草の花 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101115016

感想・レビュー・書評

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  • <…僕等を囲んで、天もなく海もなく、場所もなく時間もなかった。風が吹こうと波が荒れようと、この夜は永遠であり、この愛は永遠だった。もう不安もなく絶望もなかった。p.169>

  • 小学生の時に初めて読んだ記憶。最初の聖書の引用から刺さった。ピュアな、でも生きるのには真面目過ぎるとしんどいね。

  • この本を読んだ前後に、ある13人の集まりにおいて、全員の意見が出ず、私と他数名の意見で物事が進んでいくということが起きており、そのことが気になっていた。
    小説は、非常に親密な関係や、あるひとりを掘り下げていくものが多い。
    私は、その集まりのあまり声を上げない人の思いが知りたい。
    まぁ小説でも、学校のクラス、家族という集団を扱ったものがあるなぁ。


    褥(しとね)
    座るときや寝るときに下に敷く物。しきもの。

    艪(ろ)
    和船をこぎ進める用具の一。

    舳(へさき)
    船の先端部。

    艫(とも)
    船の後部。

  • 四国巡礼に向かうフェリーの中で読んだ本。
    いつかもう一度読んで、感想をまとめたい。

  •  汐見の考えはわかるようでわからんが、彼は多くの人に確かに気にかけられ愛されていたと思う。それらが目に写ってなかったけど。自分のうちではなく、外に目を向ければひとりではないことに気付けたんではなかろうか。読むうちにやるせなせくなる。

    オリオン座の輝く冬に夜に読むと、美しい文章が、さらに身にしみる。

  • 中江有里「沙羅と万葉」にでてきたので手に取り。舞台は、語り手である詩人が、太平洋戦争後のサナトリウムで、汐見と知り合うことで始まり。そこから、汐見が太平洋戦争前後に愛した兄妹、藤木忍、藤木千枝子のことが手記の形で語られ。忍は思いを受け入れず、千枝子も一度は受け入れてくれたが結局は離れていき、忍も千枝子も俺を愛してくれなかった、俺は孤独だ、と応召し、戦場に向かう汐見。ただ、今の時代から、傍観者として見ると、汐見の愛は、そんな愛し方では受け入れられないよ、独りよがりだよ、と思えた。理知的で純粋と自らが信じ抜く理想を築き上げ、そこに相手をあてはめるような愛し方、かつ、同時に自らの孤独なる魂も大事にしたい、その熱量の高さは確かに目を見はるばかりだが、それを向けられた身としては、と。もちろん、いくつかの行き違いはあって、それがうまくかけあわされていれば、もしかしたら、と思わなくもないけど、さてどうであったろう。以下備忘録/本当の友情というものは、相手の魂が深い谷底の泉のように、その人間の内部で眠っている、その泉を見つけ出してやることだ、それを汲み取ることだ/愛することによってのみ、僕たちは地上の孤独からイデアの世界に飛翔することが出来るんだ。その中でこそ真に生きられるんだ。/このわたくしとして、この生きた、血と肉のあるわたくしとして、愛されたいと思いました。/藤木、君は僕を愛してはくれなかった。そして君の妹は、僕を愛してはくれなかった。僕は一人きりで死ぬだろう……。

  • 3.93/1976
    内容(「BOOK」データベースより)
    『研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上でめぐりあった藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹千枝子との恋にも挫折した汐見茂思。彼は、そのはかなく崩れ易い青春の墓標を、二冊のノートに記したまま、純白の雪が地上をおおった冬の日に、自殺行為にも似た手術を受けて、帰らぬ人となった。まだ熟れきらぬ孤独な魂の愛と死を、透明な時間の中に昇華させた、青春の鎮魂歌である。』

    冒頭
    『私はその百日紅の木に憑かれていた。それは寿康館と呼ばれている広い講堂の背後にある庭の中に、ひとつだけ、ぽつんと立っていた。』


    『草の花』
    著者:福永 武彦(ふくなが たけひこ)
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎320ページ

    外国語訳:
    English『Flowers of Grass』
    German『Des Grases Blumen』

  • 同性愛異性愛ともに美しい愛し方でした。現実ではあり得ないような綺麗な思想

  • 文学

  • 理智的な青年の失われた恋
    理性と本能
    エロスとアガペー
    葛藤と苦悩
    すれ違いが人生なのか
    繊細な文体が心地よい不安を呼ぶ。

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著者プロフィール

1918-79。福岡県生まれ。54年、長編『草の花』により作家としての地位を確立。『ゴーギャンの世界』で毎日出版文化賞、『死の鳥』で日本文学大賞を受賞。著書に『風土』『冥府』『廃市』『海市』他多数。

「2015年 『日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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