1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

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著者 : 村上春樹
  • 新潮社 (2012年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001593

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 敷居の高さを感じてたけど、ワタシにとって初村上作品の1Q84。

    すごく読みやすくてびっくりした。
    「青豆」「天吾」と2人の間をいったりきたりしながら、
    ゆらゆらとまだ何も分からないまま漂う時空と心情。
    1984年と1Q84年。

    何かを示唆しているのか暗示しているか
    不思議な空気と不安も含みつつ、魔力があるかのように
    吸い込まれるように惹かれるふかえりちゃんと「空気さなぎ」。

    小さな誤差から始まる記憶の揺さぶり。
    タクシー運転手が別れ際に口にした不思議なメッセージのような言葉。

    まだ不思議な世界の断片を少しずつゆらゆらと見せられているような1巻。
    1つ1つの断片がどこに繋がって、どんな感情や思いに繋がっていくのか
    読み進めるのが楽しみなような、まだ曖昧なままこの場所に漂っていたいような
    中毒性を感じる村上ワールドのはじまりでした。

  • 「村上春樹の『1Q84』入荷しましたー」

    朝の通勤電車に乗り込む前にそんな声が聞こえてきた。駅前の小さな本屋さんの店員が外に出て宣伝をしている。村上春樹さんの新刊が出る、というのは出版における一つのイベントめいたものがある。私がそのイベントを初めて体感したのは『ねじまき鳥クロニクル』が文庫化された時だった。少し遅ればせながらようやく手に取った『1Q84』。かなり入り込んで読めた。今までの自身の春樹体験でもっともよかったかもしれない。それはこの『1Q84』という作品がいい、ということと一致するわけではないと思う。何か今までの春樹作品がいろいろと腑に落ちた感じだ。

    これまで春樹さんのものは中長編はほぼ読んできていたが短編やエッセイはかなり取りこぼしがある。そして『アンダーグラウンド』も読んでいない。今回『1Q84』を読んで『アンダーグラウンド』を読みたい、と思った。春樹さんの作品間のいろんなことがつながる感じが自分の中であった。『1Q84』自体も春樹さんがこれまでやってきたことをいったんまとめてみる、という思いがあるように感じた。

    Book1の途中まで読んだ時「これは無意識のことが書かれているのか」と思う。そうすると何かがほどけるように読めていく。「そうか、そうか」とうなずきながらページをめくる手が加速した。

    読みながら春樹さんはこれを河合隼雄さんに読んでもらいたかったんじゃないだろうか、と考えていた。するとユングが引用される箇所に出会う。「ああ、やっぱり」と思う。チェーホフの『サハリン島』の引用も印象に残って見事だと思うけど、引用されるものの多彩さも楽しかったことの一つだ。

    村上春樹さんといえば日本人離れした登場人物の会話というのも特徴の一つだと思う。私もこれまで「まあ、そういうもんなんだろう」と評通りの読み方をしてきたのだけれど、これは「夢の語法」なんではないかと今回読んでいて思った。夜寝る時に見る夢の中では、論理的にはつながっていないような出来事同士でも何の違和感もなく連結されていく。村上春樹の登場人物同士の会話はまさにこれだ。誰かが何かを言う、すると相手は「あなたの言うことはわかるわ」とか相手が言ったことの単純な繰り返しを同意として返したりする。夢の中ではおかしなことでも全てが必然のようにつながっていくこととこれは感覚的につながる。こういうことは既に言われていることなのかもしれないが、なんで今まで気づかなかったのだろう、というぐらいこの書き方が自分の中で了解されるところがあった。

    この本を読んでいて一番スリリングだと思ったところは、青豆と宗教団体のリーダーの対決の部分だ。リーダーの言葉は実は非常に理が通っていて魅力的とも言える。危険なカルト集団ともなりえるリーダーの言葉に理屈を見いだすのは大変後ろめたいことだ。だから、春樹さんはこれをどう乗り越えるのか、という関心を持ちつつ読んだのだが、これを「超える」という形では答えが示されていないように感じた。もっと違うアプローチを示してくれたように私見では思う。傷ついたものはどう癒されていくのか、ということと、暴力というものがどのような性質を持っているのか、が徹底的に書き込まれているのだと思う。

    春樹さんのイメージする「暴力」は、「どこかに突然投げ込まれてしまうこと」ではないかと思う。何かの拍子に突発的に起こった事件に巻き込まれて被害者となってしまうこと、というのがかなり直接的にイメージされるけれど、「どの時代に生まれるか」とか「誰を親として生れてくるか」といったようなことだって、よく考えれば自分で選べることではない。そういう感覚に共通するものに「暴力」を見ているのではないだろうか。

    幸せに生まれてくる人もいる。けれどもそうでない人もいるだろう。そういう時に「暴力」という強いイメージまでいかなくても、ある種の感情が喚起されることはあると思う。そして「暴力」を受けた、と感じた側はそれによって傷ついた心をどのように癒していけばいいのだろう、というようなことを春樹さんは考えているのではないだろうか。

    そして私見ではそれは別の心に出会うこと、そしてそれを探し求めることなのではないだろうか。「心」というよりも「魂」という感じか。魂はどのように傷つき、どのように癒されるのか。青豆と天吾は互いの魂を求めている。そしてそれを求めていく過程が癒される過程と近似するのではないかと思う。

    村上春樹さんがこんなにも売れる作家である、というのが昔から不思議だった。ストーリーとしてはそれほど論理的に説明できるものではないし、どの辺をみんな面白がっているのだろう、と思っていた。村上春樹作品というのは、そういう意識下で論理的に説明できるようなものではないのではないのだろうか。読む人の心の深い所へ沁みていくような作品だからこそ、こんなにも多くの読者を惹きつけるのかと思った。

    今回、他の作品に対するイメージもだいぶ塗り替えられ、いろいろと読み直したいなと思った。他にもいろんなことを思った気もするけど、それは少しずつ残していくとしよう。

  • ひとまず1巻だけと思いきや、恐ろしいほどの中毒性。
    読み終えると青豆と天吾の行方が気になるあまり本屋へ走り、
    全巻揃えて寝る時間も忘れて読み耽ってしまった。

  • 2人の別々の世界が交互に進んでいく感じ好きだよね…
    「6」まで耐えられるかなぁ…

  • 村上春樹とは相性が良くない。
    そうはわかっていても読んでみたい作品であった。
    いよいよ重い腰を上げて挑むことにした。
    村上春樹、久々の再会。

    まだこの前編を読んだだけでは物語の全貌は見えてこない。
    しかし、おもしろいのだ。なんとも言えず、面白い。
    いつもの村上春樹であることは間違いない。
    ただ、どこかいつもの村上春樹と違う雰囲気も漂っている。
    決してハルキストと呼ばれるほど彼の作品に触れているわけではない。
    それでも、どこかそう思ってしまう。

    果たして、青豆と天吾とは何者なのか。
    2人のいる1Q84という世界は何なのか。
    どこか懐かしい雰囲気が漂う世界に足を踏み入れ、
    この先に見る景色を貪欲に待ち望んでいる自分がそこにいた。

  • 村上春樹は僕らの世代の同時代作家である。

    何しろ大学時代、図書館で「群像」に掲載された「羊をめぐる冒険」を
    リアルタイムで読んでいたぐらいだ。もちろんすぐに初版本を購入した。
    当時は作家で村上と言えば、村上龍だった。
    文壇では村上龍の「コインロッカーベイビーズ」が時代の最先端だった。
    「風の歌を聴け」と「1973年のピンボール」を書いただけの
    新人、村上春樹はどちらかというと流行作家の一人にすぎなかった。
    ちなみにこの時代の流行作家の代表格は「なんとなくクリスタル」の田中康夫だった。


    それでも僕らは、村上春樹が好きだった。
    村上春樹が僕らの時代の気分を代表していると思った。
    ほかの作家には「自分たちの時代の風」を感じなかったが、
    村上春樹の小説の中には「僕らの風」を感じた。


    そして、村上春樹が我々の同時代の風をつかんでいたことは、この25年が証明してきた。


    だから村上春樹の小説が発売されたら
    すべての本を発売直後に単行本で手に入れて読んできた。
    それは「海辺のカフカ」まで続いた。
    それなのに、「1Q84」だけは単行本で読まなかった。

    どんなにベストセラーとして騒がれようと、
    世界中で翻訳されようと、なぜか読む気がでなかった。


    そして、不思議なことにいまになって文庫本で読み始めた。
    なぜだろう?
    その理由を考えながら文庫版のページをめくる。そしてひとつの仮説に行き当たる。



    この「1Q84」は、村上春樹の集大成であり、
    彼が今まで書いてきたことをすべてまとめた、一種の変奏曲なのだ。
    変奏曲が終わるまでは手にしてはいけない。


    たぶん、一定の年月にさらされてから手にするべき本なのだ。
    その本質を理解するためには、時間が風化したほうがいい。
    ベストセラーのランキングにある期間に
    流行のひとつとして評価すべき本ではなく、
    長い時間の風化のなかで
    「古典」として評価されるべき作品なのだ。


    特に、当初Book2までという不完全な形で刊行された1Q84は、その後にBook3が刊行されて完結する。
    少なくても世界はこの本の評価をそれまで待つべきだった気がするのだ。


    だからこそいま僕は、村上春樹の歴史を踏まえて
    「変奏曲 村上春樹」というテーマで自分の評論をまとめてみようと思う。


    この変奏曲を読み解く評論は4つの楽章で成立する。


    第1楽章 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
    第2楽章 4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて
    第3楽章 羊をめぐる冒険
    第4楽章 ねじまき鳥クロニクル


    変奏曲の旅は、村上春樹の世界を巡る長い演奏になるだろう。
    じっくりと感じてみよう、村上春樹がこの世界にもたらした風を。


    そして、その変奏曲を読み解いた時に
    1Q84に散りばめられた謎が収斂して、われわれの前に立ち上がってくるだろう。

    村上春樹がその作家人生をかけてわれわれに対して仕掛けた謎を読み解いてみよう。

  • すごく引き込まれることは確かなんだけど難しすぎて不完全燃焼する
    結局戻ってきた世界はパラレルワールド的なものなのかな?

  • 村上春樹ワールド全開!
    この先どうなっていくかが楽しみ。

    青豆と天吾は繋がっていくのかなあ。

    にしても、村上さんの作品にはクラシックがたくさん出てきて、こちらにも精通していることが伺える。

  • 文庫本2冊1週間で読みきる。これは私としては例外的に速いほう。通勤の電車・バスのなかと朝起きがけ、夜寝る前。早く続きが読みたいと、わずかな時間でも本を開いていました。これから3週間、BOOK2が出るのを待たなければいけないのはつらいです。単行本は1,2巻続けて出たような・・・。でもBOOK3までの期間は短いから良しとするか。さて、中身は非常に分かりやすい。たぶん、今までに比べて。それとも「海辺のカフカ」のあとに「カラマーゾフの兄弟」を読んだり、三島由紀夫を読んだりしてきたから、自分のほうに耐性ができたのか。やっかいなのは(読み飛ばしたのは)「平家物語」の部分くらい。チェーホフを読んでみようとまでは思わなかったけれど、ヤナーチェックは聴いてみたいと思った。パートナーにはやめておいたほうが良いと言われた。さて、読んでいるうちに分からなくなったことがいくつかある。どこか先に書かれていたような、なかったような、どうだったか分からない。もう一度読み直せばよいのだけれど、他にも読みたいものがたくさんあるし。ホウレンソウが好きだという犬について。1匹だけのことだったか、もう1匹別にいたのだったか。ふかえりがなぜ天吾の講義を聴いたことがあるのか。確かそう言っていたと思うけれど、話の流れからは予備校に行く必要性はなさそうな気がする。ほかにも疑問点はあったはずなのだけれど、いまは思い出せない。少し間をおいて、記憶がうすれたころにBOOK2を読もう。たぶん、本当に必要なことは記憶に残っていることだろう。

  • 特に読まなくてもよかった
    しかし先に進まざるを得ない。読んでる間世界が浮かんでみえる。どんどん引き込まれた。

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1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)の作品紹介

1Q84年――私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この『1Q84年』に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。」……ヤナーチェックの音楽『シンフォニエッタ』に導かれるように、主人公青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。謎に満ちた世界で、二人はめぐり逢うことができるのか。
文庫版は全6巻。前後編2冊セットで3ヶ月連続刊行予定。

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