“町内会"は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~ (小学館新書)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 210
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252077

作品紹介・あらすじ

吊るし上げられて…町内会長♪

凶悪事件のニュースをきくと、まず
「現場がご近所じゃないかが気になる」私達にとって、
自分の住む地域のコミュニティーは大切…
…でも自身の手間と面倒は極力避けたい…というのが実際ですよね。
そんな建前と本音がシビアな現実になる場が、町内会・自治会です。
団塊ジュニア世代の著者は、町内会長(自治会長)をついひきうけてしまい、その仕組みと実態に驚きつつ、てんてこまいに。
ちょっとした成果に充実感をえたりもしながら、最後は、
”吊るし上げ”にあった末、
一風変わった「ミニマムで楽しくラクな町内会」の創生へと到りました。
体験ルポを通して、歴史や、法的な位置づけ、統計データも踏まえ、
町内会・自治会の今後のあり方を提言します。


【編集担当からのおすすめ情報】
この日本に住む、約1億人が町内会(自治会)の構成員。
あなたもメンバーなのです。実は。
「町内会費○○○円」、「今月の当番」、
「来年あたり○丁目(○棟)の役員に」、
などなど、メンドーな“地域のご近所つきあい”が降ってきていませんか?
…自分の住む地域のコミュニティーは大切…
…でも自身の手間と面倒は極力避けたい…
そんな建前と本音に悩む、すべての大人にオススメの一冊です!

感想・レビュー・書評

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  • 町内会と管理組合。思ったよりパラレル。やりたいことの対案を出していくパワーが素敵。

  • 存在していることは知っているが、
    めんどくさそうというイメージしかない町内会。

    必要な組織なんだろうけれど、
    付随する業務というか、
    会議の出席とかやることが多すぎる。

    著者が主張するように、
    やれることをやっていくっていう方向性は良いのかなと思う。

    本書の感想からは外れるが、町内会とかPTAに参加していた親は
    大変だったんだろうなぁと、今更ながら思う。
    当時はまだ幼かったので、そんなこと思いもしなかったが。

  • 著者は「超訳マルクス」(かもがわ出版)や漫画評論のブロガーとして有名な紙屋高雪さん。本屋で見つけて衝動買いした本です。別に町内会問題に関心があったわけでは無く、単に紙屋さんのちょっとしたファンであるだけ。しかし案外こういう「直感」がいい本に出会う確率は高い。最高に面白かった。

    紙屋さんは団地の町内会長(自治会長)をつい引き受けてしまう。なってみてその仕組みと実態に驚く。そこは身近なのにワンダーランド(未知の世界)でもあった。そしてちょっとした「成果」のあとに、「吊し上げ」にあって、ちょっとした「ミニマムで楽しく楽な町内会」の創設に至るのである。

    「行政からは「町内会」は行政の末端組織と位置づけられているから、嫌いだ」「隣り組組織はなくなったけど、現在は補助金を渡す仕組みを作って新しい隣り組組織になろうとしている」と、私の周りには町内会に対して「毛嫌い」する人がいます。反対に、張り切って地域の自治会組織に関わり、結果的に地域を振り回したり、ボランティアとは言えないほどに超多忙な町内会を作ってしまっている人もいます。

    紙屋さんは、団地の唯一のコミニュケーションの場である夏まつりなどの催しや、地域を代表して意見をいう場としての機能を尊重しながらも、行政の下請け団体になったり、いろんな圧力を跳ね除けて個人の思想・信条の自由を守る道をさぐります。緩やかな「方法」を模索します。

    ちなみに、町内会は義務ではありません。加入・脱退の自由は(原理的には)あります。だって最高裁の判例があるんですよ。

    ちなみに、オビの煽り文書はこうです。
    「町内会会費○○○円」‥‥「今月の当番」‥‥「来年あたりに○丁目(○棟)の役員に」‥‥などなど‥‥メンドーな「地域のご近所付き合い」が降ってきてはいませんか?
    あなたもメンバーです
    吊し上げられるか、
    理屈ヌキで従うか、
    そんな仕組みがここにある!

    ちなみにひとつ気がついたこと。

    町内会の運営や、役員の側からの言い分、入っているのかも自覚していない住民からの言い分、細かい仕事の内容、役を回すコツ等々を読んでいくと、これはそのまま労組運営で困っている役員や労組員にも当てはまるんじゃないか。いろんなヒントがあります。労組員や役員にオススメ!

    出来たら、紙屋さんに労組編も書いてもらいたい。同じ小学館新書というメジャーな新書として。でも、町内会は、なんと89%もの加入率があるらしい(「町内会・自治会など近隣住民組織に関する全国調査」)。一方、労組の加入率は二割を切って17%台だ。おそらく小学館は出版してくれないだろな(^_^;)。
    2015年4月15日読了

  • 身軽な「町内会」は今後もっと模索されるべきだと思う。負担の大きなものは継続できない。

  • ひょんなことから団地の町会長となった経験から説きおこした町内会論。町会が任意だとする最高裁判決にもふれていますが、それでは成り立たない田舎とは違いすぎるというのが率直な感想。

  • 2023.05.14
    おっしゃるとおり、町内会は義務ではないです。そう説明しているのだから、行政にかみつくのはやめてもらえないでしょうか。

  • 義務ではありませんが、行政の下部組織かのような構図も垣間見えます(´・ω・`)
    校区の自治団体協議会を見ると、行政が抱えている問題毎の組織が求められている
    防犯
    交通安全
    衛星
    環境
    男女共同参画
    青少年健全育成
    社会福祉
    ・・・
    町内会も役割を果たす意識になるし、行政も下請け(?)に卸すかの様に役割を背負わせる
    リサイクルも環境委員会が行い行政が補助金を出すなど多くの活動に補助金がかかわる時代なのです

  • p.110
     ただ、輪番制のように、「半ば無理矢理、係になるしくみ」というのは「初めは嫌々やったけど、やってみたらけっこう楽しかった」ということが町内会の仕事の場合は少なくないんですけどね。
    → 町内のそうじとか、近隣業者の説明会への代表出席など、やってみると学びがあり楽しいものです。町内会の役員は積極的に引き受けましょう♪

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685980

  • “町内会”は義務ですか?
    ~コミュニティーと自由の実践~

    著者 紙屋高雪
    小学館新書
    2014年10月6日発行


    これまた、別の本を返却に行った図書館のカウンター近くにたまたま転がっていたので借りた本。意外におもしろかった。

    町内会、町会、自治会・・名前は違うが同じもの。普通は引退後のシニアが役員を務めている印象があるが、著者はURの賃貸住まいの時、30代で名前だけ貸してと「ハメられ」て、町内会長になってしまった。月に1度程度の会合に出ればいいということだったが、町内会の集まりである校区の会議に行くと、「防犯委員会」「防災委員会」「交通安全委員会」「衛生委員会」「環境委員会」「男女共同参画委員会」「青少年健全育成委員会」「体育協会」「社会福祉協議会」「老人クラブ」などの団体があり、その会議にも出なければいけないことが分かる。

    著者は、残業ばりばりで働く妻に代わり、9時-5時の仕事とアフターファイブの子育てを引き受けていた。暇そうに思われたのだろうか、会長にさせられたが、蓋を開ければとてもそんなことはできない。

    会合は出られなければ代理を出し、代理も出せなければ、書面決議書を出すという規定に基づき、出られないとはっきり言って、ちゃんと書面決議書を出してきた。しかし、ある時、ついに校区の長とごついガタイをした体育協会の責任者に切れられ、多人数に囲まれてつるし上げをくらった。なぜ人を出さない、大人がサボることで悲しむのはおまえたちの町の子供たちだぞ、などなど、理不尽な追及を受ける。

    著者は、町内会は必要だと主張している。
    ただし、2005年4月に最高裁が、町内会は強制加入ではないとう判決を出していることを紹介し、その部分を強調している。

    さて、つるし上げにあい、著者は町内会の会長をやめる決意をした。とはいえ、次に会長のなり手がない。だから、町内会を休会にした。その上で、新しい自主的な町内会を作って活動を始めた。ある意味、画期的な会だった。
    原則は、会費なし、義務なし、手当なしの完全ボランティア。寄付と事業活動(イベントの儲け)だけでまかなうのを基本に。例えば、夏祭りに売る物をシビアに見て、かならず儲けがでるようにする。そうすれば事業収入が得られる。目算がくるって赤字でも大文夫な範囲で、やりたい人がお金を出し合うしかない。
    寄付もわかりやすく。たとえば「2万円のウスを買うから、1口500円の募金を40口集めます」と募集。何に使われたかはっきり。たくさん集まったら、他のものに回してもいい。中途半端にしか集まらなかったら、集まるまで買えない。それだけのこと。
    こんな会がうまく回り出したという紹介をし、今後、町内会はどうあるべきかという主張を述べてしめくくっている。

    これからの町内会のあり方に、とても参考になる本だった。

    著者のプロフィールを見ると、1970年愛知県生まれ。京都大学法学部卒。著書に『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)、『超訳マルクス』(かもがわ出版)など、とある。
    本文中には、自分のことをコミュニストだと言っている。ただし、もともと「コミュニズム」という言葉は「共同」を意味するラテン語「コムニスcommunis」からきていて、「コミュニティー」などと同じ語源を持っている、と説明し、コミュニティ活動に価値を見出すのはコミュニストとしては不思議ではない、とも主張している。


    (メモ)

    アリストテレスは一番いい規模の共同体とは、「目で見渡すことができる程度」だと言った。

    ビジネスをやっている町内会。
    夏祭に著者の団地自治会では、焼鳥・綿某子・ビールなどを売ったので、経費を引いても黒字に。一種の事業収入。
    兵庫県丹波市の山王自治会は、太陽光発電事業を始め、その売電収入で潤っています。高齢化と過疎がすすみすぎて、町内会として何か事業をやることも困難で、町内会費がどんどんたまっていった。その貯蓄170万円を元手にして太陽光発電に着手。売電収入によって、月5000円の町内会費が半額になり、軌道にのれば無料化も展望。
    鹿児島県鹿屋市の柳町町内会は遊休農地を使って、からいもを作り、焼酎の域内販売にとりくんでいる。ここで得た儲けは、足の不自由な高齢者向けの押し車を借り上げる資金として運用。

    著者の住む地域の、地元の外国語学校が、中国人の留学生の寮としてUR団地の空き部屋を借り上げるという計画が。留学生側が自転車で通学するために、大量の自転車で駐輪場がパンクするのではないかなどの心配。そこで、学校側はシールを渡して自転車の整理をするとともに、著者たちも放置自転車を撤去して駐輪スペースをつくり、UR側には「それでも対処できない場合は駐輪場を増設してほしい」と求めた。その結果、日本人もびっくりするくらいマナーのよい駐輪が実現。

    役員の手当。「事務局経費」。会長が年1万円、副会長・会計が5000円、班長(棟委員)が2000円。「年」。ちなみに福岡市の調査では、会長手当で年10万円以上を払う町内会が3分の1以上にのぼる。

    30年前に関西から島根県の山村(大田市)に越してきた夫婦の話。集落の町内会による葬式準備への参加が苦痛であった。
    「私の班は9軒。班内で亡くなられた方があると、さっそく全班員が集合し、翌日から2日間、夫婦が仕事を休んで、通夜・葬式など一連の運営に従事しなければならない。男性は野辺送りの準備や受付、接待など細かい役回りがあり、女性は通夜の『通夜ぶるまい』と葬式の食事『お斎(とき)の一切をつくる。農家であろうと、勤め人であろうとよほどの事情でもない限り、基本的に個人の都合は言えない。これが当時の私にとって何よりの苦痛だった。夜中に救急車のサイレンが聞こえると、つい葬式のことを考え、『止まるな― 近所で止まるな!』と車が行き過ぎるのを祈ったりしたものだ」

    自由民主党が2012年にうちだした社会保障改革についての考え方には、『自助』、『自立』を第一とし、『共助』さらには『公助』の順に政策を組み合わせ、負担の増大を極力抑制する中で、真に必要とされる社会保障の提供を目指す」と書いている。
    つまり、まず自分のことは自分でやる、それで足りない部分はみんなの助け合いでやる、さらにそれで足りない部分になってはじめて公の保障に頼る、とうような発想。
    「自助・共助・公助」という言葉が出てきたときに、うさんくさいなあと思ってしまうのは、このように、行政が自分の責任をこつそり投げ捨てたり、予算を切り詰めたりするときのごまかしに使われてきたのではと思うから。

  • 町内会役員が回ってきていた頃に出て買った一冊。
    町内会の体質、その頃から変わってない印象。
    本音と建前、なかなか世の中は動かない。

  • レビュー省略

  • 目次:
    序章 町内会って入らなくてもいいの?
    1 イヤ~な顔をされる加入勧誘
    2 「何をしているかわからん」「抜けられない」 ほか
    第1章 町内会は必要です!
    1 町内会長が死んだ!―なんで私が会長に
    2 町内会ってなに? ほか
    第2章 町内会は要らない?
    1 加入のお願いはつらいよ
    2 町内会費はこんなに払う必要があるのかよ ほか
    第3章 ゆるゆるな新町内会をつくってみた
    1 校区でつるしあげ―ココロが折れた日
    2 自治会長をやめようと決心 ほか
    第4章 町内会は今後どうしたらいい?
    1 基本はボランティア
    2 校区(連合体)から考えるな ほか
    終章 親睦だけでもなんとかなる


    ピックアップと一言:
    ・若い・アパート暮らしの人を想定した場合、加入チラシはそこにもっと焦点をあてるべきではないかと思います。たとえば高齢者や子どもの安全の見守りなんですが、単身の人間には「関係ない」と受け取られかねませんよね。災害のときに手をとりあえるという「メリット」はどうでしょうか。高齢者や子どもの場合は災害で手助けが必要だとすぐわかるんですが、若い人は自分の力でなんとかできると思ってしまうかもしれません。たとえば、若い独身女性にむけては「防犯灯」の役割、非正規の若い男性には「失業や貧困に陥った際に行政窓口につなげる相談」とか。
    →自治会・町内会として一番取り組む必要がありそうな、福祉と防犯が、特定の世代にしかメリットを感じられないという考え方はとても示唆に富みます。チラシはターゲット層毎に複数種類作ることが必要ということですね。

    ・善意で「町内会の仕事を少し手伝ってもいいよ」という人はいます。そして実際に手伝ってくれます。しかし、自分がずるずるとハマりこんでしまう、負担が増えていくというのはとても恐ろしいことなのです。すぐできることは、班長や役員になったときの拘束時間の目安を示すことです。そして、仕事や生活優先であって、事情を伝えて、無理なときはちゃんと断っていいんだというルールを確立することです。
    →入会チラシもそうですが、役員をお願いする時にも、年間行事予定などの負担の詳細や細かなルールを書面で記すことが必要ですね。

    ・自治やコミュニティの基本単位は、「一目で見渡すことができる程度」、つまり単位町内会のレベルです。校区が基本単位ではありません。私のいた団地自治会のある小学校区は2万人も住んでおり、ちょっとした市です。これではコミュニケーションがスムーズにいくような自治はできません。行政は中間団体である校区、しかもその幹部とさえうまくやれれば、面倒な個別町内会とのやりとりや責任がなくなるので、校区を掌握したがりますし、校区を単位にものを考えがちです。しかし、これはあくまで行政の都合というべきでしょう。そう考えれば、校区の役割はとても限られたものになるのではないでしょうか。
    →現在、三ツ城自治協議会(約1万世帯)ではいわゆる校区の部会での活動が主であり、各区(自治会・町内会)の活動は最低限(回覧くらい)のものになっています。その方がよい活動もありますが、やはりもう少し小さな範囲で行う方がよい活動もあるので、今後、校区の部会と、各区の活動の住みわけが必要になってきますね。

    ・ボランティアだということを踏まえると、町内会の仕事をやる人もそういう構えになります。参加してない人たちを見て、「俺だけこんなに一生懸命やっているのに、あいつらはなんだ!」とか、そういう被害妄想がなくなります。好きでやっているんだから、好きでやっていない人たちのことを恨みがましく言うことはなくなるはずです。「地域の為の義務だ」と肩肘をはるから、町内会の仕事に参加しない人を「フリーライダー(ただ乗り)」のように見てしまうのです。
    →私はボランティアだと思っているので、いろいろ大変ですが楽しんでやっています。問題は、嫌々役員をやっている人がいると、会議や活動がギスギスするということですね。なんとか楽しくしたいと、新しい取り組みを考えてみたり、飲み会を企画して見たりしていますが、なかなか難しいです。

    ・校区のような町内会の連合体組織の場合、行政からの依頼はもちろんのことですが、校区で話し合って決定した行事や仕事についても、個別町内会にはそれを拒否したり保留したりする自由がきちんと保障されなければなりません。たとえば、市が行政広報紙を配布する仕事を校区に委託します。校区はそれを町内会や町内会長におろすわけですが、「私のところは力がなくて配布できません」という自由を残しておくということです。その場合は市が民間業者を使ったりする保障をもうけておく必要があります。
    →これは東広島市でやっています。広報紙の配布を住民自治協議会に依頼し、無理ならその地区は業者に委託する。自治協によっては、配布活動が繋がりづくりになるからという理由で引き受けるところもあったり、世帯数が多すぎて対応できないと断る自治協もあったりします。

    ・本当に課題解決の仕事をしようと思えば、町内にこだわらず、広く人材を募らなければいけないことはまったくそのとおりです。これに対して、ある課題を解決するために、その地域を代表して行政や企業などに対してモノを言うことは、まずは町内会にしかできない仕事です。たとえば、近くに道路計画ができる、そのとき、地域住民の声を代表して発信するのが町内会の非常に重要な役割となります。本領とさえいえると私は思います。なぜなら、これはNPOなどにはできないことだからです。
    →任意加入とはいえ、やはり地域の代表組織なんですよね。この「ねじれ」をなるべくなくすために、自治協(自治会・町内会)は全住民への情報提供や参加の権利を保障したうえで、参加したい人が参加して運営していく必要がありますね。


    ・小諸市も北九州市も、(条例で自治会への加入の)義務や責務をうたっているとはいえ、参加しない権利とセットであったり、あくまで「自主的な参加」であるものとされています。これは、強制するところまではいかないけれども、“本来はみんな入るべきなんだよ”ということを宣言しつつ、任意であることをかろうじて確保したものだといえます。全員加入の建前と任意加入の実態の「ねじれ」への一つの対応だとはいえますが、相当気をつけないと、現場では乱暴な加入攻勢がされるんじゃないかと心配にもなります。
    →確かに、逐条解説を読まなければ分からないと言うのは、条例としては不十分だと思いますが、なるべく加入して欲しい、という思いとのせめぎあいですね。

    ・では、町内会は不要なのでしょうか。私はそうは思いません。こうした社会サービスの分野では主体は行政や民間企業、つまり巨大で効率的な組織体になってきており、町内会でできることはプラスアルファでしかないとしても、それでもなお町内会にしかできないことがあります。それは、「自分はこのまちの一員だ」というコミュニティ意識、共同体意識をつくりだすことそのものです。草むしりなんて、共益費のなかから公社や管理会社が委託業者に頼んでパッとやってもらった方がはるかに早いでしょう。しかし、みんなで集まってだらだらとおしゃべりしながら草むしりをした方が、情報交換になって、親睦がふかまり、知らず知らずのうちに、コミュニティー意識を持つことができます。制度化されキツい義務になったり、委託された責任ある業務になったりしたとたんに、私たちはその草むしりを「嫌だなあ」と感じるのではないでしょうか。
    →情報提供をしっかりやったとしても、ただ単に「草むしりしたい人募集」では人は集まりません。家族同士でバーベキューをしたり、草むしりの後に神楽を見たり、楽しいことと組み合わせることで、まずは参加してもらう工夫が必要ですね。


    感想等:
    ・旧態依然とした町内会というのは今でも残っていますが、まさにその中で奮闘された著者の経験談です。最終的にはできる人が出来ることをやる最低限の町内会を目指し、それでも自治会・町内会は必要だとまとめています。こんなにひどい扱いを受けてなお、前向きに捉えることができる筆者はとてもすごいと思います。そしてひどい扱いを受けたからこそ、本当に必要なものが見えてきており、自治会・町内会不要論と必要論の両面からみた説得力のある本です。
    ・文体もやさしく、具体的な経験談も分かりやすく書かれており、とても読みやすい。
    ・私は、自治体職員ですし、自治協議会の事務局長もしているので、割と必要論に偏っているところがありますので、やり過ぎないように気をつけようと思いました。
    ・不要論の人、必要論の人、どちらの方にも有意義な内容という意味で、とても貴重な本だと思います。

  • 2018年5月12日紹介されました!

  • つながりは欲しいけどしがらみは要らない。そんな町内会作ってみたという実践の記録。
    前半はビギナー向けに町内会についての一般的な説明で、あんまり関係無いって思ってる人にも興味が沸くような内容になっている。
    後半が本題の実践記ですが、著者が傷つき、挫折し、それでも「コミュニティー」に関わっていく姿が実に心を打ちます。映画化してほしいくらい(笑)
    子育てしてはじめて「地域社会、こりゃ無視できないぞ」と気づいた次第でして、そこに来てこの新書は、積極的に参加するにしろ、やや逃げ腰のスタンスを維持するにしろ、どちらでも使えそうなヒント集として重宝しそうです。私の場合、本書を読んで、参加もいいかなと思うようになりました。いっしょに飛び込んじゃいません?20141025(amazonにふなすけ名義で出したコメント転載)

  • 著者:紙屋高雪(かみや こうせつ)(1970-)


    【版元】
    http://www.shogakukan.co.jp/books/09825207

    【目次】
    はじめに(2014年8月31日 紙屋高雪) [003-012]
    「町内会を知らない子どもたち」の皆さんへ/ブラック企業、ママ友……コミュニティーと自由の問題/町内会には入っているけど、面倒くさいなと思っているかたへ/町内会活動を熱心にされているかたへ/私のスペック
    目次 [013-016]

    序章 町内会って入らなくてもいいの? 017
    1 イヤ~な顔をされる加入勧誘 018
    2 「何をしているかわからん」「抜けられない」 019
    3 任意加入これがすべての出発点 023

    第1章 町内会は必要です! 029
    1 町内会長が死んだ!――なんで私が会長に 030
    私が町内会に入ったとき/会長が突然亡くなって/何を私にやってほしかったのか
    2 町内会ってなに? 043
    自治会とは違うの?/どんなことをしているの?/結局町内会とは何なのか/管理組合とは違うの?
    3 町内会ってどんなしくみ? 0
    班・組からなる/町内会の意思は総会で決まる/町内会が会員の意見を反映するための工夫/一人で声をあげるのとは違うインパクト
    4 他の町内会や行政とのつながり 072
    町内会同士のつきあい/「防犯委員会」「男女共同参画委員会」ってなに?/行政はどう関わってくるか
    【コラム】 イノシシの駆除 081

    第2章 町内会は要らない? 083
    1 加入のお願いはつらいよ 084
    ホントの加入率はどのくらい?/民間アパートの町内会加入問題
    2 町内会費はこんなに払う必要があるのかよ 094
    年4000円は高いか安いか
    【ちょっとした改革のポイント】 100
    3 忙しいのに町内会の係なんかやれないよ! 101
    輪番制が崩れるときが一番苦しい/実際の拘束時間はどれくらいなのか/無駄な時間が多い/会長や役員になりたくない/いったん引き受けたらやめられない
    【ちょっとした改革のポイント】 110
    4 「ラスボス」は「偏屈じじい」 
    自主的な組織である以上起こり得る必然
    【ちょっとした改革のポイント】 115
    5 「出ごと」が多すぎる校区の仕事 117
    校区運動会に出たくない/10以上の団体のそれぞれのイベントにも…/行政の下請けとしての歴史/「町内会=行政下請け」論とその主張への批判/公団自治協と比べてみる
    【ちょっとした改革のポイント】 135
    6 入らんヤツは村八分! 137
    昔ながらの同調圧/町内会ぐるみの選挙
    【ちょっとした改革のポイント】 143
    【コラム】 原型としての「戦時町内会」 144

    第3章 ゆるゆるな新町内会をつくってみた 149
    1 校区でつるしあげ――ココロが折れた日 150
    校区の要請に応えられないと伝える/突然の攻撃/つるしあげ/なぜこんな「暴挙」に出たのか?
    2 自治会長をやめようと決心 166
    自治会は休会に/「このままなくしてしまうのは惜しい」という声が
    3 新しい自治会の原則会費なし・義務なし・手当なし 171
    会費なし・加入は不要/義務なし・完全なボランティア/手当なし/総会や会計はどうするのか/校区には参加しないが団地自治会の連合会に参加したわけ/義務がないので誰でも会長をやれるようになる
    【コラム】 負(マイナス)の社会関係資本 188
    4 ミニマム町内会のすすめ――最高裁判決の示した方向 186

    第4章 町内会は今後どうしたらいい? 193
    1 基本はボランティア 194
    必要なことは税金でやる、町内会はプラスアルファ/「町内会に補助金を渡してやらせる」という形/「自助・共助・公助」のおかしさ
    2 校区(連合体)から考えるな 203
    校区は積み上げ方式で/町内会、できれば班から考えよう
    3 地域の声を代表するには? 207
    地域を代表する仕事こそ町内会の本領/なぜ町内会は地域の代表となれるのか/加入を「義務」としてうたう自治体もある/法制度にしてしまうという「解決」/過半数を組織していればとりあえずいいのでは
    4 くずれかけた町内会でお悩みのあなたに 222
    【コラム】 よその国の「町内会」 224

    終章 親睦だけでもなんとかなる 227
    防犯灯の管理は町内会がないと困るか/町内会がやれるのはプラスアルファの領域/「自分はこのまちの一員だ」という気持ちをつくる/町内会をめぐる2つのイメージ/経験を解毒する/後継者ができて本書の成否がはかられる

    あとがき [243-249]
    参考文献 [250-252]



    【抜き書き】

    ―――――――
      引用・参考文献
    (順不同。初出のみ表示し、次章以降は省略した)

    第1章
     内閣府『平成岨年度国民生活白書』、2007年
     総務省「地縁による団体の許可事務の状況等に関する調査結果」2008年
     辻中豊・ロバート・ペッカネン・山本英弘『現代日本の自治会・町内会』木鐸社、2009年
     佐藤良子『命を守る東京都立川市の自治会』廣済堂新書、2012年
     稲葉陽二『ソーシャル・キャピタル入門』中公新書、2011年/読売新聞2014年5月別日付
     日本農業新聞2014年1月8日付
     中田実・山崎丈夫・小木曽洋司『増補版地域再生と町内会・自治会』自治体研究社、2009年
     ロバート・ペッカネン『日本社会における市民社会の二重構造』木鐸社、佐々田博教訳、2008年
     山田哲弥・村田明子「分譲マンションにおけるコミュニティ組織」、清水建設研究所報告第例号所収、2014年
     京都市『地域活動ハンドブック』2013年
     京都市『自治会・町内会アンケート報告書」2012年度、2013年
     全国社会福祉協議会ホームページ

    第2章
     なかむらみつのり『びんぼうまんが家! 都内で月3万円の3DKに住んでます』芳文社、2013年
     東京市長会「地域力の向上に関する基礎調査報告書」2008年
     横浜市「自治会町内会実態調査・自治会町内会加入状況」2013年4月1日
     琉球新報2013年8月27日付
     内閣府「町内会・自治会等の地域のつながりに関する調査」2007年
     明るい選挙推進協会「第妬回衆議院議員総選挙全国意識調査」2013年
     八尾市「町会活動に関するアンケート調査報告書」2012年
     廿日市市「町内会・自治会に関するアンケート調査結果報告書」2013年
     長谷川裕編「格差社会における家族の生活・子育て・教育と新たな困難低所得者集住地域の実態調査から』労働旬報社、2014年
     福岡市「平成助年度自治協議会・自治会等アンケート報告書」2011年
     福岡市『自治会活動ハンドブック第2次改訂版』(福岡市自治協議会等7区会長会監修)、2010年
     横浜市防犯灯のあり方検討会「防犯灯のあり方について検討会からの提案」2010年横浜市市民局「自治会町内会・地区連合町内会アンケート調査報告書」2012年度
     佐藤文明『あなたの「町内会」総点検[三訂増補版]地域のトラブル対処法(プロブレムQ&A)』緑風出版、2010年
     「全国公団自治協」2014年6月晦日号
     アリストテレス『政治学』京都大学学術出版会、牛田徳子訳、2001年
     はてな匿名ダイアリー〈 〉
     太田明夫「負担だった葬式に駆り出される2日間の話」・「季刊地域」農文協、2013年夏季号所収
     中川剛『町内会日本人の自治感覚』中公新書、1980年
     こうの史代『この世界の片隅に上』双葉社、2008年
     札幌市の『町内会活動のヒント』『町内会活動のヒント資料編』2011年

    第3章
     ロバート.D・パットナム『孤独なボウリング米国コミュニティの崩壊と再生』柏書房、柴内康文訳、2006年
     坂上香「ゆるやかにつながるしかけ」・「ちいさいなかま」ちいさいなかま社、2013年8月号所収

    第4章
     中田実『地域分権時代の町内会・自治会』、自治体研究社、2007年
     広島市『町内会・自治会お役立ち情報』2013年
     自由民主党「今後の社会保障に対するわが党の基本的な考え方(骨子案)」2012年
     伊豫谷登士翁・齋藤純一・吉原直樹言ミュニティを再考する」平凡社新書、2013年
     小諸市『小諸市自治基本条例逐条解説』2010年
     大塚玲子『PTAをけっこうラクにたのしくする本」太郎次郎社エディタス、2014年
     中田実編著『世界の住民組織アジアと欧米の国際比較』自治体研究社、2000年

    終章・あとがき
     中田・山崎・小木曽・小池田『町内会のすべてが解る!「疑問」「難問」100問100答』じゃこめてい出版、2008年
     岩崎・鰺坂・上田・高木・広原・吉原編『増補版町内会の研究』御茶の水書房、2013年
     警察庁「平成筋年の犯罪情勢」2014年
     「エコノミスト」2013年7月別日号(JBプレス訳)
     厚生省大臣官房統計情報部「人口動態統計からみた阪神・淡路大震災による死亡の状況」1995年・阪神・淡路大震災調査報告編集委員会『阪神・淡路大震災調査報告総集編』2000年所収
     自治大学校『戦後自治史 I』、1960年
     ハルミチヒロ「あまい声」竹書房、2014年/中沢啓治『はだしのゲン 1』中公文庫、1998年
    ―――――――――――――――――

  • 町内会

  • 町内会長を経験した筆者の町内会論。
    自分の経験をもとに、各種データや研究者の主張も盛り込みながら町内会を論じており、共感できる部分が多い。
    私が住んでいるマンションで、最近急に自治会をつくりましょう的なポスターが貼られはじめていて、正直やめてくれよと思っていてこの本に出会った。
    行政の担当者と話したこともあるが、この本に出てくるような町内会を行政の下請けとして扱う典型的な話だった。そんなものは行政サービスとしてふつーにやるべきだとそのときも思ったが、この本を読んで改めてそう思った。

  • 町内会は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~
    (小学館新書) 2014/10/1
    著:紙屋 高雪

    著者は、京都大学法学部卒。自らのブログで軽妙な文体にて漫画評論や育児論等の社会時評を綴り、朝日新聞社運営の言説サイト等で転載紹介されるブロガー。

    町内会とは、防災・防犯・掃除・祭り・見守り・リサイクル等、その地域のいろんな身近な問題を、住民自身が動いて解決する組織だとされている。

    本書は、著者が町内会いついてほとんど知らないまま、いきなり町内会の会長になり、その体験と実践をつうじて考えた町内会論、ひいてはコミュニティーと自由についてを以下の5章により説明している。
    ①町内会って入らなくてもいいの?
    ②町内会は必要です
    ③町内会は要らない?
    ④ゆるゆるな新町内会をつくってみた
    ⑤町内会は今後どうしたらいい

    物事を知るにはやはり「経験」から学ぶべき。
    本書は、上記の通り町内会の会長として奮闘してきた著者自身の体験をもとに書かれている。本書を読み、「よし!!役員頑張るぞ!!」という気持ちにはなれない・・。良いことばかりではなく、問題が山積みである。
    若干の予想はついていたもののこれほどねじれ、もつれ、苦悩する姿が書かれているとは思わなかった。

    もちろん地域や環境により違うことも多々ある。
    ひとつの事実としてしっかりと受け止め、自分は自分のやり方で意見を取り入れながらやっていくしかない。

    どれが正解なのかは自分がやりながら探していくしかないというのは仕事でもプライベートでもなんでも同じである。

  • 今年マンションの管理組合の委員になったので、同じマンションの人達と2ヶ月に1回会議室で顔を合わせることになった。皆働き盛りの会社員なので、打ち合わせもスムーズに終わる。このマンション管理組合も町内会に所属しているので、委員のうち2名が町内会にも参加しているが、会長の話が長いと嘆いていた。本にも書いてあったが、町内会の会議は会社の会議とは違って非効率でダラダラするのが普通だという。そんな町内会の役員に祭り上げられた著者が、経験を元に町内会のよいところ、悪いところ、これからあるべき町内会の姿が述べられていた。

  • 面白かったです。少なくとも、こういう論点の本はほとんど初めて読みました。ゼミで社会関係資本(ソーシャルキャピタル)について学び、その力を万能だと思っていた僕にとっては、斬新な切り口でした。
    この本の中で示唆されている事って、かなり重要なことが多いのですが、紙屋さんはとてもおだやかな書き方でそれを伝えていて、とても読みやすかったです。

    内容は、著者の実体験をもとに町内会の光と影について、説明がなされています。
    町内の力、ご近所の絆、そういったものは震災以降頻繁に語られるようになり、ある意味では行政を超えるほどの効果があるように持ち上げられることも少なくありません。

    実際、僕も地域の課題はそういった関係が解決することも多々あると信じています。

    と、同時に、そういった絆が人々に負担を強い、プライベートを侵害し、悪影響を与えるということを忘れてはいけません。

    そういった問題を回避するためには、町内会などの組織はあくまでもボランティアであって、適度に都合に合わせて距離をとれるようにしておくこと。現在のように行政の末端組織であるかのように振る舞い、住民を拘束するようなことはやめるべきだということです。

    筆者は、町内会はボランティアでも十分にその役割を果たせるし、逆にそれで手が回らない部分は、当然行政が行うべきであると述べています。

    この考え方は、行政がもういっぱいいっぱいで(お金的に)、住民にできることは住民にやってもらおうってなってる今日の流れには逆行する気がします。
    でも、そもそも、行政ができないから住民に投げるという考え自体、かなり無理があるものだというのが著者の問題意識です。

    行政に頼ることが現実的に難しくなっていく中で、住民にも過度の負担をかけないで社会関係資本のプラスの面を増幅していく、そんな仕組みを考えていきたいです。

  • 町内会の仕組みを見直して、良いものに変えたい改革派がいても、今のままでいいと思う保守的な人やそんなものには関わりたくないと思う無関心な人もいるので、
    思いがバラバラだから上手く行かないのかなぁと思った。

  • 最高裁判決 町内会は強制加入団体でなく、脱退は自由

    委任状 事実上白紙委任になってしまい、あとで「あなたも賛成しただろう」というので、私は用心して、「書面決議書」というものを出すようにしていました。これは意見を聞いて、賛成反対保留などの自分の態度を表明しておけるものです。私は出席でいない会議については、すべて「保留」という態度にしていました。

    ミニマム町内会のすすめ

    経験を解毒する
    ただし、経験というものは、強い毒があります。
    あまりに強烈に体と心にしみ込むために、自分の経験こそが絶対だという思いが、抜けきらなくなってしまうのです。
    それを解毒するためには、他のものと比較したり、結びつけたり、筋道だって考えたりするしかありません。大げさにいえば、理論の力でその経験を組立直すのです。
    昨今、観光客のように軽く接することの方が、あたかも、経験の奴隷とならない賢いやり方であるように主張するむきもありますが、「少し経験して、悟る」なんてことは、そうそう凡人にできることではありません。少なくとも私は、経験に泥まみれになり、みっともない格好になりながら、物事を筋道だって考えることでそこから這い上がってくる他ないだろうと思っています。

  • 町内会は強制参加ではないという判決が最高裁からでている。一方町内会は行政の出先機関の役割を知らず知らずのうちに担わされていることも多い。二律背反を内在する町内会の在り方を示唆する。無くてはいけないもの、住民全員が恩恵を享受するもの、全員参加が必要なものは税金から支出すべき。あった方がいいもの、地域の繋がりを深める親睦行事を手弁当で行うのが町内会の位置付け

  • 町内会長の経験のある著者なりの町内会論。
    ①町内会の参加を、本来の任意という形にすべき。強制的に加入するにしても、不参加の権利を同時に設定する。
    ②校区の会議議決権などの機能をミニマムにし、町内会組織が立ち上がるかどうかも希望者による有志でよい。
    ③団地共有部の整備は共益費→税金→所有者の優先度で賄うべき。

  • 今年は班長兼町会長兼副区長なのでいろいろ身につまされながら読んだ。
    本書は、自治会活動のプラスを維持しつつマイナスをどうしようか、という難問に「ボランティアという根本に立ち返ってはどうか?」と提案している。
    うーん、私の自治会でいうと、班(11軒)や町会(53軒)なら上手くいくけど区(500軒)だと上手くいかないだろうなあ。著者もそこは分かっているけど、できる範囲でできることをやろうとしたら、こういう「原点回帰」も必要かもしれない。
    まあそれにしても、著者の経験は凄まじい。私の自治会がものすごく上手くいっているように感じられる。次回の総会に向けて、負担増となるお願いを協議しているところだけど、基本的に前向きに検討が進んでいるから。こういうことって、カタログで住むところを選ぶ時には絶対わからないけどぜひ知っておきたいこと。
    町内会というローカルな活動を、高い視点違う視点から見渡すとても素晴らしいガイドブックでした。

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。京都大学法学部卒。自らのブログ「紙屋研究所」で漫画評論や育児論、社会時評をつづる。
著書に『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)、『超訳マルクス――ブラック企業と闘った大先輩の言葉』(かもがわ出版)、『“町内会”は義務ですか?――コミュニティーと自由の実践』(小学館新書)、『どこまでやるか、町内会』(ポプラ新書)など。

「2018年 『マンガの「超」リアリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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