走れメロス (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006062

感想・レビュー・書評

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  • 改めて読んでみると
    簡潔で読みやすいし太宰デビューにはぴったりな作品。
    忘れてたけど元々古代ギリシャ伝説から来た話だったんやな

  • まずは表紙の人間にガッカリ。
    文学の表紙に人間の写真を使うのはナンセンス。イメージを固定させる悪戯と思う。
    人間失格に次ぐ太宰治作品で短編を読んでいったけども、今作で偶に思い出したようにやりたいと思っていた、知らない単語を一つずつ調べてから読んでいった。暗記力が良い方でもないので為になるかは自分にも判断つかないが、そこそこ楽しめた。
    作品自体は、太宰の駄目な所と文章の美しさ、唐突な登場人物の行動力と心情の爆発が心地良かった。
    溜めに溜めての走れメロスは作者の自分への叱咤と正義への憧れ、またそれが報われることへの願いを感じた。

  • 『走れメロス』を読んだのは義務教育以来。
    小学生の頃、メロスを題材にした劇をやった記憶があるが、中学二年生の教科書に載っているらしい。

    太宰にしては暗くないように感じる。 
    序盤で「人の心は、あてにならない。」と言っていた王が、メロスとセリヌンティウスの約束を見届けて改心する。道徳としても扱いやすいから教科書に取り入れられたのかな。

  • 名著なので読んだが,今の自分には可もなく不可もなし.

  • 暴君から死刑を命じられたメロスは、無二の親友を人質に残し、妹の結婚式に参加するべく、走る。そして親友を助けるべく、走る。約束を果たすべく、走る。走れ、メロス!

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  • 何回読んでも心が動く

  • メロスが人間味あふれる描かれ方をされていた。傲慢、歓喜、怠惰、強情。画一的な感情ではなく多角的な表情を見せるメロスはとても生々しく、人間味に溢れていた。

  • メロスとセリヌンティウス、お互いを信じ合う心に涙した。

    小学生の頃はあまり理解していなかった本書の内容を今更読んで理解してこんなにいい話だったと思うと私は馬鹿だなと思った笑

  • 今回も一気読みである。
    基本、解説は最後に読むのだが...これも最後に読んだけれど
    最初に読んでから小説を読み進めたほうがよかったかな?と思ってしまう。
    「奥野健男」氏
    彼の解説を読むのが楽しみになっていた。
    彼の「太宰の著作」もあるようなので、太宰を全部読み終わったら読んで見たいと思う。

    今回は短編ごとに感想を書いてみた...。

    『ダス・ゲマイネ』
    冒頭の太文字で描かれる「当時、私には1日1日が晩年であった」から始まる。
    東京大学に在学中の主人公(佐野次郎)が、甘酒やで音大の馬場と出会う。
    馬場が世界の文壇をあっと言わせる雑誌を作ろうと持ちかけ
    そこに小説家太宰が現れる///
    この雑誌の話は馬場のいとこの佐竹の出現によっておじゃんになる...
    主人公の佐野二郎は「いったい自分はだれだろう」と思う。
    そして考え「私は私の影を盗まれた」と知る。
    そして
    電車にはねられて死ぬ...
    人は希望、目的がないと生きられないのか、死の方へ引っ張られるのか?そんなことを考えさせられた。

    『満願』
    美しい清潔感のある人妻が知り合いの病院に通っている。
    何かを止められている...
    そしてある日、美しい人妻が晴れ晴れとして歩いている姿を見かける...願いが叶ったことがその姿から分かる。
    美しい短編だと思う。
    人間の営み、その美しさを感じた。

    考察//
    きっと婦人科系の病気だったのだろうか?
    そして夫との性交渉を止められていたのではないか?
    そしてお許しが出て晴れ晴れとする...
    そんな一瞬を切り取ったもの...と感じる。
    違うかな??

    『富嶽百景』
    御坂峠の茶店に滞在している時の出来事...絵に描いたようなその富士を通して語られている。
    私が一番好きだったところは...
    -それからは気をつけた-
    から始まる箇所。
    店番として一人残された茶店の年頃の娘が洗濯物を干しながら背後に人の気配を感じてベソをかき、その心情を察して
    「それからは気をつけた」と始まる文章...
    優しく、知識人でスマートで...この娘の心情を汲み取れる...
    そんな筆者が好きだ。

    『女生徒』
    大人になり始める、こうして悩むことで大人になる...そんな女子生徒のある日常を1日切り取って心情を事細かにそして隠し立てなく描かれている。
    ふっと納得の笑みを浮かべて読み進む。引き込まれる...
    太宰は女生徒にもなれるのか????

    こんな記事を見つけた。
    太宰治のファンの女性(有明淑[とし])の日記を元にした作品...のようである。

    https://gendai.media/articles/-/104992?imp=0

    それでも
    この文章はやっぱり太宰のものだと思うのであった。

    『駆込み訴え』
    キリスト教、イエスとユダの話...
    12人の使徒のユダはキリストを裏切ったされており、その理由は謎となっているが...(インターネット情報)

    太宰がその理由をここに書いたように感じる。
    キリストを敬愛しているユダ。
    田舎の娘に、香油を浴びせられ、その香油を拭き取る貧しい娘へのまなざし...
    ユダはキリストのこのまなざしで、娘に恋心を抱いたことを感じ取る...ジェラシー、キリストを愛するばかり...ジェラシーがユダをこうさせたのだ...
    腑に落ちた。

    『走れメロス』
    一気読みです。そして涙が出そうになります。
    信じること、信じ合えること...
    「私は信頼されている。私は信頼されている。」
    「走るのだ。信じられているから走るのだ。」...

    子供の頃に読んだ記憶がある...
    その時よりも新鮮で心洗われる気持ちで読む...。

    古伝説とシルレルの詩からとあり調べてみる...
    シルレルはフリードリヒ・シラーで『人質』を書いており
    この『人質』がヒュギタスの『ギリシャ神話』に基づいて書かれたとある。

    ヒュギタスは
    ローマ期にラテン語でギリシャ神話を紹介するためのガイドブックとしてこの神話集をまとめたとされている。
    エピソード257番
    ↓こちらからの情報
    https://irenekitakami.com/2016/03/05/「走れメロス」はギリシャ神話から生まれた!/

    『東京八景』
    冒頭のタイトルの横の括弧がきに(苦難の或人に贈る)とあった。ずっと気になって読み進み最後の行で納得する。「旅立ってからもう十日もたつけれど、まだ、あの温泉宿にいるようである。」
    この最後の行で言わんとすることは??
    太宰は「東京八景」という構想を思いつきそれを形にしようと旅に出たが...
    伊豆旅館やどで結局のところ構想をまとめることができなかったのではないか?...
    仕方なく、その構想の断片を時系列に書いたものではないかと思われる。
    小石川の大先輩S氏を訪れ上野で遊んだ後に東京八景の計画を伝えている...
    伝えたからには何がなんでも形にせねば...の気持ちが働いたのでは?と...最後の行を読んで一人妄想してしまった次第である。
    太宰治...言ったからには形にせねば...ということか、なんか見栄っ張りというか、なんというか??これも性格の一つなのかな?...というか...やっぱり常に「死」がそばにあったのか?謎...

    『帰去来』
    太宰...裕福な家で大事に育てられたのだろう...
    素直な文章を読んでいるとそのようなことを感じてしまう。
    十分大人であるはずなのに、素直な少年のような心を感じてしまう。北さん中畑さん、自分を守ってくれる人をちゃんと知っている。育ちのいいご子息...自分の環境を認識しているもののプライドというか...
    やはり育ちの良さなのだろうか?
    太宰...
    出来損ないのご子息...
    どこを切っても育ちの良さが垣間見えて隠しきれない...
    太宰...憎めない人...

    『故郷』
    母親の重篤...を機に生まれ育った家に嫁と娘を連れて帰る...
    母親の危篤...が太宰の兄弟、姉との歪みや隙間を埋めてくれるのだろうか?
    最後の一行...その先の結末は...
    身内の死は今まで繋いでいたものを引き離したり、離れていたものを近づけたり...

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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