- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101006055
感想・レビュー・書評
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人間の本質を突いてる。
誰もが多かれ少なかれ
抱えてる生きづらさを
巧く表現してる。
こんなダメ人間と私は
違うと、
突き放せる人はいない
のではないでしょうか。
まあ名作中の名作です
もんね。
作品が発表されてから
早七十五年。
これまで数多の読者が
共感してきたでしょう。
そして、これから先も。
多くの人びとに人間の
本質を知らしめ救いを
与える。
それこそ著者にとって
なにより救いなのでは
ないでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教科書に載っていた「走れメロス」以外で、ちゃんと太宰作品を読むのは初めてかもしれない。
解説にもあるとおり、太宰治の内的、精神的な自叙伝。
内的、というよりしっかりと自叙伝だと思う。
読んでいて、やたら読点(、)の多い文だなと思った。
いつもそうなのか、それともこの作品だけ意図的にそうしているのかはわからないが、主人公の不安感や閉塞感を表すには効果的だと思った。まるで心中でハアハアと息切れしているよう。
【つまり、わからないのです。隣人の苦しみの性質、程度が、まるで見当つかないのです。ただ、めしを食えたらそれで解決できる苦しみ、しかし、それこそ最も強い痛苦で、自分の例の十個の禍いなど、吹っ飛んでしまう程の、凄惨な阿鼻地獄なのかも知れない、それは、わからない、しかし、それにしては、よく自殺もせず、発狂もせず、政党を論じ、絶望せず、屈せず生活のたたかいを続けて行ける、苦しくないんじゃないか? エゴイストになりきって、しかもそれを当然の事と確信し、いちども自分を疑った事が無いんじゃないのか? それなら、楽だ、しかし、人間というものは、皆そんなもので、またそれで満点なのではないかしら、わからない、……夜はぐっすり眠り、朝は爽快なのかしら、どんな夢を見ているのだろう、道を歩きながら何を考えているのだろう、金? まさか、それだけでも無いだろう、人間は、めしを食うために生きているのだ、という説は聞いた事があるような気がするけれども、金のために生きている、という言葉は、耳にした事が無い、いや、しかし、ことに依ると、……いや、それもわからない、……考えれば考えるほど、自分には、わからなくなり、自分ひとり全く変わっているような、不安と恐怖に襲われるばかりなのです。自分は隣人と、ほとんど会話ができません。何を、どう言ったらいいのか、わからないのです。】
残念ながら特に感じ入ることもなく読了。
ただ、読んでいる間、J.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」に似た感じがしていた。
まるで違う話なのに。
どちらも「あなたにもそういう部分があるよね」と語りかけるような感じなのかも?-
2023/09/06
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土瓶さんの「ライ麦畑でつかまえて」のレビューを読んできました(笑)
実は私、ライ麦畑は何度かチャレンジしてるけど、何故か最後まで読めずに投げ...土瓶さんの「ライ麦畑でつかまえて」のレビューを読んできました(笑)
実は私、ライ麦畑は何度かチャレンジしてるけど、何故か最後まで読めずに投げ出してるの(~_~;)
太宰の人間失格のほうがまだ読めます…2023/09/06 -
あおいさん。
わかりますっ(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン
あれは読みづらい。
辛かった(~_~メ)あおいさん。
わかりますっ(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン
あれは読みづらい。
辛かった(~_~メ)2023/09/06
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初の太宰治はブク友おびさんが3回?も読んだ
一番有名な「人間失格」です:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.
古典、純文学はいっさい読まず、まぁ教科書に載ってたなぁくらい笑
今後も読む事はないだろうと思ってました。
が!しかし!
食わず嫌いはダメだ!
太宰治は無頼派…どんな派⁇
黒カバーの洒落たこの本…薄っ!(꒪⌓︎꒪)
そして読みやすい文体!
御坊ちゃまだからか何故か乙女っぽい言葉使い笑
自分以外の人を「人間」と呼び、人間になれない自分を卑下し蔑み生きる値打ちもない…
良すぎる頭脳、歪な感情、湧き出る負のオーラに依ってくる女達…
この作品の執筆後に入水自殺する太宰ですが…
‥‥よく39歳まで生きていられたなぁ
と正直思いました(u_u)
自分を騙しながら生きた太宰は幸せではなかったけれど、こうして今でも読まれ続けている…
太宰の事を話すこの世の人間達を顔を引き攣らせながらあの世で怖がっているのではないかしらん?
さぁ次は「晩年」でも読んでみよっと♪
おまけ…解説の奥野健男氏の太宰治愛が凄い笑
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2023/12/12
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純文学の世界へようこそ。
みんみん、太宰治の本はみんな薄いよ!
持ち運び便利!
走れメロスの元ネタ知ってる?というか、創作の元だけど。
知...純文学の世界へようこそ。
みんみん、太宰治の本はみんな薄いよ!
持ち運び便利!
走れメロスの元ネタ知ってる?というか、創作の元だけど。
知っちゃうと、走れメロスが走れメロンくらいには、なるよ。
2023/12/12 -
2023/12/12
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なんて作品なんだろう。太宰治初読みでした。
構成としては、ある男の手記。自分が人間らしいと思えず道化を演じ、道化を演じているとバレてしまうことが恐ろしく、酒女薬に溺れてゆく。ついに自分で自分に人間失格の烙印を押してしまう人生の話。
簡単に共感なんてできないし、この文学を本当の意味で理解なんてきっとできていないけれど。それでも、なぜか生きようという希望が湧いてくる物語であるように思う。
葉蔵は、確かにいろんな欲に溺れ、迷惑という迷惑をかけ続け、何度も死のうとしながら、溺れていきながらも生きている。見方を変えると、生命力が強いというかなんというか。だからこそ、問題作と言われながら高い知名度を誇っているのではないのかなと。私の主観ですが。
あとがきのマダムの、「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気が利いて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、…神様みたいないい子でした。」という言葉が刺さる。
葉蔵は、自分で自分に失格の烙印を押し続けてしまった。それこそが、彼が欲に溺れてしまった要因なのではないかと私は思いました。 -
誰もが持つ心の闇。
決して、自己完結はできないのが罪だ。
だからこそ質が悪い
今ならどうか。発達障がいと言われるのだろうか。
どうしようもない男。こりゃダメだ。
女性の読者ならどう感じるだろうか。
ダメ男で超イケメン。母性本能グリグリ~!
読んでいてムカムカさせられるし、ため息が出るほど共感できる部分も。
純粋に、葉蔵に手を差し伸べる気にはならない。
重要な小説であろうことは確か。 -
「恥の多い生涯を送って来ました。」
人の心の葛藤を一冊で描き切った作品。
一見おかしな主人公の話。
だけど、誰もが生きていれば一度は考えた事があるであろう人間の心の内を言語化してある名著。
歪んだ考え方にも見えるが、私たちと表裏一体の世界。
「なぜみんな、実は欺きあっているのに表面上は傷ついてないよう、明るく朗らかに振舞っているのだろうか?他人が理解できず、自分が感じていることは異端なのではないか。」
きっと誰もが感じた事がある
人間関係の悩み。
時代が違えば太宰治は生きていたかもしれない。 -
太宰治の自叙伝的最終長編。
大人になって初めて読んだ太宰治。学生のころ『走れメロス』は読んだことあったけど、他のは読んでなかったので、太宰治の傑作から読んでみました。
『人間失格』太宰治の自伝的な小説。
それにしても、こういうダメな人っているよね。それでいて女性にはめちゃめちゃモテるっていう男の人。
太宰治自身も本当に色男で格好良かったんだろうな。
自分からアプローチしなくても女性の方から寄ってくる。それが十代の女の子から後家さんまでという幅広さ。
太宰を見ると女性は自分からお世話をしたくなっちゃうんだろうね。
「私がこの人を支えてあげなきゃダメだ」
っていう母性本能をくすぐりまくるタイプ。しかもとびっきりのいい男。
もしも自分に娘がいて、娘がこういう男性に熱を上げてたら『絶対にダメだ』って怒るだろうけど、そうすると娘はその男と駆け落ちしてしまうんじゃないかっていう恐怖に襲われるので、仕方なく二人の交際を認めしまうくらいに色男、もう手に負えない。
さらにこの『人間失格』の主人公のダメっぷりが半端ない。
生きる気力というか、そういうのがまったくなくて、女性に養ってもらいながら、酒におぼれ、薬物におぼれる。そして、もうダメだと思ったら心中しようとする。
こういう小説を読むと、「自分も大したことないけど、この男は俺よりもっとダメだな」って勇気づけられる・・・のかどうか分からないけど、そういう気持ちにさせる小説って、ある一定の需要はあるよね。
このあたりはドストエフスキーの『地下室の手記』に通じるものを感じます。
自分は、あまり共感する部分は無かったけど、こういうデカダンスな人生に憧れるところは実際にありますね。もし自分がものすごい色男だったらだけど(笑)。
太宰の文体は嫌いじゃなので、今度は『斜陽』あたりを読んでみますね。 -
人を惹きつけて止まない小説といえば、間違いなくこれ。
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太宰の思想と人生、祈りが色濃く反映された
自伝的小説「人間失格」。
「恥の多い生涯を送って来ました。」
あまりに力強いこの一文だけで圧倒される。
人生の本質や普遍的な人間の罪、弱さ、
愚かしさ、美しさ、愛情、恐怖を
すさまじいまでの集中力で落とし込み
苦悩と解放の間でもがき書ききった太宰。
根拠のない自己肯定のできる人間たちに戦慄し、
傲慢の醜悪さに苦い思いを抱く。
苦しみから逃れ、享楽的に生きることの
愚かしさを人生を持ってして示し、
暴力的な時代への嫌悪を嘆き、
実体のない世間へと祈りを込めて矢を放つ。
麗しくも恐ろしきは浮世なれ。
人の世を憂い、時代に絶望しながらも
それでも生涯求めてならなかった人間への
長い長いラブレターに思えた。