オリオン座はすでに消えている? (小学館101新書 152)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098251520

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  • 14/1/9読了

  • 冬の夜空を彩る人気星座「オリオン座」。その中でもひときわ目立つ1等星「ベテルギウス」は太陽の1000倍の直径を持つ巨大な恒星だが、星としての寿命を迎えた「赤色超巨星」という状態になっており、すでに「超新星爆発」を起こしている可能性もある。地球から約640光年という、宇宙の中では近い位置にあり、640年前に爆発していれば、今この瞬間にも爆発の様子が見られる可能性があるのだ。ベテルギウスが爆発すると、満月の100倍のまぶしさで輝き、昼間でも肉眼ではっきり確認できる。この状態が3か月ほど続き、その後は次第に暗くなっていき、4年後には肉眼では見えなくなってしまう。オリオン座は右肩を失ってしまうのである。これほど近い距離での超新星爆発は、これまでわからなかった宇宙の仕組みの解明にもつながると、世界中の天文学者がかたずをのんで見守っている。超新星爆発とは何か、爆発の観測で何がわかるのか、人間に害はないのか、爆発した後はどうなるのか…。最新の研究結果から、超新星爆発にまつわる様々な宇宙の謎をわかりやすく解き明かす。

  • 現在私たちが見ている星たちは、もう何万年も前の姿であり、
    今この瞬間はもうないのかもしれない。

    子供の頃にそんな話を知り、衝撃を受けた人は多いだろう。

    本書ではその話をもう少し具体的に解説してくれる。
    対象になっているのはオリオン座の一等星ベテルギウス。

    東京都内でもはっきり見えるため、なじみ深いオリオン座。
    その右肩にあたるこの星は、実は観測データよれば
    既に寿命が尽きかけていて、いつ「超新星爆発」を起こして消滅しても
    おかしくないそうです。

    といっても地球とベテルギウスの距離は640光年ですから、
    実は既に爆発しているかもしれません。
    例えば600年前に爆発していても、
    私たちがそれを観測できるのは40年後ということです。

    「超新星爆発」が起きるとどうなるのか。
    ベテルギウスは膨大なエネルギーを放出しながら崩壊していき、
    満月の100倍の輝度で輝くため、昼間でも見えるようになります。
    そしてガンマ線バーストが起これば大量のガンマ線が放出され、
    これを浴びれば地球上の生物はほとんど絶滅する、と考えられます。
    幸いにしてこのガンマ線は自転軸から2度の範囲に放出されるため、
    地球は直撃を免れそうなのですが…。

    ベテルギウスというごくごく地球に近い(!)星の崩壊を切り口に、
    宇宙の成り立ちから、その95%を占めるという
    未解明の「ダークマター」の存在まで、
    宇宙への科学的興味をかき立ててくれます。

    今晩、夜空を見上げてみたときに
    ベテルギウスが赤から青白く変わっていたら、
    あなたが超新星爆発の第一発見者になれるかもしれません。

著者プロフィール

1961年生まれ。自然科学研究機構国立天文台准教授、天文情報センター普及室長。専門は天文教育。東京学芸大学大学院教育学研究科理科教育専攻修了。総合研究大学院大学准教授を兼務する他テレビやラジオ等でも活躍。

「2015年 『星の王子さまダイアリー2016』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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