少女葬 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.82
  • (50)
  • (86)
  • (67)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 1032
感想 : 76
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101012810

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • きちんと自分の力で生きていく大切さを感じた。それは大変なことだけど、簡単な方へと流れていってしまうとあっという間に落ちていってしまうね。

  • 眞実といい淳平といい、一緒に過ごす(連む)人の違いによって、綾希とはこうまで差が出てしまうものなのか。
    けれど自分が弱っている時に仲間扱いしてもらえたら、たとえ間違っていると気づいても、居場所を失うのが怖くてなかなか認められないし離れられないと思った。
    他人事ではないとも思う。

    終盤、実はレストランで綾希と眞実の2人がすれ違っていたのが切なかった。
    海里から「一番の親友は誰?」と聞かれて、普段一緒にいた海里ではなく綾希の名前を挙げた眞実。
    最後は幸せになってほしかった。
    リカも最終的には上手く海里に取り入っていたけれど、あのままいったら結局は眞実と同じ道を辿ることになっていたんだろうな。

  • 低所得者や訳ありの方が入居される格安シェアハウスのグリーンヴィラに住む2人の少女の運命を描いた悲劇。他にもヤンキー女、闇落ち女、お母さんと呼ばれる不気味な女など多彩な女性が登場してくるが特にヤバイのが失踪した少女を探しにきた母親。一見娘の為と思わせつつ自己中心的で犯罪者でないが心の闇が深い人物として描写されている。
    自分もかつて全寮制の酷い施設で暮らしていた経験があるためか内情は理解しやすかった。
    後半につれて対比的になる描写が一層痛々しくなる。

  • 怖かった。眞美はただのバカだなぁ、危ないってわかるだろうに。
    とは思うが、もし自分がこのような立場になったら?と想像してみる。

    親の元へ帰れなくて、バイトもできない。友達もいない。
    居場所は劣悪なシェアハウスのみ。
    そこに憧れの生活をしている子が自分を気に入ってくれたとしたらついて行ってしまうかもしれない。
    逆に綾希の判断と幸運(偶然喫茶店にたどり着いたところ)は稀なのかもしれない。

    そしていったんそこまで落ちた子は上がるのも難しいと知った。綾希は間一髪逃げられたが、何度か危ない箇所はあった。
    読んでいるうち実はリンチされたのが綾希ではないかと思うくらい二人は紙一重だった。

    今私は生後一か月の息子がいる。
    今後、息子が離れて行っても私と旦那で帰る場所を常に作っておきたい。それを利用するしないは息子に任せるけど。

  • 虐待やネグレクトなどの被害者である少年少女たち
    そこまではなくても
    親とうまくやれない子どもたちは多い

    彼らの居場所はどこなのか
    どこに逃げたら助かるのか

    間違ったところに逃げ込んでしまった子どもたちの行く末の物語だった

    そういった子どもたちを食い物にする大人
    彼らもまた
    かつてはそういう子どもだったのだろう

    綾希と眞実
    二人の少女は
    初めはほんの少しだけ違う方向に踏み出しただけなのに
    あんなにも正反対の結末をむかえた

    環境が教育がいかに大切なのか
    女の子にとっては特に
    付き合う相手がどれだけの影響を与えるか
    若ければ若いほど左右される

    若者よ、悪と戦える知識と経済力を!

  • 人はどこまでも残酷にも優しくもなれると、この1冊でその両面が全て描かれている。道を踏み外しても戻れるか、それとも地獄に一直線か、その差はどこでできるのだろう。

  • 結局は《運》なのだ。

    彼女が生き延びたのも
    彼女があんな目に遭ったのも
    「彼女だから」というわけではなく

    誰と出会ったか
    どんな言葉を吐いたか
    神様はいたのか

    そう、全ては運なのだ。


    どちらがどちらの道に行ってもおかしくなかった。


    私が今、こうして暖かい部屋の中で
    本を読んでいられるのも《運》が良かったから。


    それを噛み締めて、生きていかなければならない

  • 社会派小説?なのかな…あまり読んだことないタイプだったので初めは読み進めるのに苦労しましたが、後半からはノンストップ。苦境から自力で抜け出して普通の幸せを手に入れた主人公と、目先の贅沢や楽しみに飛びついた結果残酷な最期を迎える友達の対比が上手い。ところどころご都合主義というか、そんな上手くいく?という点が特に主人公側にあったけど、それもこの落差を目立たせるためと捉えることもできるかな…
    何より怖いのはこの話に出てくるようなビジネスが実際に行われているということだと思った。弱者につけ入る大人はいなくなって欲しい。

  • えぐい。おもしろくはない。
    けど、すごい続き気になってしまった。めっちゃ一気読み。
    上下のない人間になりたい。

  • 貧困ビジネスに食い物にされる若者を描いている。行き場のなくなった人たちが集まるシェアハウスで出会った綾希、リカ、眞実の3人のそれぞれの顛末が読んでいて辛い。冒頭でリンチ殺人の描写があり、そこに至るまでの経緯が物語として進められるが読んでいて辛い部分が多い。最後は綾希の初めて知る幸せの描写と眞実のリンチされている描写が交互に出てきて、その対比で余計に凄惨さがよりひどく感じられる。

全76件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

櫛木理宇の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宇佐見りん
今村 昌弘
塩田 武士
村田 沙耶香
辻村 深月
夕木 春央
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×