役小角仙道剣 (新潮文庫 く 5-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (665ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101148076

感想・レビュー・書評

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  • 紀伊山脈をウロウロしてたらよく出てくる「役行者の〇〇」、一体どういう団体だろうと気になってるうちにそれが役小角という人だとわかり調べると空海並みのスーパースターだとわかる。
    小説があったら読みたいと思ってたらありました。
    いやー、面白かった。修験者の元祖で異能を使いすごい強い。フィクション色が強そうだけどこんなんだったんじゃないかとも思わせてくれる
    よく行く山々がでてくるのも楽しかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    七世紀後半の大和。修験者・役小角は、厳しい律令制度に虐げられる人人を救うために、異能を駆使して権力者に立ち向かう。鬼神の如き活躍を慕って多くの弟子たちが葛城山中に集結、遂に一大勢力の中心となった役小角を狙って、時の権力者・持統天皇や藤原不比等、物部氏率いる刺客の群れが迫り来るが―。傑出したパワーで古代史に名を轟かせた異才の半生を描く古代ロマンの巨編。

    内容(「MARC」データベースより)

    古代最大の呪術者、役小角とは何者か。律令政治の暴虐に敢然と立ち向かったスーパースターの活躍が、現代によみがえる。古代ロマンの巨匠の遺作長篇。『小説新潮』掲載をまとめる。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    黒岩重吾 1924(大正13)年大阪生れ。同志社大学卒。’60(昭和35)年『休日の断崖』でデビュー、同年『背徳のメス』で直木賞受賞。現代の欲望を抉る社会派推理作品を多数発表したのち『紅蓮の女王』『聖徳太子』など古代史をテーマにした長編に取り組む。’80年『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を、’92(平成4)年『弓削道鏡』を初めとする一連の古代史ロマンで菊池寛賞を受賞。2003年3月、肝不全のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    本の感想です。
    http://books-officehiguchi.com/archives/4707930.html

    まず、役小角について。役小角とは生没年不詳で、7世紀末ごろに大和の葛城山にいた呪術者で、修験道の開祖と言われている。

    この小説の舞台は、造営中の藤原京で、持統天皇の時代である。701年に大宝律令が制定され、当時の律令制度は厳しく、逃亡した農民が多かったことを思い出す。

    この小説では役小角が権力者に抵抗する物語である。実際にはあり得ない話であるが、背景知識として当時の律令制度のことを考慮して読むと面白いと思う。

  • 修験道の開祖、役小角の話。葛城山で修行し、霊力を備えた小角は、律令制初期、過酷な労役に苦しむ庶民を救うべく朝廷に立ち向かう。深山での過酷な修行により、人間が本来備えている能力を極限まで高めることができた小角の力がリアルに描かれている。

  • なかなか

  • 修験道の伝説的人物・役小角。
    生まれた時に角があったから名前は小角になったとか、子供時代は雲に乗って遊んだ…などなど、超人伝説ばかりが表に立っている上、ファンタジー小説の題材にされている事が多いので信じがたいのですが、どうやら実在の人物ではあるみたいですね。

    でもこの小説を読むと、ああ小角ってこんな「人間」だったのかも、と思えるようになりました。
    それまでの、山伏スタイルで角があって神仙思想で霞を食べてそうな小角像は、あっさり消えました。

    悪徳役人や賊と戦りあうシーンは迫力満点ですね。
    いかがわしい仙術はほとんど出てきません。
    戦いはあくまで肉弾戦です。小角、喧嘩強すぎます。
    セリフも生き様もかっこいい。
    そしてなにより黒岩氏の小説らしく、登場人物も人間味溢れて魅力的。
    弟子たちとの出会いや、交わす会話が楽しいこと楽しいこと。

    伊豆に連行される、と言うよりは颯爽と旅立って行ったラストは良かったけど、ヤマメを思うと、読了感はなんとも切なかったです´Д`
    すごく好きだし、面白かったけど、ヤマメのくだりに賦が落なかったので★はみっつです´ω`

  • 700年ごろ。山岳修行の元祖と言われる鴨役君小角の話。小角は仏教や道教に初めは打ち込んでいたが,次第に仏教では人々は救われないという思いを強くした。時代は藤原不比等が律令国家を作ろうとしている時であり,その律令は単に貴族のためのもので,農民は搾取の対象でしかなかった。
    小角は次第に農民の間に知られるようになり,神聖化されていく。人々は小角の傍で働きたいと思うようになり,進んで小角の命じた護岸造りや道路造りをするようになる。朝廷側は律令に反抗するような小角を危険視し,殺そうとするが,それが不可能と知り東国へ流刑とするのである。

  • 民衆の幸せを願う小角と彼を疎ましく思う政界との衝突、駆け引きなど、頭も使うし体も使う戦いです。
    登場人物が生き生きとしていて読みやすいです。

  • (2006年2月)。

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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