- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101132198
感想・レビュー・書評
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富小路公子。
強烈すぎる。
当分私も「まああ」と言ってしまいそうなほど夢中になって読んだ。
一人の人物について27人が語る形式。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ページを開き 面白い。と読み進め
中版は「あの人はね…」的な よく言ったり悪く言ったりの連続にちょっと 疲れ
後半に入ると 謎解きの要素も加わっての一気読み。
それにしても ひとりの女性なのに 語る人で天使になったり悪魔になったり これを自分から故意で操作していたのだとしたら… したたかという言葉を超えてるだろうな 病むと思うが…
ほんとのところはどうだったのだろう
細かい謎は残るけど あ~そうだったんだね。と最後に思った。 -
どうも自分は多視点の物語が好みのようだ。
主人公の女性の視点は一切描かれず、彼女と関わった人々がそれぞれの主観で物語を語るスタイル。
それぞれは見たことを語るだけなのだが、章が進むうちに人間の主観の偏りや小さな嘘が明らかになっていく。そこが面白い。そして主人公の多面性。
騙された男たちはある意味で自己評価が高い。自惚れているとも言える。
下品にならずに人間の下衆な面を描いている作品。 -
男に都合の良い女に、みんな寝首をかかれてしまえ。
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実際、取材する人ってこんな感じなのかな
どれが真実かわかんない… -
話の本筋が面白いのはもちろんのこと、昭和時代ってこんなにもいろんな喋り方をする人がいたということ、戦争を精神的に引きずっている復員男性が身近にいる環境だったこと、あの苗字は華族にはないはずだとわかることなどなど、当時の市政の人々の様子を垣間見ることができたのが面白かった。
2章目まで読んだ時点で、公子は大小問わずたくさんの嘘をついているのでは?ということが読者には察しがつく。
察しがつくとはいえ、あの二枚舌?三枚舌外交の鮮やかさ!
途中まで、妊娠出産をダシに男性を騙すのは許しがたいな〜と思って読んでいたけど、騙されていた男性がどんどん出てくるので、もはやその手口の鮮やかさに感服してしまう。
公子が悪女と言われたり優しい人だと言われたり、いろんな言い方をされていたのも興味深かった。実際お金を得るためにいろんな人を騙した腹黒い部分も持ち合わせているのだろうけど、そんな人でもそりゃ無邪気な側面や優しい側面もあるだろう。悪女という評価が間違っている、清廉潔白という評価が間違っている、ということではなくて、どちらの面も併せ持つのが公子という人なんだと思う。公子じゃなくても、相手によって見せる顔を使い分けるということは誰しもしている。
有吉佐和子さんの本を読むのはこれが初めて。他の作品も読みたいと思った。 -
一人の人間を浮かべる時に、人によって印象が違うしいろいろな面があるってことを再確認。
主人公はどこまでも自立していて、そして騙されたことを知らずに生きている人たちはまた幸せなり。 -
《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。
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富小路公子を取り巻く27人がそれぞれ自分の思う彼女を語ることで、何も語っていない彼女が浮かび上がってくる物語。語る人によって印象が大きく変わるが、自分のやりたい事のために突き進んでいる、という点は一貫しているなと思った。27の彼女を知るうちに、自分の中にも私の思う"富小路公子"が出来上がっている気がする。
結局、真実など誰かを通した時点で存在しないのではないか。