土を喰う日々: わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101141152

感想・レビュー・書評

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  • 美味しいお料理を丁寧に作るシーンが印象的な本を紹介して!とお願いして、オススメいただいた本。
    口の中にじゅわっと味がする感じ。
    旅行中に読んで、早く帰ってゴハン作りたくなった(*´∀`)

  • こんなすごい本に出会えて幸せだと思う。
    食することの深み、重みを十分に感じた。
    自給自足を目指す私。
    何回も再読することになると思う。

  • 体に良くても、おいしくない料理が沢山紹介されてるかと思いきや…体に良くないかもしれない、でも凄くおいしそうだ!
    http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage204.htm

  • 映画版の方の「土を喰う十二ヵ月」を読んだ。
    松たか子の存在がうるさく、この静謐な作品に女臭さが果たして必要か?と疑問だったが、こちらを読んでやっと腑に落ちた。

    あちらはやはり、商業用にエンタメ化されていた。
    真摯に食(自然そのもの)と向き合い、自分と、食べてくれる人を思う。
    それがただ淡々と語られている。
    読みたかったのはこれだ。

  • 婦人雑誌「ミセス」の連載とのこと。語りかける調子で書かれており、軽井沢の野山や空気を想像しながら読んだ。
    子供の頃に禅寺で暮らし、そこで教わったり自然と身についた料理や、素材の扱い方がずっと後まで著者の台所仕事の根幹にあるらしい。毎月のように、季節の実りを手にしてはそれにまつわる禅寺での思い出を書いている。筍、梅、豆腐、きのこ、栗・・・その時期に目の前にあらわれるものを、よくみて、どう食べるか。ただそのことだけを思って料理を繰り返す日々。シンプルだけど、奥深い。
    「口に入れる筍の味覚のほかに、とんでもない暦のひき出しがあいて、その思い出を同時に噛みしめる。――口に入れるものが土から出た以上、心ふかく、暦をくって、地の絆が、味覚にまぶれつくのである。」

    タイトルに気持ちが引っぱられているのかもしれないが、全体的に湿った大地のような印象があるエッセイ。

  •  映画の原作本。映画での主人公も勉さんで、自伝的何かかと思ったけれど違った。恋仲の編集者も出てこなければ、厄介な弟夫婦も出てこない。とはいえ、本文中のエピソードのいくつかは形を変え取り入れられているし、料理も出てくる。
     が、この本はただただ、一年を通しての山の、「食べる」を中心とした暮し綴ったもの。
     季節の山や旬の食べ物、その食べ方、料理の仕方等々、つい引き込まれてしまうのは文豪のなせる技か。食べてみたいものも多々あり、月ごとに紐解いて試してみるのもいい。
     ちょいちょい入る写真がカラーなら、もっとよかったかも知れない。

    畑仕事も山菜採りも出来はしないのだが、こういう暮しがしてみたいと思ってしまう。

  • 土を喰う日々。タイトル通りのエッセイで、精進料理を作り方を教わった水上さんが、かつての師匠たちの言葉を思い出しながらこさえる料理だったり、自らの経験を積み重ねて工夫した一品だったり。肩肘はらずに、季節の野菜や山菜や果実でこしらえる料理の数々に、ああ料理というのはただ腹を満たせばよいのではないんだ。と、当たり前なことを思う。

  • 京都の禅寺の庫裡で暮らし、精進料理を学んだ少年時代。水上勉がその時に学んだ、自分の血肉となった料理を1年かけて紹介していくエッセイ。
    普段忙しさや面倒臭さにかまけて抜きまくっている手をじっとみる。
    丁寧に料理をすること、きちんと食べること。手を抜くことで得られるものと、丁寧に暮らすことで得られるもの。そのバランスを取りながら生きていくことの大切さ。
    しかし、どの料理もすばらしくおいしそうでたまらぬ。
    山で採れるもの、畑になるもの、そこに時間と手をかけて訪れた人に饗する。
    相手を見て献立を考える。よきかな。

  • 自然を感じて慈しみ生きる
    とても贅沢…
    移りゆく季節を感じながら、ゆっくりゆっくり読み進める

  • 軽井沢の自宅の畑で採れた野菜や近隣の山菜果実を精進料理にして食す1年間の記録であるこの本を、ファミレスとかチェーン定食屋で食事しながら読むという、あまり著者に喜ばれないであろう、というか怒られそうな読み方で読みました。
    ごめんなさい

    だけど、質素ながらも丁寧に素材を調理して食す著者の姿を読むことで、自分自身のいつもの食事、例えばチェーン店の天丼を食べている時も(てんやです。)、米のひと粒ひと粒や、付け合せの大根のお漬物に至るまで、それが土から生まれ様々な過程を通して今自分が食すことが出来るのだということに深く感謝することが出来、本当にいつもより美味しく感じることが出来ました。

    全く不摂生な都市生活者の自分でさえ、土を食す感覚を得られる素晴らしい本です。
    筍や梅干し、堪らないです。
    涎が出ます。涙が出ます。

  • 著書名と著者名をみて、「水上勉が料理の本を書いている」と驚き、読んでみた。

    読み始めてすぐに、何かが違う、と感じた。
    子どものころ、京都のお寺に何年間か住み込み修行をしたことが書いてあるけれど、そんなの聞いたことがない。
    南紀の、地縁血縁関係のなんだかどろどろしたところで生活してきたのでは?

    ぼくは水上勉と中上健二を間違えていた。

    けれど、内容はそこそこ面白かった。

    月ごとに、畑で採れる野菜を中心にした精進料理を作り方や思い出とともに紹介していく。

  • 20140608読了
    禅宗寺院の庫裡で育った著者による精進料理12か月。素材をシンプルに味わう幸せを知っているっていうのは、飽食の時代において実はけっこう贅沢で難しいことなんじゃないかと思う。精進料理、もう少し深めて知りたいなぁと思った。いずれ蔵書にしたい本。
    20161115購入

  • 精進料理とは日々精進して作る料理。言葉の意味も考えず、お寺のお料理ととらえていたのが恥ずかしい。
    一生懸命育ってきた土からいただく生命を慈しみ、ありがたくいただく。食事のときにいただきますという言葉の意味もあらためて意識するようになります。
    写真もあるので、普段スーパーで買い物するときにも水上さんの姿が思い出され、かごへのいれ方も心なしか優しくなります。
    表紙の絵もこの方が書かれてて、とても繊細で暖かい気持ちになりました。

  • 上司に借りた本。
    季節を食べる、土を喰う、今では忘れ去られていること。
    実家でおばあちゃんが作ってくれたご飯や、家の前の大きな畑を思い出した。
    季節に関係なくスーパーに並んでいる食材、今ではほとんどの人が見向きもしない食材、そういうものがたくさんあるんだと実感。
    それでも旬のものは安かったり、他の季節に食べるよりおいしかったり、日々なんとなくは感じている。
    でも、もっともっと季節を大事にして、日本の四季を楽しみたいなぁと思った。

  • 「金閣炎上」「ブンナよ、木からおりてこい」の著者。9つから禅寺で暮らし、覚えた精進料理の数々。勉強になります。

  •  水上勉さんは少年の頃、京都の禅寺で精進料理を教えられたそうです。精進とは「さらによくしろ」。その体験を元に、一年にわたって様々な料理を紹介されています。「土を喰う(くらう)日々」、わが精進十二ヵ月、昭和57年8月発行。高野豆腐と大根の一夜漬けが無性に食べたくなりましたw。人間は口に入れる食べ物の味覚の他に、暦の引き出しがあって、その思い出を同時に噛みしめる。はい、そんな時が間々あります!

  • 1年かけて読了しましたが・・・なんて豊かな食生活。「土を喰う」という表現に唸りますが、まさにそんな感じ。

    少年時代に禅寺で過ごし、和尚さんから教わったことがベースになっているのでしょうが、その季節にその土地(寺の裏庭?今は軽井沢の庭?畑?)でとれるものを、素材を大切に、丁寧に調理する・・・まさに理想。読んでいるとよだれが出てくる(笑)
    添加物まみれの加工食品を食する生活とは違う、なかなか今はできない贅沢な暮らし。憧れます。

  • 映画『土を喰う十二ヵ月』が話題になったことがきっかけで読み始める。
    映画は絶対いい!と予告を見ただけで分かるので、映像でイメージが固定される前に文体などを味わいたくて、本へ。
    1月から順に紹介される食材と精進料理の数々、ちょうど時期も寒さも同じくらいの土地で雪を見ながら読んでいると、静かで穏やかな気持ちになれる。
    実際にやると大変なことも多いけど。
    読み進めながら一緒に春を待ち遠しく思い、種子としての豆を畑に蒔いた側から鳥たちが食べてしまうところでは何処も同じかとうんうん頷き、梅干しがそんなに長持ちする筈ないとの揶揄に怒り。
    唐辛子の葉っぱって食べられるんだ!今年一緒に収穫しよう、などとヒントもたくさんいただいた。
    本に出てきた『典座教訓』も、難しそうだけど読んでみたい。

  • 映画を観て原作を読みたくなり購入。

    旬を食す=土を喰らう。
    旬なものを、旬な時期に食べるのが、一番美味しいと言われる所以がよくわかった気がした。

    料理をする静かな時間が想像でき、自分の気持ちまでゆとりが派生した気がする。

  • 月毎に違う食材が書かれているので、どの月から読んでも楽しめる。

    食を通した人との交流が丹念に紹介されているのが良い。個人的には、六月の章の梅干しの話がジンときた。

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著者プロフィール

少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

「2022年 『精進百撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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