ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001531

感想・レビュー・書評

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  • JAZZ初級者にはありがたい、絵と文章で楽しめる1冊(というか、読んだのは文庫でなく単行本1,2と分かれているほうで)。

    面白いのは、三者三用の感覚を楽しめること。イラストを描く和田誠と、それに文章を寄せる村上春樹、一人のJAZZ Manに対するイメージ、思いが微妙に違っていたりする。勿論、D.エリントンやサッチモなど誰もが思い描くイメージどおりのイラストと文章というプレイヤーもいるが、マイルスを和田が暖色のトーンでシンプルに描いているの対し、村上は”マイルズの演奏は深く痛烈”と、”黒々とした陰鬱なジャケット”とアルバム『Four & MORE』に言及したり。

    そこに読者である自分が、時には和田のイラストと自分の印象が重なるなとか、村上春樹はそんな風にこのミュージシャンの音を聴いていたのか!?と、自分はどっち寄りなんだろうと楽しみながら読める。

    概して和田誠のほうが世間一般のというか、自分のイメージと合うことが多い。というか、やはり村上春樹のほうが読みが深いというか、独特なんだろうな。
    とはいえ、ホレス・シルバーを、和田はいつもずいぶん洒落て優男風に描くものだ。先に読んだ『ボクはもっぱらレコード』(吉田直・著)の中の対談でアルバム『Serenade To a Soul Sister』に採用されたイラストが紹介されているが、そこのホレスも目を伏せた柔らかな笑顔のペン画。そして本書(vol.2)の表紙にもなっている絵は似たトーンの優男ちっくに微笑みピアノの前に座る姿が描かれている。
    本人の姿を私は知らない。ファンキージャズの始祖というキャッチフレーズと、「Song For My Father」に代表されるようなヴォサノバチックな音楽から想像される、もう少し賑やかな印象を持つ。和田のイラストのイメージとのギャップが大きかったりする。

    和田がVol.1でソニーロリンズを取り上げてないのも、そしてVol.2でも、文庫本にさらに3人が追加されたとしても、ジョン・コルトレーンを描いてないのも、なんだか面白いもんだな~。

    音を聴きながら、絵を見ながら、文章を読みながら、2人のJAZZファンの大先輩が見たミュージシャン像と自分のイメージとのギャップを愉しみながら読める良書。

  • ミュージシャン一人一人について村上氏がコメントを綴る。
    村上節が出ている。
    解説本というより短編集のような印象。
    もう少しディスクレビューがあったらよかったかも。

  • 週に一度は耳にしていたジャズが、ある日突然体に染みこんでどこかに落ちていった。きっと、予測不可能でゆらぎとグルーヴを楽しむ大人の音楽、ジャズを楽しむ準備ができたってことなんでしょう。ということで、本腰をいれてジャズに取り組むことにしました。

    村上さんはやっぱり年代のせいか、古いものが好きですね。キース・ジャレットやブラッド・メルドーをよく聴く私にとっては、ウェス・モンゴメリー、オスカー・ピーターソンなんかはは新鮮でした。
    村上さんに共感できるかというと、微妙。。やっぱり育った時代が違うのが決定的でしょう。ジャズ黄金期にあって、どんな人がどんなふうにいいのかということを入門的に知るにはいい本だと思います。

    和田さんのイラストはどれも好きでした。

  • 村上春樹の小説の主人公が、その作品中に好きなアーティストや、レコードを語るシーンがよく描かれるが、そのトーンで作者自身がJAZZアーティストを語った一冊。 本に登場した未知のアーティスト達は、早速聴いてみる事にしよう。 そこからの出逢いにも期待。

  • そう、フッと読みたくなって買ってきた。
    シャレてる。
    こんなコラムが書けたら、どんなに楽しいだろう。

    和田さんの絵もいい。


    またジャズを聴こう。

  • 僕がジャズメンを知る上で、とってもお世話になった一冊。和田さんの「特徴がよく出た」絵と村上さんの「ひどく個人的な文章」が一緒になっています。その人の中での印象が反映されているので(特に文章の方が)、でもジャズを聴いた時に感じる他の音楽とは違うものが、本を読んで、見て、感じられます。小説とか、タバコの煙とか、お酒とか、そういうのすべてがいい意味で似合うのがジャズだなって気がしますね。

  • これでジャズを知れる一冊ではないし、ジャズを聴いたことがなければわからない一冊だし・・・

  • 081009(n 081019)

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    和田誠が描くミュージシャンの肖像に、村上春樹がエッセイを添えたジャズ名鑑。ともに十代でジャズに出会い、数多くの名演奏を聴きこんできた二人が選びに選んだのは、マニアを唸らせ、入門者を暖かく迎えるよりすぐりのラインアップ。著者(村上)が所蔵するLPジャケットの貴重な写真も満載!単行本二冊を収録し、あらたにボーナス・トラック三篇を加えた増補決定版。

著者プロフィール

一九三六年大阪生まれ。多摩美術大学図案科(現・グラフィックデザイン学科)卒業。
五九年デザイン会社ライトパブリシティ入社。六八年に独立し、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしてだけでなく、映画監督、エッセイ、作詞・作曲など幅広い分野で活躍した。
六五年創刊の雑誌「話の特集」アート・ディレクターを務める。
講談社出版文化賞、講談社エッセイ賞、菊池寛賞、毎日デザイン賞など受賞多数。
七七年より「週刊文春」の表紙(絵とデザイン)を担当する。二〇一九年死去。

「2022年 『夢の砦 二人でつくった雑誌「話の特集」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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