燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (1972年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (553ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152097

燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • もはやノンフィクションのような歴史小説。
    土方歳三だけでなく、近藤勇も沖田総司も、イメージ通り。
    むしろ司馬遼太郎の作ったイメージが一般的になってしまっているようですね。

    新撰組を結成するあたりや池田屋事件とかもドラマチックだけど、その後の新撰組じゃなくなってからの話もおもしろかった。

    戦いに生きる男の気持ちは共感できないけど、真っ直ぐな芯の通った生き方はかっこいい。
    お雪との出会いと別れが切なくてよい。

  • 最後まで武士の魂を捨てずに幕末の世を駆け抜けた男。

    勝つことだけに戦うのではない。
    その魂を持った人は、この土方歳三さんだけだ。

    読めば、世界観が変わる。

  • 下巻。
    ここからの新撰組は、正直いいところがあまりなく、戦績だけで見るとほぼ負け戦だ。それは史実で知っていた。
    けれど土方の目線で戦を見つめると、彼は殆どの戦局を読んでいる。色々な事に気がつき、知識も頭に入れた上で、最後に勘を持っている。
    その彼が新撰組が瓦解した後、最後まで戦をつづけていく姿が本当にかっこうよく、時間を忘れて読み進んだ。
    上巻に2週ほどかかっていたが、下巻は4日ほどで読み終わった。

    組織を維持するために冷酷な処断もし、鬼の副長と呼ばれた土方が、後半江戸に帰ってからというものどんどんと人間味をおびてくる。
    最後の五稜郭で、新撰組として戦ってきた人たちを江戸に帰す、自分についてきたお雪とも別れる、慕ってきた小姓を自分の故郷へ送る。皆、土方と戦いたくて残ると言うが、それをよしとせずに見送る。
    何人もの人を殺してきた土方が、最後に信用して信頼して生き残らせるのが新撰組からの仲間であるのは、土方の人間としての優しさを見てしまった気持ちになった。
    彼は死ぬことを決めていたが、それを誰かと道連れに共有するつもりはなく、ただこのまま生きながらえる生涯だけは、先に死んだ仲間にあわす顔がない。その一心で最後まで駆け抜けた土方が格好よく、哀れにも見える。

    最後の晩、死んだ仲間達の亡霊を見る。その姿のあった場所に寝そべる。ぬくもりを追おうとする。
    土方が愛おしく思えた。

  • 時勢が傾き薩長に弓引く者は賊とされ追われる側になった旧幕府軍及び新選組。
    激しい弾雨に散る者、負傷や病で離脱する者、方向性から袂を分つ者…かつての同志達が離別していく中、歳三だけは乗った喧嘩に降伏する術は当然持ち合わせておらず刀や槍の時代ではなくなって来た事を肌で感じるも、誠の旗に誓い武士として本懐を遂げる事を最後迄貫くのです。
    かつては京を震撼させた鬼の異名も北上するにつれ、角が削れ穏やかな顔を見せるも白刃戦となれば疾風迅雷鬼神の如し。「格好いい」の言葉以外出てこない!!
    肖像写真を見ても納得の男前ですけど生き様はそれ以上の漢前!
    数ある新選組文献で、私的王座の席はこの書を抜いて当分譲れそうにありません。

  • 上巻の熱気はいつのまにおさまったのだろうか。
    この本を読み返すたびに不思議に思う。
    下巻を読み進め、ふと一息つくと、
    物語の周囲に神秘的なまでの静謐さが漂っているのに気付く。
    それがどこを境目に変わったのか全く分からない。
    ただ気が付けば、空気が変わっているとしか言いようがない。
    司馬先生のすごさに驚くばかりだ。

    京から物語の舞台が移るにつれ、
    肩書きはどんどん変わっていくものの、
    自ら着込んだ鬼副長の皮は一枚一枚はがれていき、
    物語の最初に私たちが出会った「歳」に戻っていく。
    その無邪気さ、奔放さ。
    そして純粋さに、思わずため息が出る。

    私の大好きなシーンは、最後の幽霊のシーン。
    このシーンを読むと、必ず涙がこみ上げる。
    土方歳三の最奥部分に触れたような気持ちになる。

    初めて読んだのは高校3年生の夏。
    この本に出会ったから、今の私はある。
    今年読み返して改めて思った。
    やっぱりベスト1の座は当分変わりそうにない。

  • なんて強い男なんだろう、土方歳三。
    お雪への態度を見ていると決して強くないから鬼になったのかもしれない、とも思えるが、でもその鬼が歴史を変えたのだと思う。
    ここまで信念を貫かせたのは武士になりたい一心だったのか、新選組の為だったのか。
    最後の晩、そして土方歳三の最期に涙涙・・・。

    土方歳三が没して約150年。
    悪名として、賊軍として、その名は残っていないよ、とだけ伝えたくなった。

    誰にだ。誰かにだ。←

  • 新撰組土方歳三の生涯を描いた作。
    とにかく登場人物それぞれのキャラクターが魅力的。新撰組の知識がほとんどなかった自分も、読み終わる頃にはすっかり魅入られWikipediaで各人物を改めて調べてしまったほど。特に沖田と土方の関係が微笑ましくて好き。
    時代小説の恋愛は他著者の某書でオヤジの妄想が描かれているように感じて微妙だな~と思ったことがあったのだけど、この本の土方とお雪の恋は初々しく自然で何とも好感が持てました。

    土方の喧嘩人としての生き方・考え方にしびれる一冊。お勧めです。

  • 【あらすじ】
    元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。
    新選組のもっとも得意な日々であった。
    やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。
    しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。

    【内容まとめ】
    1.諸行無常。どんな力も、時代の流れには逆らえない
    2.幕末、崩れゆく幕府という大屋台の「威信」を、新撰組隊士の手で支えた。
    3.全体的に、土方と沖田の交流を描いた物語。
    4.「新撰組」を知りたくば、この本を読めばよし!!(+血風録もね)


    【感想】
    諸行無常。
    新撰組の躍進を大きく描いた上巻と異なり、どんどんと落ちぶれていく新撰組が描かれた物語。
    大きな原因は時代の流れに乗れなかった(乗ることができなかった環境)だが、それに拍車を掛けたのは近藤と沖田だろう。
    己の器を見誤った近藤勇は、分不相応な事に躍起になり、新撰組どころではなくなっていた。
    分不相応なことをするなというメッセージが、この物語には暗示されていたのかなぁ。
    近藤勇の最期に関しては、一文のみで済まされていた・・・笑

    ただ、劣勢でも尚、凄味を増す土方歳三は素晴らしかった。
    幕府と共に崩れゆく新撰組を支え、己が活きる道を必死に模索し、剣に生きて剣に死ぬ人生は胸が熱くなったな。

    上下巻と非常に読みやすく、司馬作品では珍しいくらい脱線しない物語は単純に読みやすかった!
    別冊の「血風録」ももう一度読もう!

    【引用】
    p82
    あきらかに近藤の思想はぐらついている。
    一介の武人であるべき、またそれだけの器量の近藤勇が、いまや分不相応の名誉と地位を得すぎ、さらには思想と政治に憧れを持つようになった。
    近藤の、いわば滑稽な動揺はそこにあった。


    沖田総司
    「持って生まれた自分の性分で精一杯に生きるほか、人間仕方がないのではないでしょうか。」


    土方歳三
    「これは刀だ。」
    「刀とは、工匠が人を斬る目的のためにのみ作ったものだ。刀の性分、目的というのは単純明快なものだ。兵書と同じく、敵を破るという思想だけのものである。」
    「しかし見ろ、この単純の美しさを。刀は、刀は美人よりも美しい。美人は見ていても心は引き締らぬが、刀の美しさは粛然として男子の鉄腸を引き締める。目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。新撰組は節義にのみ生きるべきである。」


    「土方さん、新撰組はこの先どうなるのでしょう?」
    「どうなる?どうなるとは、漢の事案ではない。婦女子の言うことだ。漢とは、どうするということ以外に思案はない。」


    p459
    思えば幕末、旗本八万騎がなお偸安怠惰の生活を送っている時、崩れゆく幕府という大屋台の「威信」を、新撰組隊士の手で支えてきた。

  • 新選組副長・土方歳三を主人公にした物語。私のバイブル。1998年に買って20回以上読み返しているのでボロボロだけど捨てられない。

  • これを読んでしまうと土方歳三を好きにならずにはいられない。魅力的なキャラクターが揃う新撰組だが、土方が一番好きだ。クールな鬼軍曹。しかしその仮面の下には武士の魂が迸っている。悲劇的な最後は自らの死に場所を求めていたんだろうか。

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