ラビット病 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036144

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛ってのはブライベイトなことなんだっ
    今日はよく眠れそう。。。ねる

  • 甘くてかわいいカップルのお話、というかわがまま彼女と泣き虫彼氏のとびきりハッピーなラブストーリー。読んでてストレスがたまらないし、ラブコメ読んでるなぁ!の気持ちになれて幸福度が高いので、疲労がたまったときなんかに読み返しています。あと読むと餃子が食べたくなる。
    基本的に一話完結の短編集で、一話一話が短めだから肩の力を抜いて読める。もちろん、ちゃんと全部繋がってはいるんだけど。なんていうのかな、友達カップルののろけを見せてもらってる気分です。コミカルで、軽い。活字苦手な人でもさらさら読めそうなイメージがあります。

    彼女のゆりちゃんが破天荒な女の子で、いただきもののすあまを彼氏・ロバちゃんとの養子にしようと言ったり、ロバちゃんのことが好きすぎて心の警報機が鳴ってしまったり、やることなすことむちゃくちゃで。でもそれをロバちゃんの大きな愛が包み込む、みたいな話が続きます。

    >「私は、ロバちゃんのこと、すっごく愛してるんだ。いつでも一緒にいたいと思ってる。でも、世の中ってままならないから、いっときも離れずにいるってシチュエイションを作るのって難しいじゃない。時々は、ロバちゃんと離ればなれにならなきゃなんない。でもさ、私の心はロバちゃんを求めてる。会いたいのに、私からロバちゃんを引き剥がす何かが存在してる。その不条理を感じた時に、警報器は鳴り響くわけよ。どう?すごいでしょ」
    得意げなゆりちゃんがかわいい。お互いがお互いを大好きで、それを力いっぱい表現しているから読者も暗くならなくて済む。

    ゆりちゃんは天涯孤独のお金持ちで、ロバちゃんは彼女に惚れている。この二人の掛け合いでめちゃくちゃ印象的なのが、ゆりちゃんが「自身がお金持ちである」ということを告白した際、ロバちゃんが「ぼくは、きみがお金持ちだって気にしないよ。それが、何だって言うんだ。きみの人間性にかわりなんかないよ」とちゃんと伝えてくれるシーン。すごくないですか?きみの本質が好きだから、お金なんてあってもかまわない、みたいな、ふつうはそのほうがいいだろうと価値を置いてしまいそうなところをマイナスのように表現しながらデカイ愛で包み込む。わたしはそういうのが好きです。
    話のクライマックス、二人が結婚する章はいままでのコミカルさとちょっと違って、甘い気持ちだけじゃなくて大きな優しさ、とびきりの愛が感じられて読むたび泣いちゃいます。

    こんなやりとりがあります。

    「ぼくが、優しくするのは息苦しいの?」
    「……」
    「でも僕は止めないよ。きみは、暖かい気持ちに慣れていないんだ。それは不幸なことでもあり、幸福なことでもあると思う」
    「なんで幸福なの?」
    「だって、これから、人よりもずっと幸福を味わえるじゃないか。まるで腹をすかせた子供が、おいしいものにむしゃぶり付くみたいに、幸福を味わえるじゃないか。素晴らしいことだよ。多くの人は、幸福に慣れると、それが、どんなに美味なものであったかを忘れてしまう。でも、ゆりちゃんは、違う。やはり、ぼくは、素晴らしい女性を選んだんだ」

    いやこんなん言われたら泣きませんか?泣いちゃった……
    優しさに慣れていない子に、「きみを幸せにしたい」や「きみを守りたい」ではなくて、彼女のその状況すら前向きにとらえたうえでさらに自分の愛を与える。その性質すらきみは素晴らしいと言い換えてしまう。
    ロバちゃんが本当に本当に聖人君子で、ひたすらに優しくて、この二人はこれからもずっと幸せに生きていくんだろうなぁと確信させてくれる。見ていて幸福な気持ちになります。
    愛に触れたい時、是非。

  • うさぎのようなゆりちゃんとロバちゃんの2人。
    共感やばかった

  • ロバートとゆりちゃんとの関係性に憧れます。

  • 恋人どうしであるゆりとロバートの二人の日常をつづったラブコメふうの作品です。

    ゆりのわがままに振りまわされながらも、彼女のことがいとおしくてたまらないロバートと、ロバートに対する自分の気持ちがどんなに深いものであるかということに気づいて戸惑いすねてしまうゆりのバカップルぶりが可愛らしくえがかれています。

    日本人女性と黒人男性のカップルが登場するという点では、著者の多くの恋愛小説と共通していますが、本作はいかにも「文学」らしい装いを捨てて、ひたすらゆるくて甘いラブ・ストーリーになっています。

  • 平和なはなし。のんびりぼーっと読む話。
    そんなにハラハラドキドキでは無いので、まったりゆったりしたいときのお話かな。

  • ゆりちゃんの動物的な愛情表現に結構ぎょっとしてしまう。
    餃子、耳と呼ぶのいいな。シュウマイはおへそ。
    終始、ゆりちゃんがロバちゃんのことを、こんなに大切に思ってたんだ!と様々なエピソードを経て気づき続けている、という印象だった。
    双子なほどの大切な人とめぐり合ったら幸せなんだろうか。

  • きゅんきゅんしてた。

  • 2冊目の読書ノート 1993/9/5~2005/4/30に記載

  • 好き

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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