晩年 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006017

感想・レビュー・書評

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  • 砂子屋書房の復刻版が出てきません。

    初版本を読みたいと思っていたけど
    高くて断念。

    全集が欲しくなった。

  • この時代の常識や、固有名詞などがわならなかったので少し読みづらかったです。しかし、はっと目を見開かされるような文章に感銘を受けました。憂鬱ではないのに、死の気配を感じる。そんなところでしょうか。年が明けたら再読しようと思います。

    特に猿面冠者を気に入りました。工場見学みたいな楽しさがありました。

  • 太宰治の処女作。読みにくくて、なかなか読み終えられなかった。

  • 面白い
    処女作品集でありながら太宰が詰まってる

  • やや読みにくいところがあった。自分を曝け出して書いている感じ。

  • 全体的に、ものすごく前衛的で、語り手である自分に批判的で、詩的で、難解なフランス文学を思い出した。

    「魚服記」は結末の意味がわからず、父親に犯されたという解釈を読んでなるほどなぁと思うと同時に何だか後味が悪かった。
    「列車」は人間の心理が深く描かれている作品だなぁと感嘆した。
    「地球図」はただシロオテに同情。悲しい話だった。純粋な信仰心に感動。
    「猿ヶ島」は冒頭の描写にまんまと騙されて、自分が見物されている側だったというオチをまさに体験した。
    「道化の華」は、一人称と三人称が交錯する型破りな形式で、こちらが恥ずかしくなるくらい己を曝け出し自己批判に終始していたが文章が美しくて惹き込まれてしまった。魔物だなぁ。
    「猿面冠者」は構成が凝っていて難解だったけれどオチを理解したら面白かった。
    「彼は昔の彼ならず」は「晩年」のなかで一番好きな作品だなぁと思った。「彼」の「芸術家」らしさに心惹かれるあまり家賃の滞納を許してしまう大家が、「彼」に幻滅するまでの心理の移り変わりが鋭く描かれていて素晴らしかった。いるよねああいう人。
    「ロマネスク」はおとぎ話を読んでいるような不思議な感覚だった。

  • (Mixiより, 2010年)
    太宰治、処女作。15編からなる短編集です。馴染める作品とそうでないものとの差が激しかったという印象。原因として情景描写に捉えづらいものが多く、(特に自然風景)退屈してしまうことが多かった。また「猿ヶ島」「地球図」などはまず設定を飲み込むのに一苦労で、ページをめくるのがなかなか辛かった。この辺りは個人差があると思います。その中でも「道化の華」は、人生の中で何回か読んでいくことになるだろうなと思えるほど心に残る作品でした。読み手は物語の主人公に感情移入しているのに、いつのまにか書き手の心境にさせられる。自分を投影した主人公を操ることさえもはばかられる、 
なんとも弱々しい作者の心境に親近感を抱きます。名作と名高い他の作品には完成度で劣るかと思いますが、読めばきっと誰しも心に引っかかるフレーズが見つかるはずです。

  • 長い間、本棚の飾りとなっていた本をようやく読了。晩年が処女短編集の題名だったとは。

  • 太宰が当時遺書として書きためた作品集。
    「道化の華」の主人公である葉蔵は「人間失格」にも登場しますが、まるで違うような作品でした。
    「人間失格」に於いては自己否定や自己破壊の極限に達したような深みがありますが、「道化の華」を始め本書の作品中には当時の太宰の不安定さや息詰まるようなもがき苦しむ様を感じました。
    「人生万事嘘は誠」という言葉がありますが、この頃の太宰は持ち前の道化精神に対するこれでいいのか?という不安や、それでも正直なことへの渇望、しかし嘘をやめられないという苦しみと懸命に戦っていて
    自殺前提の遺書とされながらも、生きることへの憧れがよく現れていると感じました。

  • 3 15の短編からなる第一創作集。ビブリアを見て。その他の近代文学と同様、あまり大きな感動はなくそれなり。非人間的な政治運動への幻滅、運動から脱退する後ろめたさ、自分はプロレタリアではなく大地主の子であり滅びる人間滅亡の民であるというコンプレックス。それらが太宰を絶望に追い込み自殺を決意。「道化の華」人間失格でも同じ登場人物大庭葉蔵。小説を書く理由、栄誉、金どちらもほしい。作者の自意識が物語を中断して直接小説に登場し客観描写的リアリズム手法を批判し否定し注釈する技法を用いた前衛的な現代小説らしい。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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