- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098252800
作品紹介・あらすじ
これがいまを生き抜くための教養だ!
世界史の圧倒的教養を誇るライフネット生命会長・出口治明氏と、『日本のいちばん長い日』などで知られる日本近現代史の歴史探偵・半藤一利氏が初対談。「日本は特別な国という思い込みを捨てろ」「なぜ戦争の歴史から目を背けるのか」「アメリカを通してしか世界を見ないのは危険だ」など、日本人の歴史観を覆す世界の見方を伝授。「世界のなかの日本」の地位を正確に知ることが、いまの時代を生き抜く最低限の教養なのだ。
【編集担当からのおすすめ情報】
本来、日本史は世界史の一部であるはずなのに、学校では別々の科目として教えられてきました。そのため、私たちはどうしても「日本は特別な国」と思ってしまいがちです。しかしいま、世界における日本の地位や立場を正しく知らなければ、この激動から取り残されてしまうことでしょう。「世界史としての日本史」こそが、現代に必要な教養だとわかる一冊です。
感想・レビュー・書評
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歴史はそれぞれの楽しみ方があっても良いし、どの人物の視点で解釈するのかによっても理解が変わる。浅学非才の身と謙遜しながら、メモ書きも準備せず、半藤一利相手にズケズケと自説を述べる出口治明という構図に新鮮な思いを感じながら。それって出口氏の感想でしょうと苦々しく読みつつも、しかし、それを裏付ける両者の教養の深さに、最後には圧倒されてしまった。勉強になりました。
第二次世界大戦はノモンハン事件から始まったとするアントニー・ビーバーの考え。満州事変から語る天皇陛下。ドイツ軍がポーランドに侵攻したのがスタートだと言う見方。1936年のスペイン内戦から始まったと言う歴史家もある。あるいは第一次世界大戦から続いていたと、30年戦争だと言う考え方もある。多角的な視点、それぞれのスケールや論理。面白い。
著者二人にボコボコに言われる松岡洋右。国際連盟脱退。対比して称賛されるのが小村寿太郎。国民に増税、我慢を強いながら何とか勝利した日露戦争。伊藤博文は初めからアメリカの仲介で戦争を終わらせることを考えて金子堅太郎をセオドアルーズベルトとの交渉にあたらせていた。これ以上戦争は続けられない状態の中、何とかポーツマス条約を取り付けたのが小村。しかしロシアから賠償金は得られず、国民はこれ以上戦争を続けられない事情も知らされていなかったために反発。3万人規模が集まっての日比谷焼き討ち事件に繋がる。マスの操作は難しい。危機感を煽るか、嘘を言って士気を高めるか。自虐史観が自尊史観か。会社経営も同じだと。確かにそうだ。戦況の詳細が敵国に伝わる。自国民に詳細を語れぬ場合、どうすべきか。
マウントのためではない真実に近づくための多面的な知識、教養をきちんと身に付けたいと、意欲に繋がる読書となった。 -
最初の方は予想以上にとてもとても面白くて、どんどん進んだけど、後半すぎてから減速してきました。
なんでかな。
難しそうな本を推薦してくるからかな。
半藤さんも出口さんも教養豊かで面白いので、こういう本でいろいろ学べたらいいなと思いました。
このあいだの『一気に学び直す日本史』がホントしんどかったもので。
しかし出口さんにこう言われてしまった。
「やはり、第二次世界大戦のことをきちんと勉強して、将来に役立てようと思ったら、新書を4~5冊読んだくらいではダメですよ。きちんとした本を、ある程度苦労して、自分に負荷をかけて読んで、初めて自分の身になるので、第二次世界大戦については、簡単な本はどこにもありませんと言いたい気持ちがちょっとありますね(笑)」
そしたら半藤さん
「小手先でちゃちゃっと薄い本を読んで、理解した気になっている人が多いですからね」
いてて。
ところでこの本で疑問に思ったことが二点。
1つは「第一次世界大戦のドイツ賠償金支払いはまだ終わっていない。2020年まで債務が残っているといわれている」と出口さんが言われましたが、
この間しくじり先生で高学歴芸人のあっちゃんが「2010年に完済しました」と言っていたはず。
私が何か大きな勘違いをしているのか?いつものように。
もう1つは……、ふっふっふ。
p229に「中国の皇帝や士丈夫と呼ばれた高級官僚…」
士丈夫ではなくて士大夫ですよねっ!
この本はお二人の対談ですから、録音を聴き取った人の書いた字が雑で、見直したときに読み違えたのかなと想像する。
そして本になる前にお二方がチェックしているでしょうが、たぶんお目が良くなくて見落とされたのでしょう。
そういえば出口さんは『ハドリアヌス帝の回想』がお気に入りで何度も読んでいるとおっしゃいましたが、あれもそういうミスが多い本でした。
しかしこんなことを言うと、出口さんから「大きな流れを見ないと」と言われるかもしれないです。 -
直前に読んだ「日本国紀」とは異なり、日本の歴史を、まさに世界史の視点で、冷静に捉えている印象を持った。どっちの捉え方が適切なのかも含め、自分で絶えず勉強して教養を積んでいかなければならないと思った。いずれにしても、自分の国の、一見すると日常とは関わりが薄いと思ってしまう安全保障なども含め当事者意識を持って政治に参加していかないとならないと思った。
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出口氏と半藤氏、お二人の知識量と学びの意欲に敬服。彼等よりも若手の世代に向けた、もっと教養をつけろという叱咤に、目を合わせられない。新書を数冊読んで知ったかぶっているのは僕だ。
quarto
当時の陸軍のエリートたちが根拠なき自己過信を持っていた
驕慢なる無知であった
エリート意識と出世欲が横溢していた
偏差値優等生の困った小さな集団が天下を取っていた
底知れず無責任であった
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歴史作家の半藤一利氏と立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏の対談である。この二人の対談なのだから内容が濃いのはもちろんだが、改めてこの二人の教養の高さを感じた。
最近は自分が信じたいことが書いてあるものしか読まないという人が増えています。そして日本では中国はこんなにもひどいという本はたくさん出版されています。でも中国には「日本はこんなにひどい国だが中国はこんなにも素晴らしい」という内容の本はほとんど見当たらないようです。中国にとってもはや日本など眼中にないのです。
この二人が共通して危機感を持っているのは日本人の知性の劣化です。OECD諸国の大学進学率の平均は62%で日本は50%で最低レベル。教育予算のgdp比率もOECD諸国で最低です。しかも日本の大学では学生がほとんど勉強していない。
戦後日本が経済大国となったのは、冷戦時代で日本はアメリカにとっての不沈空母であり、アメリカに追いつけというキャッチアップモデルがあり、人口ボーナスなのですから何も考えずひたすらがむしゃらに働けば8%程の経済成長を実現できました。そしてその頃は、あまり考えるより黙って働くことの方が重要でした。多くの人にとって教養は邪魔でしかなかった。だから日本人は勉強することはしないで、ただひたすら長時間働いた。
明治時代の岩倉使節団は、国ができたばかりのときに、政府の半分くらいの大幹部が1年半もかけて出かけているので、ものすごい英断だった。その人たちは、日本がどれだけ遅れてしまったかということをつぶさに学び、「日本は富国強兵」をして西欧諸国と肩を並べる力を身につけなければ日本は植民地化されてしまうという危機感で国を引っ張る。
戦前の日本人は、日本は遅れているという危機感を持って、世界に伍したいい国にしようと思って、一生懸命に勉強した。
今の日本人は、「日本は素晴らしい国で、中国や韓国はひどい国だ」と決めつけながら、自分の意見と合う情報しか獲ようとしない。
若い人でこの2人のように、しっかり勉強している人が増えなければ、日本の将来は危うい。私は65歳の年寄りだが、日本人の一人としてしっかり勉強しなければと思いました。 -
好きな2人が対談されてるので、嬉しい。私は日本史は好きだけど、世界史は苦手であまり勉強してないのですが。やはり世界の大きい流れの中で日本も突き動かされてきた訳だから、日本史だけを勉強して完結するのは、まさに木を見て森を見ずと言う事だと理解しました。世界史も勉強します。またこの対談を一切のメモを見ずに話されたという出口さんって本当に凄い。
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稀代の教養人である半藤・出口両氏の対談本。
まず、両氏の尋常ならざる読書量に驚かされる。
そして、自分の不勉強さと無教養を思い知らされる。
主たるテーマは、近現代の日本を、世界史の流れと結びつけて捉えることにある。
両氏の語る内容は、現代(日本)社会の抱える問題点を浮き彫りにする、極めて深いものであるが、それでいて非常に分かりやすい。
とにかく「多く」かつ「深く」読書をしようと思わされた。 -
2017.7.18ブックオフ古淵店560円