つぶやき岩の秘密 (新潮文庫 に 2-28)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122281

感想・レビュー・書評

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  • H31.1.5 読了。

    ・S47年1月初版。謎解き、探検、冒険、お宝発見ストーリーに興奮させられること必至の作品。子供から大人になる時に一人で乗り越える力を養わせたい思いと子供に危険なことをさせたくないという思いの狭間で、大人の心の葛藤も描かれていて考えさせられた。後世に残したい作品だと思った。

  • つぶやき岩の秘密

    タイトルと読了感の開きが大きい小説。
    主人公が小学6年生の物語。
    そして海が綺麗な村の物語。
    したがって、内容も進行も心優しく、、、と思いきや、主人公が命を狙われるという穏やかではない展開に、、、。

    1.村に伝わる言いつたえ
    陸軍が敗戦とともに、金塊を村の地中に埋めたとの噂あり。
    しかし、誰もその真実の是非を知らず。
    村の歴史を遡ると、入村当時から今も存命は三名のみ。
    その三名のうちの一名が、少年に近づく。

    2.少年と海
    2歳で両親をなくして少年。
    1人で海を見る、歩く、泳ぐが好きな少年。
    ある時、絶壁の断崖に人影が、、、。
    幻か?人間か?
    少年の好奇心は、断崖を調査するという行動に。

    3.作品から
    少年の好奇心。恐れあるも、大人に相談しながら、一歩ずつ金塊の真実に近づく。

    現在も、国内で不発弾が見つかるニュースが流れる。

    小説を少年の出来事としてとらえるか?戦争とその後の世界の繋がりとしてとらえるか?
    昭和40年代に生まれた小説。50年の月日が経過した現代でも読み継がれる理由が見えてくる。

    心に落ちてくる物語は、晴れの青空のように、しみわたる。

  • 小学生高学年向けの児童文学。周りの大人の非常識な寛容さも物語ならでは。男の子の冒険心を大いに擽る。少年が大切なものが何かを感じ成長する姿を描いている。2018.4.6

  • 山岳小説家が海を舞台に書いた少年小説。
    海が舞台といっても、そこはちゃんと岸壁登攀でハーケンとかカラビナとかがちゃんと出てくる。

    メルヘンの世界、楽しみました。

  • 心あらわれる作品である。先生と児童の密接な距離感や、大人たちの子どもの成長を見守る姿勢は、現代では実現しにくいもので、教育のあるべき姿が詰まっているとも思えるからだ。こう考えるのは自分が大人だからで、子どもの時代なら紫郎少年の物事を解決したいという一途な気持ちにあこがれるだろう。

    若者として登場するのは主人公と、小林先生、そして彼女の弟だけである。みんなゆらぎのない心を持っていて、とても大人びている。言葉遣いが丁寧なので余計にそう感じるのかもしれないが、当時この作品を読んでいた子どもたちは、みな早く大人になりたい、と感じていたのかもしれない。

    無謀とも思える小林先生の判断や、弟晴雄の体を張った援助、そして戦争を体験した世代からの薫陶は、紫郎にとっては金塊以上の宝ものだろうな、と思うのである。

  • 少年向けの冒険小説。面白かったです。たとえ危険を冒していても、誰かが自分のやろうとすることを知ってくれているというのは、大切な命綱になります。戦争が残した深い傷跡によってつぶやき岩の「秘密」が生まれました。たび重なる冒険を経て、それは本当に主人公だけの秘密になったのだと思います。

  • 日本軍の金塊をめぐる少年の冒険を描いた一冊。

    子供時代の秘密基地遊びを思い出します。

  • 少年ドラマシリーズで育った世代としては
    とても懐かしく読みました。
    ラストも良かった。

  • 西日本新聞の子ども向け記事に紹介してあった本。昔,NHKで子ども向け番組として作られているようだ。

    子ども向けの本だからテンポが良いし回りくどい伏線もない。大変読みやすい。子ども向け2時間ミステリードラマといった感じ。

    解説の中島京子さんが言及していたように,登場人物の大人がちゃんと大人であるところがよい。主人公の紫郎も少年だけど勇気や決断,責任の取り方など今の大人より十分大人である。

    辞世の句の暗号。おっさんの私は解けないな。いつまでたっても。

  • 良い。良質な少年向け冒険小説。少々、時代は感じるが。
    子供の頃、NHK少年ドラマシリーズを観て、その時から忘れられない作品。
    最近、文庫化されたのを知り読んだ。
    今時居ない、少年、先生、老人という感じではあるが、理想的な登場人物でもある。良い時代だったなあ、とも感じさせられる。日本版宝島。

著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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