- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101030050
感想・レビュー・書評
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白樺派の作品は初めて読んだかもしれない。残念ながら、あまり好きではなかった。
志賀直哉氏の洗練された、クリアな文体には、谷崎潤一郎氏のような作家とは異なる独特な価値があると思う。しかし、道徳的な、あまりに道徳的な内容には辟易した。
筋の道徳性が作品そのものの芸術的価値を高めるということはない。しかし、「貴族的」で「潔癖」で、「立派」なこの作品では、そこを履き違えたのか、無神経にも自身の道徳性を開陳しているではないか。本質的にはインスタ映えを求める、承認欲求の高い若者と何の違いがあろうか。 -
意外と刺さらず。主題が捉えにくかった。自分は風景描写にあまり興味がないんだなと気づいた。時間を置いて読み直す。
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簡単な言葉を使っているためにさらりと読めてしまうが、ゆっくりと二度三度読むと文章の豊かさに驚かされる。特に情景や生命の描写では、視覚的な様子だけでなく冷やかな空気までもが伝わってくる。
個人的には、さっぱりとして気持ちがいいストーリーの「赤西蠣太」や「小僧の神様」が気に入った。不倫の話は読んでいて辛かった。 -
『NHK私の1冊日本の100冊 感動がとまらない1冊編』(https://booklog.jp/item/1/4056057419)にて小山薫堂さんが紹介していた『小僧の神様』が読んでみたくて気になって手に取りました。
ついでに『志賀直哉の短編小説を読み直す』(https://booklog.jp/users/rebi/archives/1/4780311306)で紹介されている作品も読んでますが、それ以外の作品は特に読んでいないです。
読んだ中で印象に残っている作品を挙げるとすれば『城の崎にて』ですかね。
上述の文学講座とセットで読んでいたからこそ面白かったですが、エンタメを期待するなら世の中にはもっと面白い作品があるよねという感想です。 -
「城の崎にて」「赤西蠣太」「流行感冒」「小僧の神様」「転生」「濠端の住まい」が好きかな。
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◆城の崎にて…事故で死から逃れ、普段当然と傲慢にも思ってる事柄が、急に違って見える。木の葉の揺れの箇所、チャネリングが、ハッキリ違う点である。しかし、その後、呆気ないほどに無常のなんたるかがイモリの死でもたらされる。小津的といえるか?
◆好人物の夫婦…これもハッキリは書かれていないが、子のない妻の嫉妬と必死を夫は気付かずにいる様子を描いているように感じる。主題が隠してあると思われる。
◆赤西蠣太…これは映画人に創作意欲を掻き立てただけあって、快活でキャラクターは生き生きしている。 日本版シラノドベルジュラックのようだ。志賀直哉が、時代小説をどのように書いたか知らないが、現代小説よりもいいのではないかと思ってしまう。
◆流行感染…文章力の巧さをあえて差し引くことで、男の一人称の語り部にキャラクターが出る。志賀直哉は、男を馬鹿にしてる感じがある。石はADHDだと思う。
◆小僧の神様…軽妙、ペーソス、舞台のよう、入れ替わる小僧と議員Aの視点、特権階級と丁稚奉公の階級格差、寓話ではないと照れるラスト。
志賀直哉は、皮肉屋ではない。優しい人で、偽善的ではないだけだ。
偽善的ではない、ということで充分なのだ。
最近のクリエイティブは、あんまりにも斬新さ残忍さを求めすぎる。
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全編所々フェミニズムを感じる。 -
城崎温泉でどうしても読みたくて。
やや古文調というか、現代語とは違うのですんなり入ってこない。
表現は回りくどくないのでそういう意味では読み取りやすい。
そういえば泉鏡花も途中でダウンしたな〜と思い出した。
肝心の中身もそんなに良いとは思わなかった。
城崎温泉を実際に目で見て感じながらこの本を読めたのは嬉しかったけど。
湊かなえの『城崎へかえる』も読んで、こちらは気に入った。
4/23追記
好人物の夫婦を読見返して評価が変わった。
この話面白いぞ!旅行について押し問答をするときの細君がかわいい。
星3に上げとく。