- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050089
感想・レビュー・書評
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再読。金閣を焼かねばならぬーー学僧が火を放った。長年、その美しさに魅了され、幾度となく夢想し、執着すらしていた金閣寺。主人公の溝口が金閣寺を愛し、そして憎み、燃やすに至るまでの告白文は何処までも精緻で圧巻。金閣寺の描写が美しければ美しい程、溝口の醜悪な内面が際立つように感じる。青年期特有の、誰からも理解されたくないと言う自意識、生への嫌悪、悪徳への抗いたい誘惑、性への目覚め。金閣寺を焼くことは彼が裡に抱えていたあらゆる鬱屈の浄化であり、またこれまでの己との決別のための葬送であったのかもしれない。
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1950/7/2の金閣寺放火事件の犯人、寺の青年の心情を描いた、三島の分析。
自分は特別な存在であり、他と同一に扱われるのを嫌う柏木との出会いから、青年の心に、美への嫉妬、生とは何か、、、
もう一度読もう -
ああ、意味わかんないけど綺麗だな、言葉って綺麗だなと思わされる。全く読み易くはないんだけど、心に爪痕が残る。初めて目の当たりにした日本語の力強さに、ただただ感嘆。
彼に共感した部分が多かった。
憧れ=コンプレックスを感じるものだし、それに惑わされるのも、焼き払いたくなるのも。
綺麗に心を描いた作品と感じた。
表現が非凡だが彼自身は普通の男の子、たまたま憧れが金閣寺だった。そのほんの少しの違いが、狂気に満ちた害児にも見えるし、孤高の天才にも見える。表現って無限。
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金閣寺を美しく描写した表現に驚いた。日本語ってこんなにも美しいのかと。しかし、内容は人間の生々しさを如実に表している。男と柏木の最初のやりとりは、殊更それを感じた。
男が金閣寺を燃やす前も金閣寺の美を感じた。池に映る金閣寺と燃やす前の心情が対比されているのか。
行為が世界を変えるか。
認識が世界を変えるか。
これはいろいろと考えさせられた文章。 -
美の象徴、金閣寺に狂気の妄想と現実を重ね合わせつつ、我が幸福を追求する主人公。一言一句が重く独特。あらゆる無茶苦茶な思考も論理が通っていて、納得してしまう。風景×心理描写も超秀逸。初・三島由紀夫、ただただ圧倒されました!
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難しかった。ぐるぐるぐるぐる自分で考えて破滅へ進んでいくのは分かった。滅ぶとき、美しさが最骨頂になるというのは少しだけわかるような気がする。いつかわかるときが来るんだろうか??
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1日かけて読み終えたんだけど、
その記憶は一瞬なんだよね
文学も音楽も同じで終わりがあるものはその最中が一番美しい
金閣寺で主人公は思い描いてる金閣寺はとんでもなく美しいんだけど、実際目で見てみたらそこまで美しくない
それは金閣寺に終わりがないから
例えば旅行先ってのもこれに近くて
遠足の前の日すんごい楽しみにしてるのにその場に立ってみるとそこまででもない
でも帰ったら楽しかったなぁ ってなるじゃん?
それはその旅行先っての自体には終わりがないからであるわけよ
じゃあどうする?、金閣寺燃やすか
って話
その2つの美、
それの最中が最も美しい美
それの最中以外が最も美しい美
どちらが真実の美なのかっていう葛藤のお話しで答えが出るわけじゃないんだけどね
でも思うのはこの金閣寺をはじめとする
文学、そして映画ってのは
たしかにこんな文豪のは、文が力強くて綺麗で読んでる最中が1番快いかもだけど
終わった後にもどんどんその快さが広がってってくれる最高の文化だよ、
映画もそうで終わってからじわじわ考えていくうちにどんどん好きになって
あー最高だ…ってなるよね
でも音楽に関してはもしかしたら
その最中だけなのかもしれない
それが劣勢って言ってるわけではないけどね
その終わりがあるからこそ、その最中の美がさらに輝く みたいな?
そんないろんな意味での美術を楽しめることへの感謝を確認させてくれた三島由紀夫に感謝だなぁwww -
人生で一番美しかった本
20歳頃、大学生の時に読みました。
コンプレックスは誰もが抱えているが、そのコンプレックス対する認識を200ページ以上、一冊とおしてストーリー仕立てで書いている本
主人公の場合は、美への強烈なコンプレックス
ただそれだけの話なのに、日本語が美しすぎるので、一冊書けてしまうし、芸術そのものといった本になっている
すごすぎる
私自身は屈折気味ではあるけれども、金閣寺を燃やすほど屈折した人間じゃないのに、主人公に対して徐々に徐々に深く理解・共感できてしまったのが怖かったです。
同時に、それが三島由紀夫の日本語の凄さだと感動しました。
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初めて読んだ三島作品です。
当時中学生、本の虫でしたがいわゆる文学作品とされているような本はほとんど読んでおらず…
そんなに読解力があったわけでもなく、全くもって理解できずという感じでした。
が、最後の金閣が炎上する場面でまるで目の前で見ているかのように頭の中でありありと光景が浮かんで来る感覚。
初めての体験でその何とも言えない不思議さと感動は今でも鮮明に覚えています。