小泉八雲集 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101094014

感想・レビュー・書評

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  • 怪談が有名な著者だけど、日本人観・日本文化観は日本人として頷けるところが多かった。
    悲しいこと、辛いことがあっても、他人にはつとめて笑って見せるその何とない仕草。
    急速に変わっていく現代でもみられるこの仕草、八雲が指摘しているような、文化や価値観、日本人の根底から根付いた反応。
    これが廃れるのは、おそらくもっと先だろう。

  • 何度読み返しても素晴らしい。上田和夫の訳も好きだ。「影」「日本雑記」「怪談」などの短編集から選ばれた作品集である。英国人だった八雲は妻の節子から怪談話を聞き、それを英文の本にまとめた。その意味で彼は小説家ではなく翻訳家であって、ほとんどの話に出典があり、他の作家も文章に書き起こしているものも多い。有名な「耳なし芳一の話」も元ネタはあるが、似た話は西日本に多く残る昔話で柳田國男は徳島の「耳切り団一」の話を書いていた。私が好きな話は、未完で終わるが故に謎と恐怖が最高潮のままで余韻を残す「茶碗の中」と微笑む日本人の謎について語るエッセイ「日本人の微笑」でしょうか。

  • 古き良き日本を記録した八雲の業績の素晴らしさを実感した。江戸の人々は狐狸妖怪と隣り合って生きていた。そして、八百万の神々とも生きていた。前半は、不可思議な出来事に畏敬の念を抱いて語り継がれた話。有名な「耳なし芳一」が八雲によって保存されたことを再認識した。『日本人の微笑』の中で引用された鳥尾子爵の論文は、今の日本人に忘れられた、日本人のあるべき姿のような気がしてならない。編集の妙もあろう。結びの『焼津にて』は、八雲の言わんとしていることが凝縮されていたように感じた。機会を作って八雲の作品を読もうと思う。

  • 小泉八雲の怪談・奇談、日本観察及び日本文化に関する作品を集めた48の短編集。シンプルで読みやすい。静謐とした恐怖、日本文化に関する深い造詣と思慕が伝わってきます。当時の東大生、八雲に教えてもらえたんだよねー・・そしてその後任が夏目漱石。うらやましすぎる、当時の東大生。

  • 知ってる知ってる
    この怪談

    映画「怪談」の原作だったのか。

    浅田次郎のエッセイに

    海外旅行で読むべき本は小泉八雲の本

    とあったので読んでみた。

    理由は忘れたけど、なんとなくわかるような気がした。
    昔の日本人が持っていた
    男女の愛の深さや
    執念、因果、精神的な強さなどが表現された短編。
    現代の日本人には理解できないだろうな

  • 和解 京都
    衝立の女
    死骸にまたがる男 大宿直村(おおとのい)
    弁天の同情 京都 大通寺
    鮫人の恩返し 近江の国石山寺 瀬田の長橋 三井寺
    守られた約束 播磨の国加古の村 富田城
    破られた約束 
    果心居士のはなし 信長 清水寺 近江八景
    梅津忠兵衛のはなし 出羽の国横手
    漂流 焼津新屋地区 紀州の九鬼 荒坂 金毘羅さま 小川の地蔵さま
    骨董 伯耆の国黒坂村 幽霊滝
    茶碗の中 江戸本郷の白山
    常識 愛宕山
    生霊 江戸の霊岸島
    死霊 越前の国
    おかめのはなし 土佐の国 名越
    蝿のはなし 京都島原街道寺町通
    雉のはなし 尾州の国遠山の里
    忠五郎のはなし 江戸の小石川
    土地の風習 九州

    草ひばり こおろぎ
    耳なし芳一のはなし 下関海峡 赤間が関
    おしどり 陸奥の国田村の郷 赤沼
    お貞のはなし 越後の国新潟の町 伊香保
    乳母ざくら 伊予の国温泉郡の朝美村 西芳寺
    かけひき
    食人鬼 美濃の国
    むじな 東京の赤坂通り紀ノ国坂
    ろくろ首 甲斐の国 信濃の諏訪
    葬られた秘密 丹波の国
    雪おんな 武蔵の国
    青柳のはなし 越前の国
    十六ざくら 伊予の国和気郡
    安芸之助の夢 大和国の十市
    力ばか
    鏡の乙女 南伊勢の大河内明神 信州の鳥井の池
    弘法大師の書 高雄山 五台山 美福門 皇嘉門
    心中 灘町 妙興寺
    日本人の微笑
    赤い婚礼
    停車場にて 福岡相撲町 熊本
    門づけ
    ハル
    きみ子
    人形の墓
    悪因縁 江戸牛込 新幡随院の墓地
    因果ばなし
    焼津にて

  • 2018/04/30 読了。

  • 子供の頃に聞いた怪談がたくさん載っていて懐かしい。寝る前とかに気に入った話だけ再読したいと思わせる本。

  • ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が見聞した話や体験談などが収録されている。『影』『日本雑記』『骨董』『怪談』などの本から抜粋された短編集となっており、それぞれ全ての短編を収録しているわけではないということが残念だ。外国人の視点から日本人の生活・風俗や宗教観を捉えて紹介しているという点で、現代の日本人にとっても有難い内容だ。彼が警鐘した日本の近代化の代償として、現代人の私はこの手助けがないと古代の日本を理解できなくなっている事実に情けなさも感じるが、自国のことだから読めばスッと感覚的に理解ができる。「古い風習は急速に滅びつつある」と明治の時代に書かれており、現代に残っている風習の希少さ・根深さに気付かされる。大切にしていかなければ。

  • こわすぎぶるぶるなつにぴったり
    恐いのがすきなひとにはオススメ
    ぼくはとてもこわいのがきらいです

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著者プロフィール

(1850年-1904年)ギリシア生まれ。作家。ラフカディオ=ハーン。1869年アメリカへ渡り、新聞記者に。ハーパー社の通信員として、1890年4月4日来日。島根県松江尋常中学校へ英語教師として赴任。1890年12月、小泉節子と結婚、日本に帰化し、小泉八雲と名をあらためた。節子夫人から聞く日本につたわる話を集め、工夫をこらして物語にし、『Kotto(骨董)』『kwaidan(怪談)』などの本にまとめた。

「2008年 『耳なし芳一・雪女 新装版-八雲 怪談傑作集-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小泉八雲の作品

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