晩年 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006017

感想・レビュー・書評

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  • ビブリアを読まなければ多分読まなかった本。誇大した自己意識を持て余すと大変なんだな、と思った。
    みんな大なり小なり大きすぎる自己意識を持つんだろうが、日々の雑務・実夢で気を紛らわせられる神経の図太さに感謝。

  • 全て読み終えてから解説の「自分はプロレタリアではなく、農民たちを搾取する大地主の子であり、」「自分は革命の戦士でなく、滅ぼされる側の人間だという痛切な自覚」で深く納得した。太宰治をきちんと読んだのは初めてだけども、全体を包んでいる、かっこいい人間になりたいけど、所詮自分とはこんなものだ的な雰囲気の理由が少しわかった気がした。自己と他者を見つめる視点と、その記述の正直さは共感性がとても高くて、想像していたよりずっと庶民的だった。いま太宰が生きていたらにちゃんねらーになってたんじゃないだろうか。
    道化の華や思ひ出のような自叙伝的な話が多く、それも好きだけれど、魚服記やロマネスクのような作品もあって、太宰治はそれだけの人ではないんだと痛感させられる短編集。でもいちばんのお気に入りは彼は昔の彼ならず。

  • 死を意識した太宰治の視点で描かれているため、本人の世界観で読める小説。

  • 2015年4月の課題本です。
    http://www.nekomachi-club.com/report/20533

  • この作品集にこめられたものを知っている限り。
    これが太宰の遺書とも言える処女作品集であることを理解している限り。

    既に半世紀を越えて生き続けている私には、この本にこめられた、才能ある若者の真摯な苦悩を受け止める力がなかったのだと思うしかない。

    読み終えるまでに何度も表紙を閉じ、枕元に数日間置き放しにしたことも数度。読み続けるに体力が保たないのである。

    懐古趣味的幻燈のごとく、作者の中のあらゆるものが目まぐるしく流れては消えてゆく。そのきらびやかさについてゆけるだけの若さを、私はもう、いつの間にか失くしてしまっていたのだ。

    吉田篤弘までが、私の生の速度の限界だった。

    疲れ果て、読了。

  • 「猿ヶ島」
    実は自分が観られている側だったと云う。

    「ロマネスク」
    太郎次郎三郎とひと癖ある人物の顛末記。
    昔話みたいで楽しく読める。

    「彼は昔の彼ならず」
    青扇を見て自分のダメさを反芻する。

    「思い出」
    少年の思い出。らしくないけれど割と好き。

  • 最初の作品集とのことで、収められている1編ごとに自分の小説の形を探すような試行錯誤が見え、創作の苦しさに呻吟する感じが見える。フレッシュな屈折、とでもいうのかな。

  • 思い出の治が色んな意味で切なかった。見系として伝わっているのにコンプレックスだらけなのは共感したが、少し卑屈すぎやしないか。
    登場人物のほとんどがダメ人間だけど、人間味があっていいと個人的には思う。半津軽出身的におまけで星四つ。

  • 高校の時に読んだけど,頭のなかにたまに思い浮かぶ言葉がこの中の言葉だったりしてかなり影響を与えられた。斜陽などよりよほど面白い。

  • 処女作で、短編集になっている。自分の経験を匂わせる作品がいくつかあった。「魚服記」「猿ヶ島」のようなおとぎ話的物語が私は好きだ。他は、あまりパッとしない。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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