- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101121093
感想・レビュー・書評
-
40年以上前の作品とは信じられないような先見性に富んだ短編集である。特に表題作の「R62号の発明」は昨今盛り上がりを見せる第三次ロボット・AIブームの将来を極めてシュールに予見しているようだ。効率性を追求した結果、ロボットの一部として人間を組み込むという発想はなんともシニカルである。
本書は、各作品のみならず解説もなかなかの鋭さを持っている。無機質と有機質を等価に相互交換しながら描く安部公房の手法をとき解いており、なるほどなと思わされる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
安部公房にしては、アバンギャルド具合がそこまで高くなく、比較的読みやすい。
R62号の発明、鉛の卵は、星新一的SFの匂いを感じた。 -
単純な「SF」でもないのだけれど。
不可思議で怪しげな短編集。 -
「鉛の卵」が一番良かったかな。カフカ的迷宮と不条理を備えた短編集。当時はかなり前衛的作品だったのだろうなと思う。最後にドンと突き放される不気味さは安部公房の魅力の一つであると思う。安部公房作品時間をかけて少しずつ読破していきたい。2012/679
-
安部公房の珍しい短篇集というか、ショートショートなのだけど、解説を読むとそうでもないとのこと。たくさん短編を書いていたらしい。
表題作2作は、最後のオチがえげつない/薄気味悪いのを除いて、星新一が書きそうなショートショートSF。「R・田中一郎」もこれが元ネタだったりして。その他はちょっとした事件の話だとかなんだけど、なんとなく全てに「死」というテーマがあるように感じた。
作によって傾向が違うところがあるものの、短編ともあって読みやすい。引っかかるとすると、安部公房独特の形容詞(名刺で形容するのだ)遣いであり、そこを乗り越えるとスッと入ってくる。ただ、「砂の女」「人間そっくり」「燃えつきた地図」「方舟さくら丸」のように、1冊丸々を畳み掛けるように読む醍醐味は味わえないので、読みやすいからといって初心者向けではないように感じる。
とりあえず、作と作の間のギャップが大きくて、読んでいる時間以上に時間がかかったように感じた。わかりやすくて面白いのは間違いないですよ。 -
風刺とかそういうのが一番の魅力なんだろうけど、やっぱり登場人物が抑圧され続けるのが面白い。戦場の物理的な不快感や、自分の状況からくるどうしようもない絶望感とか、そういうのが何重にも押し潰そうとしてきて、でも何もできない。一番好きだったのは、死んだ娘が歌った…
-
重い暗い。さらに「空の怪物アグイー」と一緒に借りたのは失敗だった。
-
安部公房著。12篇収録。
割と初期に書かれたものだからなのか、いろいろな話を著者が書こうとしている気がした。
表題作の「R62号の発明」や「鉛の卵」などのSFは、それほど面白いと感じなかった。当時は新鮮だったのかもしれないが、今読むとそこまで衝撃はない。
個人的に好きだったのは、「犬」「変形の記録」「盲腸」「棒」の四つだ。どれもいかにも安部公房的な、現実的だがシュールでブラックユーモアあふれる設定、常識とされている価値観の転換、乾いた文体のグロテスクな表現、が堪能できる。そして何よりラストが秀逸だ。ストーリーとしてはこれで終わりだが主人公達にはこれから徒労に満ちた旅が待っている、といった余韻。短編小説としてはベストな終わり方だと思う。 -
【500】
3ヶ月くらい読み終わるのにかかった。
表題の二つはイメージもしやすく面白かったー。
でも時代背景とか人物背景をもうちっと知らないと分からないとこも多いんだよな…