その横では、サークルに入り浸るお姫様女が
僕といたり、新しいエルフが入ってきて駄目になったり。
就職活動という、もっとも心折れる現実と
あてはないけれど心躍る冒険者。
平穏に、確実に、と思う現代人にとって
冒険者は確かに難問です。
というよりも、不安定すぎるわ、体力がいるわ。
読んでいて、かなり心折れそうな内容でした。
切実すぎて、辛すぎて。
社会の縮小図を見ている感じでしたし。
女の子とか、男の方とか、主催者の言動とか。
今まさに就職活動を! という人は
読まない方がいいと思います。 -
全1巻完結。
ライトノベルには珍しい大学生を主人公にした作品。魔法が発展している世界が、なぜか現代世相と生き写し。現代でのカタカナ言葉が絶妙な漢字に変換されているのがおかしい。
就職活動の殺伐さ、登山の緊迫感が他のライトノベルと違う。大人のラノベ。 -
就職活動に直面して人生に悩む大学生が登山などを通してじこじつげんする話
題材は面白いがいろいろ盛り込みすぎで
キャラクタたちや設定が充分に整理されておらず中途半端なできばえ
ちゃんと推敲してかけば良いものが書ける力があるのにまことにもったいない -
すっごい良かったのだが、一番の山場で重要な場面がものすごく早足になってしまった。でも、田中ロミオは田中ロミオだと思う。とっても良いのだ。なんというか。妙に突き刺してくるものがある。
僕の世代は、田中ロミオがいわゆる野球でいえばイチローではなくて、知る人ぞ知る人であり隠れチャンピオンである。例えば、日米のガチンコオールスター戦で、川尻が最強のアメリカバッターをガチで零封完封投球だったが、死球一つでなぜか交代させられた。「日米野球ではカート・シリングと投げ合い、MLB選抜を0点に抑える投球を見せた。日米野球史上初完封目前の9回一死で死球を与え、監督の長嶋茂雄によって大塚晶文に交代させられた。」とある。そんな「伝説の人」が田中ロミオである。決してイチローではない。もしかしたら偽名で、イチロー並みの活躍をしているかもしれないけれど。
すっごい良いファンタジーになりそうだし、「負い目」と「魔獣シロ」の関係とか美しいし、それぞれのいけ好かない登場人物たちが、容赦なくひどい目に合うところとか、展開には一切無駄はなく、面白いのだが、やっぱり「急いで書かれている」がひどかった。巨漢のラノベ主人公も斬新だし、それでいて、朴訥で誠実なのは素晴らしい。Fランの人間のふりしたエルフも良い。見事な収め方だった。主人公が冒険者から、英雄へと昇華される流れもばっちり。冒険者になる、から、その次へと進む。これはとても心に響く。ここで終わりかなと思わせてさらに一歩。あとはしつこいまでの、面接落ちる描写。読者はやや退屈するかもしれないが、こういうストレートではなく、ジャブみたいなギャグ的なものをしつこく繰り返すことで、後半燃えるようにしてくるのは、ひとつの技術である。クロスチャンネルの自転車に乗った女がなんども主人公をぶんなぐるギャグの繰り返しに似ている。
途中、一か所だけ「円」といってしまうお金の描写もあったし(円でいいのか?)、校正もばたばただったろう。だが、小学館のロミオの編集者は、ロミオが好きなのはよくわかる。ロミオ氏は、クロスチャンネルという源氏物語以来の伝説を作った人である。そしてエロゲーを終わらせた人でもある。そんな人が、どんどん、世界的に活躍してほしいのである。偽名で、活躍してそうだけれど。久々に読んで、懐かしかった。ああ、あのロミオだ、と。 -
就職活動なんてもう二度としたくない、と存分に思える本でした。
ちょいちょい面白いところあるんだけど、↑が全てを覆い隠すよね。 -
主人公はお話のほとんどを就活に費やします。就職活動。
…果たしてそんなラノベが面白いのだろうか?と普通なら考えるでしょう。
はい、面白くないです(真顔 -
想像したのより大分リアルに就活だった。ファンタジーなのに。ちゃんとファンタジー世界なのに…!
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異世界においてのリアル現実の再構築は、人退でも何度もやられてた手法なので安心して読めるのだが、だったらコメディとして人退の一話としてやればよかったのにと。
逆に、就活を絡めたシリアスをやるなら、ファンタジーではなく現実に則した世界観でよかったのにと。
貴殿の今後の活躍を、心より祈念申し上げる。 -
異世界の大学で、異世界大学生が異世界就活に悩むはなし。現代の色んなものが異世界言葉に置き換えられていて笑った。そうか、異世界のお祈りメールはこんな感じなのか。
公務員を騎士、会社員を戦士、フリーランスを冒険者に例える話がじーんときた。会社員経験があって現在フリーランスの田中ロミオさんだからこそ書ける感じ。冒険者を決して美化して描いていない。
無限に思えた自分の道が就活によってどんどん選択肢が削られて、ようやく自分の道を発見する、って話なんだと思った。そしてその道は、必ずしも自分の好みに一致するとは限らない。きつい。
こないだの俺ガイル短篇集にもあったけど、就活ネタの小説を読むと当時を思い出して沈む。
なんとなく「魔女の宅急便」を思い出したなぁ。 -
冒險冒險冒險小説!
田中ロミオらしい寓話的な捻り、がこれはやはり真直ぐな青春冒險譚だ -
さすが田中ロミオ、という感じの、ファンタジー世界の就活物語。
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あっつらいつらいつらい就活は嫌もう嫌だあああああ
という半端ねえ就活の苦しさを呼び起こす作品である。ファンタジーとは何なのか。
この世に就活という煉獄さえなければイディアみたいな意識高ーい系人種のことだって少しは嫌いにならずに済んだかもしれない。いやそれはないか。負い目のない奴なんて……。
ちなみにヒロインはオタサーの姫。実に見事にオタサーの姫だけど読んでく内に好きになっちゃうから困る。
あと犬がいい。犬が。
あとがきにもある「直球の色物」という表現が正にその通りというしかない、痛いところを打ち抜いていくとんだ色物ファンタジーであった。