- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152097
感想・レビュー・書評
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今作では沖田はずっと病床に伏せっていて切ない。そしてその沖田の死、近藤の別れのシーンはやはり悲しかった。思いを馳せながら土方の函館編。土方に、お前は沖田に似ている、と言われ、幼すぎるが採用となり、それを支えに奮闘した鉄之助のエピソードは印象的だった。また、最後の方に近藤、沖田ら、京都時代の新撰組の幻影をみて、近藤が「函館は落ちる」と予言していた話も面白かった。
「その過去の国には、お雪さんも近藤も沖田も住んでいる。私にとってかけがえのない過去だ。それ以後の過去は、単に毎日の連続だけのことさ(p496)」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下巻は京都新撰組が大政奉還により朝敵と変わるあたりから、江戸へ、会津若松、函館へと続く。
近藤、総司とかつての仲間を失いながらも、最後まで喧嘩師として生き抜いた。
どうしても山本耕史らがよぎるけど、この時代に名を残すだけの器だった。
46冊目読了。
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面白かった!
大政奉還から新撰組崩壊後、旧幕府軍は徐々に北に追い込まれていく。
土方歳三だけは、常に戦うことを選び、剣に生きて、死んだ男でした。
お雪とのシーンがただただ切ない。。
なんとも言えない表情が浮かばれました。
新撰組副隊長、土方歳三の生き様が伝わった作品でした。 -
新撰組で厳しい規律を導入し、仲間であっても規律を破った隊士を切腹させ、刀ばかりで京都を震え上がらせた土方歳三の人生の後半の話。
不思議なことに後半生は刀から西洋軍学にシフトしていき、その中で彼のいくさ戦略が傑出していたことが証明されていく。
しかし賊軍側になってしまった彼の悲しい結末までが司馬遼太郎風に美しく書いてある。 -
近藤勇は時代に流され、政治やら権力やらに惹かれていくが、対照的に土方歳三は、自らを喧嘩師と自覚して、戦いに没入し、洋化されていく戦いにも適応して力を発揮する機会もあった。そして、健康に恵まれなかった沖田総司。やっぱり、新選組のクライマックスは池田屋事件だったのかと感じてしまう。三人が同じベクトルで、全盛であったなら、どんな展開になっていただろう。
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歴史に全く興味のない自分が初めて手を出した歴史小説。
土方歳三が格好いい。生き様に惹かれます。「漢」という言葉がぴったりくる。
でも、歴史を得意としない自分には、読み進めるのが難しかったのも事実。新撰組のことも名前しか知らなかったので。
頑張って読み終えた自分を褒めてあげたいです。 -
男の世界を感じた
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元々歴史が嫌いだった自分にとっては、かなり読みづらい話だと感じた。
ただ、土方歳三がどう新撰組をつくり、どう生きたかの話自体は楽しく読むことができた。 -
新撰組の副隊長、土方歳三の生涯を描く。
土方は、新撰組時代から戊辰戦争にいたるまで、ただ喧嘩のために戦うことを続けていることが分かる。
格好良くも見えるかもしれないけど、ただの気性が荒く、喧嘩好きな学のない人と取れなくもなく、個人的にはあまり好きになれなかった。
また、司馬遼太郎氏の小説を久しぶりに読んだが、場面がコロコロ展開する上に登場人物が多くて、予備知識が無いと話についていけないところがある。
この点、同じ近代歴史小説を書いている吉村昭氏の小説は非常に整理されていて、好みの問題ではあるが、とても読みやすく思う。 -
司馬遼太郎作品、というより時代小説を初めて読みました。慣れない単語が多いのと、夜這い(本当にこんなことしてたの⁈)や、武士の感覚(すぐに人を切ってしまったり)が感覚的に理解がむずかしく、読み進めるのが難しかった。
七里が土方を付け回す関係も、いまいち理解できず?と思ってしまいました。
歴史に疎くて時代背景に対する理解が乏しいからかな…この辺は私の勉強不足。
そんな中印象に残ったのは、お雪さんとの関係。鬼の副長と呼ばれる土方が、お雪さんとのことになると可愛らしくて…最後の逢瀬は、切なすぎて泣きそうになりました。創作上の人物のようですが、実際に土方のそばにこんな人がいたら良かっただろうに…と。
歴史的に見ても、全体的に悲痛な印象の新撰組でしたが、土方の一本筋の通った生き方に清々しさと、格好良さを感じる作品でした。