- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784096772133
作品紹介・あらすじ
山之口貘は、沖縄生まれの自由人。底抜けに貧乏だが、底抜けに明るく、誰にも書けないふしぎな魅力の詩を書いた。人間存在の痛点を刺激する数々の詩を現代仮名遣い、鑑賞解説付きで収録。
感想・レビュー・書評
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山之口貘さんの詩集ですね。
永遠の詩シリーズの三冊目です。
貘さんの詩は、初めて読みました。そして驚きました。
日本人の詩は、どちらかと言うと内省的で何かしら暗い影があるものなのに、貘さんの詩は明るさとユーモアに溢れていて1903年生まれの人とは思えない斬新さを持っています。
ほのぼのとしているようにみえて、本質をついた鋭さがあり、スッキリとしたわかりやすい表現が魅力ですね。
解説の井川博年さんは語ります。
「貘さんの詩には、いまの日本の若者を惹き付ける魅力がある。貘さんの生き方に共感を覚える人も多いだろう。貘さんはいつも娘さんに語っていたという。『ほんとうの人間はそんなに多くないんだよ。僕は人間でありたい』。
貘さんが命がけで書いた、人間味たっぷりユーモアたっぷりの詩は、時代を超えて輝き続けている。」
ミミコの独立
とうちゃんの下駄なんか
はくんじゃないぞ
ぼくはその場を見て言ったが
とうちゃんのなんか
はかない
とうちゃんのかんこをかりてって
ミミコのかんこ
はくんだ と言うのだ
こんな理窟をこねてみせながら
ミミコは小さなそのあんよで
まな板みたいな下駄をひきずって行った
土間では片隅の
かますの上に
赤い鼻緒の
赤いかんこが
かぼちゃと並んで待っていた
解説の山本兼一さんは
「日々のつつましい暮らしを詠いながらも、読む者に、大らかな悠久の時間を感じさせてくれるのが貘さんの詩の真骨頂なのである。」と綴られています。
仲間から家族から愛された稀有な詩人にめぐり会えて、とても豊かな心持ちをしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20180701 詩集を読み始めたばかりで内容の評価はできないが一編一編がわかりやすい言葉で述べれているので読むのは容易い。読後に意味を考えたとき立ち止まってしまう。もう少し色々ね詩集を読んで価値を再確認したい。
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ユーモア、ノンシャラン、と形容されがちなこの詩人の内実には、強い反抗精神と深い政治意識があるのだった。
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「一日もはやく私は結婚したいのです/結婚さえすれば/私は人一倍生きていたくなるでしょう/かように私は面白い男であると私もおもうのです/面白い男と面白く暮したくなって/私をおっとにしたくなって/せんちめんたるになっている女はそこらにいませんか/さっさと来て呉れませんか女よ/見えもしない風を見ているかのように/どの女があなたであるかは知らないが/あなたを/私は待ち侘びているのです」(求婚の広告) -
生活の柄
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イライラして心がトゲトゲしい時に読みたい作品。
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【詩をたのしもう(日本編)】
日本の近・現代詩史に燦然と輝く詩人たちの作品を選り抜きでご紹介します。
新学期、新生活にお気に入りの詩人をみつけてみませんか?
<閲覧係より>
山之口獏(1903-1963)。
職を転々とし貧乏ながら自由を愛した獏さんの詩は、ユーモラスで愛嬌たっぷりです。
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所在番号:911.568||エイ||3
資料番号:10205739
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最初はすわりが悪く、読んでいてもガタガタしていましたが、だんだんと調子がなれてきて、ひとつひとつがぴったりと自分の中に収まっていく感じがしました。「無学と博学」なんていいですね、面白かったです。
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獏さんの詩には、ユーモアや哀愁や皮肉が漂うが、底抜けに明るく自分を笑い飛ばしながら、誇り高く、したたかである。力が抜けているように見えて、推敲の鬼であったというから、その眼は鋭く、こわかったのかもしれない。
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血塗れの地球。