放浪記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101061016

感想・レビュー・書評

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  • 映画は見たことがあり、読む本もなくなったので
    読んでみるかと読む。この捨てっぱちな主人公の
    文章が映画の中の高峰秀子さんそのままで高峰さんを
    想像しながらずんずん読みすすめた。
    当時の貧乏がどれほどの貧乏か、食うや食わずの大変さ
    などをひしひしと感じながら読む。今の時代は貧困もあるけど
    当時と比べればいかに幸せな時代かと思う。
    主人公の気取らないその日暮らしの文章が本当に面白かった。

  • 貧乏はキツイ。

  • 風呂敷包み一つを持って帝都東京を女中、カフェーの女給、女事務員、下女等々の職を渡り歩き、木賃宿で、借間で、童話や詩を書いて新聞社や雑誌社へ持ち込み売る生活。逞しくポジティヴに生活しているが、空からお金が降ってこないかと思い、お金がないと糠をお湯に溶いたものを飲んで空腹を紛らす。一人の寂しさから男と同棲もするが、二人になればもっと辛いと世の中をはかなみ、ついカルモチン一箱買って見るも死なない。林芙美子20歳から25歳までの生き様。この本の中の市井の人の優しさ、心遣いは今の時代はもう失われてしまったものだ。

  • 少し『まんが道』を思い出す。
    夜。

  • 上京してきた時にこればっか読んでた。

  • 256夜

  • 大女優が連続出演記録を更新する名作として知られていますがよく知らなかったし、桐野夏生が林芙美子を描いた?「ナニカアル」を出版してるのでその予習としても、ぜひ読んでおかなければ、と。まさにその日暮らし。とにかく貧しい暮らしの連続。それを延々と書いている。貧しさもここまでくると家族まとまって暮らす家などはなく、主な寝床は木賃宿。親は何か安いものを買い付けてきては露天で売るような商売ばかり。行き詰ればまた別の土地へ行って同じ事をする。だめだと子どもにも金の無心をする。子供だった芙美子は重たい荷物を背負って母と行商をする。成長して一人東京に出てからもすこしでもお金ができたら親に送りたい一心で働く。女ひとり働ける仕事はカフェーの女給。ウエイトレスではなく、女給さんはいまでいうホステスさんみたいな仕事。お客に飲ませて自分も飲んで店の売り上げに貢献する仕事。本当は詩を書いて詩集を出したい、いつか書く仕事で生活できるようになりたいのだけどとにかくいつでも空腹。空腹で薄汚れていて、読んでいてしんどい場面もあるが、やはり後年人気作家になったことを知って読んでいるからか、いつかは成功するから、とどこか安心もしていた。でも成功した場面はほとんど出てこないです。貧しくても生き抜く強さや、悪態をつきながらも素晴らしい詩を書くことができたのは、働きながら自力で出た女学校で学んだことや知識欲が力になっているのか。お金がなくても本を買い貪欲に読書しているのがすごい。日記(雑記)なので登場人物の詳しい説明はないし関連性もわかりにくいが、とにかくこうやって生きていたんだなということは伝わってくる本。

  • 女の子の気持ちがいっぱい詰まってて、共感する。何度読んでも良い。大好きな本。

  • 浦野所有。

    花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かりき――
    『放浪記』を読んで、この言葉の真意が少しは分かったかな…?

    青々とした力強さに満ち、極貧生活のなかでも夢を捨てることのなかった一女性の生きざまが、凄まじい力をもって迫ってきます。

    いますぐ地球が爆発しないかと期待したり、裸で町中を歩いたらおもしろいだろうと想像したり、パリまでの徒歩旅行を妄想したり。
    文筆業を目指しながら、その日の夕食費さえままならない貧しさ。女給、工女、そして時には会社員と、職を転々としながらも、「働くということを辛いと思ったことは一度もない」。

    労働と生活は別物なのでしょうか。芙美子は労働に悲観することはなくても、やたらと生活や人生に悲観しています。
    「生きることがこんなにむずかしいものならば、いっそ乞食にでもなって、いろんな土地土地を放浪して歩いたらおもしろいだろうと思う」。

    芙美子は貧しさを引きずりながら各地を放浪し、独自の目線で風物を描き出しています。なかでも少女時代をすごした尾道へ戻る一節はあまりにも有名。
    「海が見えた。海が見える。五年振りに見る、尾道の海はなつかしい」。

    これっぽっちの短いフレーズなのに、これを読んだだけで、尾道へ行きたいと思わずにはいられなくなってししまいます。

    「一文にもならない。活字にもならない。そのくせ、何かをモウレツに書きたい。心がその為にはじける。毎日火事をかかえて歩いているようなものだ」。

    たとえ回り道をしようが、立ち止まろうが、夢は見つづけなければいけませんね。林芙美子こそ「楽観的マイナス思考」の体現者ではないでしょうか。

  • 著者の自伝

    荒んだ生活。男運が無く、職が無く、金もなく、あるのは若さだけ。あてのない生活で自棄になっている描写が続くので、読んでいてやや疲れる。でも何としてでも生き抜こうとする、タフな人間だと思う。綺麗に取り繕うことのない、人間臭い自伝だった。
    先頃読んだ「人間の運命」にも林芙美子が登場していた。あそこにいくまでには、こんな苦しい生活があったんだな

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著者プロフィール

1903(明治36)年生まれ、1951(昭和26)年6月28日没。
詩集『蒼馬を見たり』(南宋書院、1929年)、『放浪記』『続放浪記』(改造社、1930年)など、生前の単行本170冊。

「2021年 『新選 林芙美子童話集 第3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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